令和8年度から予定の上石神井小学校と上石神井中学校の建て替えについて、基本設計が完了し図面が公開されました。これまでは別々だった小学校と中学校の校舎が同じ建物になります。小中一貫校にするのでもなく、同じ校舎に小学校と中学校が併設されるのは練馬区では初の取組み、23区でも非常に珍しいケースです。時間割をはじめ、教育課程や指導要領も異なる中で一貫校にもせず、なぜあえて同じ建物の中に設置する必要があるのでしょうか?練馬区は敷地の面積を有効利用するためとしていますが、最大の理由は2校の建て替えを1校にすることで費用を削減することではないかとの声も上がっています。
5月20日の文教児童青少年委員会で、「練馬区立上石神井小学校および上石神井中学校校舎等改築基本設計概要について」報告がありました。基本設計の内容が示され、その中で現在は近接する2つの小学校と中学校が一つの建物に集約すること、工期は令和8年から令和14年になることなどが示されました。資料は下記のリンクをご覧ください。
05【資料4】練馬区立上石神井小学校および上石神井中学校校舎等改築基本設計概要について1
なぜ別々に存在する小中学校を一緒にするの?
今回の計画については、学校関係者の方々から懸念の声を頂いています。その中でも最も多いのが、なぜ小中学校を同じ建物にする必要があるのか、ということです。
・既に2つの学校があるのに、なぜわざわざ同じ建物で同居させる必要があるのでしょうか?ビルを作って狭くすることの意味がわからない。小学校と中学校が同じフロアにあり、お互いに干渉してしまうことに。今存在しない問題が顕在化してしまいます
・それぞれが教育課程に基づいてそれぞれの教育を行っていて、指導要領も異なります。小学校と中学校が普段の教育で連携することはなく、教員の免許の種類も違います。しかも今回は小中一貫校にするわけでもないですし、それぞれ違う目的に基づく、別のものです。なおさら一緒にする必要はありません。例えば、病院と老人施設を一緒にすれば効率的になるのでしょうか?
練馬区の説明は、現在の小学校では体育館が2階にあり、災害対策のために1階にしなければならないが、そうすると敷地が狭くなってしまうということ、中学校は道路に囲まれているが、こちらも建て替え時にセットバックしなければならず敷地が少し狭くなってしまうとのこと。こうした課題を解決するために校舎を一体化するとのことでしたが、実際には一つの学校にすることで、2校分の工事費を1校分に抑えるためではないかとの声も上がっています。
一体化で特別支援教室が減ってしまう?
一体化することで様々な制約も発生しています。上石神井中学校は特別支援教室の拠点校でもあります。そのため、プレイルームや巡回教員用の職員室などもありましたが、基本設計では全て無くなっており、教室もわずか一つになっています。小学校と中学校で同フロアにありますが、時間割が異なる中でチャイムをどうするのか、子ども達が小学校や中学校に行ってしまった場合、誰が監督責任を負うのかなど教員の負担も非常に大きくなるものです。また、現在は南向きを中心に教室が配置されていますが、建て替え後は教室数が増えるために北側の教室も非常に増えることに。それぞれが勝手に移動するのを避けるために小学校と中学校の間に壁やドアを付けることなども検討するとのことですが、それでは同じ建物にする必要はありません。
今後、実施設計が行われますが、教員や現場の声をきちんと聴くとともに、何よりも子ども達にとって望ましい環境になるよう対応を求めていきます。過去の報告はこちらをご覧ください。
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