一般質問の報告① 性的マイノリティの人権保障について

先日の一般質問、主題は「マイノリティの権利保障」でした。 質問では1. 性的マイノリティの権利保障について、2. 外国籍住民の権利保障および多文化共生社会の実現について、3. 待機児童対策について、4. まちづくり(大江戸線延伸)を取り上げました。 本日は、その中で、性的マイノリティの権利保障について抜粋をご報告します。待機児童問題については、区長のひどい答弁もありましたが、性的マイノリティの問題については、具体性の乏しい部分もあるにせよ、全体的にはある程度、前向きな答弁だったと感じています。 特に、教職員向けの性的マイノリティに関する研修プログラムの実施については、学校として組織的に取り組むことを言っており、前進だと思います。また、情報コーナーの設置や交流会についても、前向きな回答でした。 (正式な議事録ではないので一部誤りがある可能性もあることをご了承ください。) <質問1> 各学校には、(カミングアウトが前提とされる)性的マイノリティの児童生徒が在籍していることが明らかな場合にのみ、対応を求めるのではなく、こうした児童生徒が存在することを前提として対応を求めるべきだと考えますが区の認識をお聞かせください。 <区の答弁> 児童生徒が様々な人権課題について学び、人権尊重の精神を生活の中で生かしていくことができるよう、教育活動全体を通して組織的・計画的に人権教育を推進しており、性的マイノリティについても、人権教育の一環として行っています。 <質問2> 学校では「違い」を「個性」と捉え、認め合うべき事を授業等の中で積極的に発信することが必要です。また、図書室や保健室等に、性的マイノリティに関する書籍を置く、ポスターを貼るといったことを通じて、学校として当事者への理解を表明すべきです。この提案に対する区の認識を聞かせてください。 <区の答弁> 学校における啓発の取組やその方法につきましては、各校が自校の実情を踏まえ、児童生徒の発達段階に応じて工夫していきます。 <質問3> 練馬区として、文部科学省が教職員向けに対して発行した性的マイノリティの児童・生徒への配慮を示した手引きに従い、教員研修プログラムを早急に策定すべきだと考えますがプログラム策定に向けた区の考えを聞かせてください。 <答弁> 教育委員会として、この資料を踏まえて、教員研修の計画を立案し、副校長対象の研修会や希望する教員を対象とした人権教育研修会を実施していきます。研修を通して、性的マイノリティに関する理解啓発を促進するとともに、各校における研修の中心的役割を果たす人材を育成し、各校が人権教育担当者や生活指導担当者、養護教諭等を中心に組織的に取り組めるよう、指導してまいります。 <質問4> 相談窓口は、性的マイノリティの方を対象とすることを改めて周知するとともに相談員を対象とした基礎研修の実施、そして、他自治体や支援団体等の相談事例を収集し、相談対応向上のための情報共有を図るべきです。区の所見をお聞かせください。 <答弁> 男女共同参画センターを含めた相談窓口を充実するため、適切な支援に繋ぐ専門機関等との連携や職員の専門研修の受講、他自治体や支援団体等の相談事例の収集など準備を進めています。 <質問5> 小・中学生を対象に、学校でこの相談窓口を含め、親や学校を通じずに相談できる場を紹介すべきです。この提案について区の所見を聞かせてください。 <答弁>  小中学校では、性的マイノリティを含めたさまざまな相談に関して、リーフレットや案内カードの配布、校内でのポスター掲示などを用いて、区の教育相談室、東京都教育センター、文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」等を紹介しています。今後も児童生徒への相談窓口の周知を図ってまいります。 <質問6> 練馬区は区立施設を活用し、情報コーナーを設置し、役立つ情報を取りまとめ発信すべきです。情報コーナーでは、性的マイノリティ関連図書、資料等をそろえるとともに、区や支援団体の取組を紹介し、性的マイノリティ関連のイベントを開催すべきです。同時に、横浜市が実施しているような当事者や支援者の交流の機会を設けるべきです。 <答弁> 区立図書館や男女共同参画センターの図書・資料室では、性的マイノリティに関連する書籍の購入、貸出しを行っています。引き続き、人権パネル展や男女共同参画センターを活用した情報コーナーの設置など、さまざまな事業や機会を捉えて効果的な情報発信方法を工夫してまいります。当事者や支援者が交流する機会として、男女共同参画センターにおいてワークショップを開催いたします。今年度の人権セミナーにおいて、当事者による講演会なども予定しております。 (写真は先日参加した東京レインボープライドの様子です。)

