先日、UNHCR駐日事務所でインターンをしていた頃の上司、滝澤三郎先生から、東洋英和女学院大学で国際協力に関する講義を行わないかとお招きが。先生は現在、大学で国際社会学部の教授として教鞭をとられており、ご自身が受け持つ「南北問題」のゲストスピーカーに光栄にもご指名くださった。
私のこれまでの経験を、国際協力を志す学生と共有できたらと、軽い気持ちでお受けしたが、詳しく聞いてみると、先生の授業は人気が高く受講生はなんと170名!しかも講義は2週間後!みんなにコックリと船を漕がれたらどうしよう、なんて弱気な気持ちにもなるが、引き受けたからには仕方ない。腹を括って準備を行う。
そこで、自分が学生だった頃を思い出す。何が知りたかっただろう、何に興味を持っていただろう。そんな中、浮かんだのが当時の私が知りたかったこと、それは単に国際協力に関する知識ではなく、それよりも自分が日々、または将来、どうやったら国際協力に関われるかその手段だった。
だからこそ、講義では、自分がなぜ大学時代にエクアドルへ留学したか、何を考えて民間企業を辞めてボランティアである青年海外協力隊に飛び込んだか(言うなれば途上国の犠牲の上に漫然とあぐらをかき続けることへの罪悪感で脱サラしたこと等)、そしてその後、開発コンサルタントとしてどのような仕事をしてきたかを等身大の目線で話した。
また、海外に行かなくてもできる国際協力として、日本に来た難民が働くネイルサロン(ARUSHA)の利用や、エシカルジュエリー(HASUNA)やフェアトレード商品の購入、UNIQLOでの古着回収(海外の難民キャンプへ寄付される)、ボランティアやインターン等様々な例を提供し、アクションに繋げてもらいやすくしてみた。近頃の若者は、ものごとを冷めた悲観的な目で見ているかとおもいきや、みんな、すごく関心をもって聞いて、質問もしてくれる。
授業の後、全員から感想のレポートが届く。
感想文から伝わる、世界の平和や貧困削減のために、何かしたい、という想い。また多かったのが、進路を考える上で、またこれから社会人としてやっていくうえで講義が役にたったという声。
その中のひとつ。「もう就職が決まっていて国際協力はできないと諦めのように思っていたのが、これから先もその気にさえなれば、世界で働くことができるんだと思えた。私がこれから仕事で学ぶことが途上国のために活かせると思うと仕事にも身が入る」。皆の熱い想いがすごく嬉しく、思わず涙がでた。