出産直後の母親の心身のケアや育児サポートを受けられる「産後ケア」。練馬区でも多くの方が利用しています。なかでも母子で日帰り滞在する「デイケア」については、生後半年以降に予約が極めて取りづらく、「プラチナチケット」と呼ばれる状況になっています。練馬区議会の決算特別委員会で、改善を求めました。以下、主な質疑の内容を報告します。

産後ケアの需要が急増

練馬区でも産後ケアの需要が年々高まっています。
とくに母子デイケア(通所型)の利用は急伸しており、2024年度の実績は延べ2,743日(前年度比5倍)、利用者数は延べ735名(同3倍超)に達しました。実施事業所も18カ所から21カ所へと拡大しています。

また、練馬区は生後1年未満まで利用可能としています。多くの自治体が「生後6か月まで」に制限している中で、1年まで認めているのは千代田区・品川区と並んでわずか3区のみ。区の柔軟で丁寧な対応は高く評価できます。


わずか5分で一か月後の予約が埋まるプラチナチケットに

一方で課題も明らかです。
多くの施設では生後4〜6か月を受け入れの上限としており、実際に1歳まで受け入れているのは21カ所中わずか2カ所。利用者からは

「一番大変な半年以降に利用できる施設がほとんどない」
という声が寄せられています。

この2カ所では、予約枠が開放されるとわずか5分で予約が埋まることもあり、まさに“プラチナチケット”状態です。


背景にある「コスト構造」

高月齢児を受け入れにくい最大の理由は事業者によるコスト負担です。
低月齢児は助産師1名で2名程度をケアできますが、6か月以降では活動が活発になり、母親のケアも並行して行う必要があるため、実質的に1対1の配置が求められます。

区の支援は、

  • 利用者負担:1回あたり1,500円

  • 区の委託費:19,500円(昨年度から引き上げ)
    合計:約22,000円

しかし、1対1対応を前提とすると、人件費や光熱費、家賃などを考えれば、現行の単価では事業継続が難しい状況です。したがって、半年以降の受け入れに対しては単価を引き上げるなどの支援拡充が必要です。


【練馬区の回答】

区の答弁では、

「産後うつなどが最も懸念される生後4か月ごろを中心にサービス提供を行っており、令和6・7年度の2年連続で委託料を引き上げたため、現時点でさらなる見直しは考えていない」
と説明しました。
ただし、
「国で高月齢児向けの加算手当を検討しているため、今後その動向を注視していく」
とも答えました。


岩瀬の訴え

保護者の多くが「本当に必要なのは6か月以降」と語っています。
にもかかわらず、現在はその時期に使える施設がほとんどなく、わずかに受け入れている2事業所では5分で予約が埋まるのが実情です。

国の制度改正を待つことも大切ですが、練馬区として独自に支援を強化する姿勢が問われています。
産後の母子が安心して過ごせる地域をつくるために、今後も改善を求めていきます。
みなさんのご意見もぜひお寄せください。これまでの訴えはこちらをご覧ください。