二回目の一般質問

本日、一般質問を終えました。 一般質問は練馬区では、全ての議員が年に1度、議会の場で、区長に対してどのようなことでも報告や説明を求めることができる貴重な機会です。 準備にあたっては、たくさんの方から区政への思いや改革へのご提言を頂くことができ、そして、直前にはお腹の風邪による絶食というアクシデントもありましたが、家族や、皆さまのご支援のおかげでなんとか完成させることができました。 そして当日。 議場に立つと、目の前には議長以外の全議員が座っていて、毎回とても緊張するのですが、平日の昼間にもかかわらず、30名を超える方が傍聴席へと応援に来てくださっていて、一人ひとりのお顔をみただけで、とても勇気づけられました。 今回の一般質問、具体的な内容については明日以降にご報告しますが、とても残念だったのが、私の発言に対する区長の答弁(意見)でした。 昨年行った初めての一般質問では、区長に答弁を求めたのにもかかわらず、区長は一度も答えなかった、ということがあり、今回は答弁するのか、また、その場合何を発言するのか、ということに注目していました。以下が、待機児童対策の質問に対する区長の答弁(抜粋)です。(正式な議事録ではないので、誤りがある可能性もあります。) <待機児童対策について> 「岩瀬議員にお答えするのは初めてですが、大変細部にわたるご質問を頂き、感心しながら聞かせていただきました。しかし、残念ながら、私はご質問に違和感を覚えざるを得ないのであります。(中略)…本来、待機児童をはじめとする子育ての支援は、自治体の保育行政だけでなく、育児休業などの労働政策や児童手当などの所得政策などを含めた総合的な政策として、国が取り組むべきものなのです。なぜ、国を批判するのではなく、微力ながらこれだけ頑張っている練馬区を責められるのか、全く理解ができないのであります。本末転倒ではないかと思います。 私はこれまで長い間行政と政治の現場にいて、色々な方々を見てきました。はじめは社会正義から出発したはずの活動が、いつの間にか行政への反対それ自体を自己目的とするようになる。そういう場合がままあります。極端な場合には、反対するという結論がまずあって、そのために無理やりあらさがしや揚げ足取りをされる方もいます。若い岩瀬議員は決してそうではないと思いますが、ぜひ内容のある建設的な対案を頂くようお願いいたします。」 (ここまで) 区長の答弁、練馬区は今年4月までに待機児童をゼロにすると約束したにも関わらず、166名発生したという事実に対して、区の責任を全く認めていません。そもそも、保育所の設置者は、地方公共団体であり、また、国と地方公共団体の関係性は上下ではなく並列であるはずです。また、これは個人的な感想ですが、区長が公の場でことさら「若い議員」として扱うこと、反対することを目的に活動しているかのような回答をすること、誠実な回答とは思えません。区長のこの答弁が現在の区政を象徴していると感じます。

東京レインボープライド2016

先日、代々木公園で行われたレインボーフェスタに参加しました。このフェスタでは、日本全国のLGBTおよびアライ(支援者)が代々木公園の野外ステージでパフォーマンスを行うとともに、周辺にLGBTを支援する団体や企業、大使館などたくさんのブースが出店されていました。 フェスタに12時前には到着したのですが、すでに歩くのに苦労するほどたくさんの方々が。これほどの方が、おもいおもいのスタイルでフェスタを楽しんでいる、その姿に感動しました。私自身、海外にはLGBTであることをオープンにしている親しい友人たちは何人もいますが、LGBTについて一見「寛容」なようで、そのアイデンティティを前面に出すことがタブー視されがちな日本では、カミングアウトしていない友人が大半です。 それぞれのブースを訪問させていただきましたが、非常に勉強になったのが、「LGBTの家族と友人をつなぐ会」の活動でした。この団体、その名の通りLGBTの家族や友人などによって構成される会で、社会に存在するLGBTへの偏見や差別をなくすために、あらゆる人々がその多様性を認め合える社会を作るために2006年に設立されたもの。具体的には当事者や家族、友人へのサポート、普及啓発、自治体等への提言・調査を行っているそうです。ご自身の友人もLGBTであり、その方がつらい思いをしている中で、どうサポートしていいのか、わからなかった、だからこそ、こうした団体に参加して、少しでも力になりたかったという話も伺いました。 ある当事者の方が「LGBTの方への差別や偏見というのは当事者だけの問題ではなく、社会全体の問題であり、だからこそ、みんなで解決しなければいけない」と仰っていましたが、私も「多様性が認められる社会こそが誰にとっても住みやすい社会」だと信じており、まさにこういった取組が必要だと再認識しました。 今回の出会いを参考に、練馬区においても、地域の中でのLGBTの家族や友人を結びつけるような、そんな取組を練馬区の中でも実現できるよう活動したいと思います。  

