9月10日の一般質問、不登校の子どもが学校の定期健康診断(健診)を受けづらい問題を取り上げました。練馬区で、健診を受けていない子どもは昨年度の段階で1,400名近くに達し、その中には不登校の子どもも多く含まれます。「健診に行けなかったせいで、治せたはずの病気を見逃した」そんなことが発生しないよう、迅速な対応をとるよう訴えました。
一般質問の翌日、読売新聞(9/11)もこのテーマを全国面で報道。「不登校の子、健診受けず病気見逃す恐れ…総務省が初の全国調査で実態把握へ」として、未受診で健康リスクが見逃される懸念と国として調査を実施する方針を伝えています。:
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250911-OYT1T50190/
■ 練馬区の子ども、不登校も健診未受診も過去最多
練馬区の不登校の子どもは2023年度、過去最多の1,600名。特に小学校では、わずか5年で倍以上に増加しています。
こうした中、不登校を理由に長年にわたり学校の定期健診を受けられない子どもたちが存在します。2024年のNHKの報道では、不登校で健診を受けられず、成人後に側弯症が見つかったという当事者の声が紹介されました。もし学齢期に診断を受けていたら違う未来があったかもしれない。記事に胸が締め付けられました。:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240509/k10014442851000.html
学校健診は毎年6月までに行い、受けられなかった場合には「すみやかに実施」する。それが法令で示された子どもの権利です。
しかし現実には、学校という会場が高いハードルになっています。さらに追い打ちをかけるのが費用の壁。学校外で“健診のみ”を受けた場合、7月以降は自己負担になります。
2023年度、練馬区でも過去最多の少なくとも1,400人近くが未受診でした。私が話を聞いた子どもも、3年以上健診を受けられていないとのこと。数字の裏には、一人ひとりの切実な事情があります。
■ 練馬区は健診の無償化と他施設での実施を!
練馬区は、「来られない子どもに、区から健診の場を届ける」責任があります。そのためにもまずは、複数年にわたり健診を受けられていない子どもの把握を進めるべきです。あわせて区の会場で振替健診を実施し、受診料は区の負担とすべきです。さらに、適応指導教室・フリースクールでの出張健診も試行すべきです。区の回答を求めます。
■ 練馬区の回答
各学校では、健診を受けていない児童生徒の状況を個々に把握しており、保護者に対して継続的に受診を促しているとのこと。学校での健診日時を別に設けるなどの配慮を行うほか、学校医が勤務するクリニック等において、毎年4月から6月末までの期間、無料で健診が受けられる体制を整えているとのことでした。
一方で、現時点で期間外の費用を区が負担したり、出張健診を実施する考えはないとの回答でした。
■ 岩瀬の評価
個別に把握し、継続的に保護者へ促しているとの説明ですが、実際に健診につながっているかは不明です。区として全体の未受診者を把握しない限り、実態の把握や対策も進みません。
また、学校医のクリニックは内科・歯科・耳鼻科など多岐にわたり、別々に予約するのは高いハードルです。7月以降は全額自己負担という点も、未受診が増加する理由の一つになっています。
■ 今後に向けて
国の方針も踏まえ、練馬区として実態調査の実施、無料化の拡充、他施設での実施を、一刻も早く進めるよう引き続き訴えます。ご意見などぜひお寄せください。過去の訴えはこちらです。