練馬区議会の決算委員会、9月25日の都市整備費では、2025年3月31日で運行を終了(系統廃止)となった西武バス「泉38系統」について、代替となる交通の確保を求めました。区は今年中に頻度やルート等をテーマに住民との話し合いの場を設けると回答。実証実験を行うための準備を今から進めるよう訴えました。当日の質疑の主な内容をご報告します。
本年3月、大泉学園駅から桜高校を経由し、長久保を巡る西武バスの泉38系統が運転手不足等により廃止されました。その結果、7か所の停留所が消滅、一日当たり600名が交通手段を失っています。 利用者の中には、90代で毎朝駅まで乗車して朝食を楽しむことを習慣にしていた人もいたとのこと。また、泉38系統の沿線地域には若者も多く、4万人の住民の内、0歳から49歳までが5割を占めています。
代替交通を求める陳情も提出、全会一致で採択!
練馬区には泉38系統にかわる交通手段の確保を求める3千人近くの陳情が提出され、全会一致で採択されています。
泉38系統の廃止について:西武バスのリンク
07 【資料3】陳情第100号、第102号 西武バス泉38系統に代わる交通手段の確保を求めることについて ほか
【質問➊】
こうした中で、練馬区は住民のニーズを把握するための話し合いの場を年内に持つと説明しています。しかし、昨年10月には廃線の議論が始まっていた中で、対応はあまりに遅いものです。そもそも、代替交通の必要性については既に議会でも十分に議論されており、ニーズは明らかです。今回の住民との話し合いの中で具体的にどのようなニーズを把握するのでしょうか?
【練馬区の回答】
話し合いの場では、廃止の経緯、各地で行われているデマンド交通などの課題を共有したうえで、実現可能な交通手段、運行計画、地域の方々に協力頂ける内容などについても意見を伺っていく。
グリーンスローモビリティ(GSM)の検討を!
23区でも運転手不足に伴うバス路線の廃止は深刻です。こうした中で各区の施策は大きく3つに分かれます。乗り合いタクシー型、デマンド型、そして、グリーンスローモビリティ(通称GSM、グリスロ)である。 実証実験を含めると乗り合いタクシーは港区や渋谷区など8区程度、デマンド型は練馬区を含めて10区程度、GSMが5区程度で導入しています。
練馬区は過去に大泉学園町において乗り合いタクシーを検討、本年には南大泉と東大泉でデマンド型の実証実験を開始しています。 他方で特に近年、広がりを見せているのがGSMです。GSMは時速20km未満で公道を走れる電動小型車を使った移動サービス。運転は一種免許および国交省認定の運転者講習受講でも可とされており、運転手不足への対策としても効果があるもの。
【質問➋】
区はこれまで乗合タクシー・デマンド交通を中心に検討・実証を進めてきました。狭い道路が多い当該エリアの特性を踏まえ、GSM導入の可能性について、現時点の認識と検討状況を伺います。
【練馬区の回答】
特徴としては車両がコンパクトであることから、道幅の狭い道路での活用の可能性がある一方で、最高速度が20キロ未満で設定されているので、長距離の移動、交通量の多い幹線道路での活用には向いてない。各地で取組が進められているが、採算面や運転手の確保にも課題があることも確認している。
【質問➌】
葛飾区では地域で運営協議会を設立し、区協働で実施。運転手を有償ボランティアで確保。2024年の8月時点では一日当たり6名程度の利用とのこと。杉並区では昨年11月から本格運行を開始、一日当たり51人が利用したとのこと。 現在、練馬区はデマンド型に特化した実証実験を行っていますが、狭い道路ではGSMがより適しているとの指摘もある。同地域でのGSM導入も含めて検討すべきです!
【練馬区の回答】
実現可能な交通手段や運行計画、地域の要望を整理するため、具体の手段は住民との話し合いを踏まえて検討していく。
一刻も早い対応を!
練馬区は住民のニーズを把握するとのことだが、一日当たりの利用は600名。他区に比べても間違いなく路線のニーズはあります。そのために、住民のニーズを把握した段階ですぐに開始できるように実証実験を行うための準備を今から進めるべきです。区としての迅速な対応を改めて求めていきます。ご意見や情報などありましたら、ぜひお寄せください。