2018-08-21T09:41:57+09:002016年5月8日|Tags: |

性的マイノリティを取り巻く現状について(平良愛香牧師の講演)

先日、牧師の平良愛香さんの講演会に参加しました。 平良さんは日本で初めてゲイであることをカミングアウトした牧師で、性的マイノリティの方に対する差別や偏見の解消や、当事者支援のための活動を各地で行っています。家族が通っている大泉教会とも深い縁のある方で、今回お話を伺うことを楽しみにしていました。 講演会ではご自身の経験とともに性的マイノリティを取り巻く状況についてお話されました。ご自身が性的マイノリティであることをカミングアウトされた際、最も傷ついた言葉が、「大丈夫、そのうち治るよ」だったそうです。誰を好きになるか、それは決して病気ではない、にも関わらず、病気であるかのようにレッテルを貼られることが辛かったとお話されました。 また、平良さんにとって大変な勇気を必要としたのが、カミングアウトすること。だからこそ、カミングアウトしやすい環境を作ることが大切とのお話でした。 平良さんもおっしゃっていましたが、日本では同性愛者であることで処罰されることを理由として難民申請したイランの人が不認定(裁判でも敗訴)になったりしているそうです。この根本には、「隠せば処罰されることはないのだから、隠して生きればいい」というような、性的指向がアイデンティティの大切な一部であることに関する日本特有の無理解があるのではないかと思います。 この1年を通して、私が一般質問等で訴え続けたことを通じて、男女共同参画計画の中に性的マイノリティの方のニーズへの対応が盛り込まれたり、性的マイノリティも対象とした相談窓口が整備されることになったり、様々な進展がありました。しかしこうした制度を作ることとともに、実際に制度を担う方々がしっかりと本質を理解することも大切だと実感しました。 多様な生き方が認められる寛容な社会は、誰にとっても生きやすく住みやすい社会です。 少数者が生きづらい社会は、自由な社会とは言えないと思います。だからこそ、これからもこの問題にしっかりと向き合っていきたいと思います。

2018-08-21T09:41:58+09:002016年4月8日|Tags: |

練馬区の性的マイノリティの権利保障について(パブリックコメントの募集)

練馬区ではこれまで、性的マイノリティの方に対する取組はほとんど手付かずで、区として性的マイノリティの人権擁護、差別撤廃に向き合う方針も示されてきませんでした。 私が9月に行った区への一般質問では、区として性的マイノリティの人権擁護、差別撤廃に向き合う基本的な方針を「男女共同参画計画」に示すこと、現在差別で苦しんでいる方への相談窓口の設置等を求めました。 そんな中、練馬区の「第四次男女共同参画計画 素案」が完成しました。 現在、区のウェブサイトに公開されており、1月12日までパブリックコメントを受けることになっています。(練馬区ホームページ) 一般質問の内容がどの程度反映されたか、非常に心配していたのですが、「性的マイノリティの方への情報提供および区民への啓発」が施策の中に新たに盛り込まれ、その中で、相談窓口についても明確に言及されていました。 「性的マイノリティ」という言葉が区の計画に出たのは今回が初めて、大きな一歩であると思います。 以下が素案に掲載されている文章です。 「性的マイノリティの方への情報提供および区民への啓発(新規) 性別にかかわる悩みや問題を抱える方に、相談窓口や必要な情報を様々な方法でわかりやすく提供するよう努めます。あわせて、性のあり方には様々な形があること等の知識を広く区民に周知するための啓発を進めます。」(ここまで) 一方で、学校での取り組みや災害時の対応などについては言及されていません。皆さんにはぜひご覧いただいたうえで、パブリックコメントとして意見していただければと思います。

