練馬区立美術館・貫井図書館の建て替え(再整備)をめぐり、2月16日の文教児童青少年委員会では、実施設計とコンストラクション・マネジメント(CM)の結果が報告され、費用だけでなく工期も当初の「2年」から大幅に延び、「5年近く」になることが示されました。
■「2年」のはずが…図書館も「5年近く」使えない状況に
委員会で示された新たな工期は次のとおりです。
解体工事:10か月 → 12か月
本体工事:25か月 → 39か月
美術の森緑地工事:9か月 → 10か月
解体+本体だけで 12+39=51か月(約4年3か月)。美術の森緑地や準備期間等も含めると、全体で5年近くかかる可能性があることになります。
1.そもそも、2022年3月に策定された「練馬区立美術館再整備基本構想」では工期を2年と計画していました。

(練馬区立美術館再整備基本構想)
2.その後の2024年8月に行われた住民説明会では工期が約3年(美術の森緑地などを入れると4年近く)に伸びたことが示されました。

(令和6年8月24日 住民説明会資料)
3.今回(2026年2月)、実施設計を終えた段階では、5年近くと示されました。

(練馬区立美術館・貫井図書館改築等実施設計業務およびコンストラクション・マネジメント業務の結果について)
延びた理由として区は、
- もともと想定していた「2棟同時解体」を見直し、1棟ずつ解体する計画に変更したこと
- 工程を重ねて同時施工する想定を改め、工程を重ねない作業計画にしたこと
- 猛暑日の影響(作業時間・休工など)も織り込んだこと
などを挙げています。
ただ、工事の開始予定時期も未定な中で、状況次第ではさらに伸びる可能性もあります。
■工事費は当初の倍の150〜160億円…しかしまだ上がる恐れも
工事費の目安として、改築工事費は当初示された76億円の倍以上の約150〜160億円、緑地改修は約1.9億円と明記されています。

区はVE/CD(価値工学・コスト縮減)により5億3000万余の削減を行ったと説明していますが、それでも当初の倍以上です。しかも物価高騰が続く中で「これで終わり」とはとても言えません。

■実施設計で何が変わった? 太陽光・バリアフリー強化、面積は拡大
実施設計の結果として区が挙げた主な変更点は以下です。
- 屋上に太陽光パネルを設置
- バリアフリートイレを各階に設置
- 図書館の面積が約1300㎡ → 約1620㎡に拡大(開架エリアを広げる)
■図書館が5年近く使えない…住民の権利は?
図書館は、単に本を貸し出しする施設ではありません。
私が大好きな「図書館の自由に関する宣言」では以下のように謳っています。
基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。
貫井図書館は区内でも利用が多く、光が丘図書館に次ぐ規模です。この図書館は5年近く使えないとなると、住民への影響は計り知れません。
その中でも、大きな問題の一つが中高生等の学習にも使われ、非常に人気の高い閲覧席(学習席)70席超の対応です。昨年、工事期間中の代替について区は近隣の民間施設なども探したものの、確保できた場所は「ゼロ」だったと報告しています。
練馬区は近隣の図書館の閲覧席を活用するよう説明していますが、他の図書館でも閲覧席は非常に人気があり、全く現実的ではありません。
区は、仮設窓口で一部サービス継続、対面朗読・ブックスタート・おはなし会等を区民センターで継続、街角ケアカフェで新聞雑誌閲覧を確保、といった対応を挙げています。
もちろん、区の努力は必要ですが、本質的な解決にはなっていません。
■老朽化は待ったなし、建て替えは中止して改修を!
貫井図書館は築40年、区内で6番目に古い図書館です。既に5番目までは長寿命化改修などが実施されており、現在は最も古いまま残っています。老朽化が進んでおり、LED化、エレベーター、空調などの課題が繰り返し指摘されてきました。「点検・修繕をしながら何とか耐える」だけでは、限界があります。そもそも建て替えの時期が不明で、さらに閉鎖期間が5年近くもかかるなら、住民への影響は極めて重大です。
「すべての国民は、いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する。この権利を社会的に保障することは、すなわち知る自由を保障することである。図書館は、まさにこのことに責任を負う機関である。」(図書館の自由に関する宣言)
この理念を実現するために、今こそ5年もの歳月をかけた建て替えではなく「図書館の改修」という選択肢も含め、改めて検討すべきです。これまでの訴えはこちらをご覧ください。