練馬区の農地は東京23区の中で最も多く、区部全体の約4割を占めています。しかし、近年は相続や宅地化の影響で農地の減少が加速しており、この1年だけでも約3.9ヘクタール、小学校の運動場約6面分もの生産緑地が失われました。「練馬のみどり」を守るために区としての対応が不可欠です。

■ 区民生活委員会での報告

10月8日の区民生活委員会で、区内農地の最新状況が報告されました。
2025年9月30日時点での区内農地面積は166.34ヘクタール、そのうち生産緑地地区は155.79ヘクタールとされています。

当日の資料はこちらをご覧ください。

・ 生産緑地とは

市街化区域内にある農地のうち、都市環境の保全や災害防止、良好な生活環境の確保に寄与するものを、計画的に保全するための制度です。指定された農地は、30年間の営農義務を負う代わりに、固定資産税などの軽減措置を受けることができます。一方で、建築や土地の形質変更は制限されます。練馬区では、区内農地の約95%が生産緑地に指定されています。

■ わずか1年で小学校の校庭6面分、令和以降では30面分が消失!

依然として23区では最大の農地面積ですが、この1年だけでも3.9ヘクタール分が失われています。区内の小学校の運動場の平均面積が6,340㎡(出典:令和7年版 練馬区教育要覧 107ページ)ですので、単純に計算すると1年で小学校の運動場6個分の生産緑地が失われています。

さらに令和に入ってからの6年間では、▲21.97 ha、率にして(▲約12.4%)も減少、運動場でいえば30校、区内の全小学校の半分の運動場が失われたことになります。


(出典:区議会資料より筆者作成)

■ なぜ失われているのか?

最大の要因は相続(納税資金確保のための宅地化・切り売り)によるものです。また、
「2022年問題」(1992年指定の生産緑地が30年満了を迎え解除可能となったこと)ことや、近年の地価高騰、さらには高齢化や人手不足による離農・縮小も顕著です。

■ 今後に向けて

練馬区としては、農家が安心して農業を続けられるよう支援を強化することが必要です。
また、やむを得ず手放す場合には、区が積極的に買い取って保全・活用する仕組みを整えるべきだと考えます。

現在、区は新たな総合公園「稲荷山公園」の整備に数百億円規模の予算を投じようとしています。
この整備に伴い、400世帯以上の立ち退きも見込まれています。

一方で、相続などによって失われ続ける身近な生産緑地の保全は進んでいません。
地球温暖化が進む今こそ、新たな公園をつくるより、いまある緑を守ることにこそ税金を使うべきではないでしょうか。

皆さんのご意見やご感想も、ぜひお聞かせください。

■参考資料