2019-03-05T20:50:09+09:002015年12月14日|Tags: |

性的マイノリティへの偏見や差別について

先日の本会議における自民党の議員の性的マイノリティや結婚のあり方に対する発言に関して、皆さまからたくさんのご意見をいただいた中、改めて私自身の考えを述べたいと思います。 前提として、一般質問でも述べたとおり、私は日本国憲法が保障する個人の尊重と法の下の平等という理念に基づいて、すべての人がその性的な指向や性の自認にかかわらず基本的人権を享有する個人として、差別を受けることのない社会を実現しなければならないと思います。この問題は、アイデンティティの問題であり、同時に、個人の尊厳の問題だからです。 夫婦のあり方について、私は、夫婦になるということは決して子どもを産み育てることだけではなく、パートナーと尊重しあい、受入れ、ともに成長することだと信じています。 夫婦のあり方には個人が多様であるのと同様に多様性が認められるべきであり、同性であったとしても、法律で認められるべきです。性的マイノリティは人口の常に5%~7%は存在すると言われています。異性には婚姻による全ての権利と義務を持つ関係を認める一方、性的マイノリティに対しては同性であることを理由に否定するなら、それは差別だと思います。 そして、性的マイノリティの置かれている状況について、日本には差別や偏見が存在しない、という指摘でしたが、決してそうではありません。内閣府が策定した自殺総合対策大綱でも、性的マイノリティの方が周囲の無理解や偏見によって、自殺をしたいと思う比率はそうでない方に比べて高いとされています。学校でも性的マイノリティであることを理由にいじめにあう子供の数は多く、これを受けて文部科学省は、性的マイノリティの子供について、配慮を求める通知を全国の国公私立の小中高校などにも出しています。 こうした中、地方自治体が果たすべき役割は、地域の中で性的マイノリティに対する偏見や差別を解消していくことだと思います。 そして、そのためにまずは区の基本方針である男女共同参画計画の中で、性的マイノリティの権利保障を明記すること、そして、偏見や差別に苦しむ当事者のための相談窓口を設けること、学校などで性的マイノリティに対する理解を進めることなどを訴えてきました。法律を改正する前に自治体で出来ることとしてパートナーシップの認定などもありえると思っています。 だからこそ、これからも、性的マイノリティの人権保障を訴え続けるとともに、今後の対応についても、当事者の方の声、そして議会のあるべき姿を考えながら、検討したいと思います。

2018-08-21T09:42:04+09:002015年12月4日|Tags: |

渋谷区条例「日本の価値観否定」練馬区議が議会で批判(東京新聞のタイトルより)

先日の一般質問で練馬区の自民党議員が、渋谷区の同性パートナーシップ条例や世田谷区のパートナーシップ証明書に対して批判的な質問を行いました。 私自身は、9月の一般質問で性的マイノリティの人権擁護について訴えていたので、その内容には驚きました。(⇒記事を読む) 先日の発言は本日の東京新聞の記事「渋谷区条例「日本の価値観否定」 練馬区議が議会で批判でも取り上げられ、反響をよんでいます。 数日後に練馬区議会の公式サイトでも公開されますが、まずは昨日の一般質問の内容について、本日、私が録音から書き起こした内容をご紹介します。 私の感想については、改めて記載させていただきます。 ※ただし、こちらはあくまでも私が書き起こしたものですので、公式版ではなく、不明な点や聞き間違いなどがあることもご理解ください。区からの答弁も後半部に記載しています。 (■は不明な箇所です。) 「次に、この4月から渋谷区で施行された条例『渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』に関してお伺いをいたします。 ここで取り上げるのは渋谷区に続いて、世田谷区においても条例とはいかないまでも、区長権限においてパートナーシップ宣誓書を受け取る仕組みをつくるというように、流行好きのマスコミが煽るなか他の自治体においても区民を混乱に陥らせかねない動向が見えるからであります。 渋谷区のこの条例は、性的少数者、LGBTの人権尊重をうたい、この(件)に関して、区・区民・事業者の責務を規定、それを推進会議を設置して施策をすすめると共に、禁止事項や相談窓口を設け、違法行為に対する勧告に従わない場合は関係者の氏名などを公表するという制裁規定まで設けたものであります。 この条例の制定に関しては、その制定の有り方において問題点が指摘され、またその中身において憲法24条と94条に抵触しかねないとする見解が法学者からも出されており、多くの問題を孕んだものと考えられます。まず、その制定過程は伝えられるところでは渋谷区が条例案を3月区議会へ提出すると発表したのは5月12日、ところがその前に、内容が報道機関にもらされ同日朝には報道されていたようです。委員会での事前説明などは一切なく、まさに議会軽視。渋谷区議会自民党の木村幹事長の表現を借りるならば、「議会に何の報告も無い、これでは行政への議会へのテロではないか」というものでした。 その裏では、区は昨年7月に弁護士や有識者など8名からなる検討会を設置、それも推進派のみで構成した会で、9回にわたり、9回にわたり検討を重ねていたのです。しかし、議会の委員会に対する検討会に関する詳しい説明は一切なかったそうです。さらに問題なのは、この間、条例案が区民にも非公開とされ、制裁規定まで設けていながら区民の意見を聞くパブリックコメントも行われないままでした。 普段は憲法違反や、民主主義のルール違反については敏感に反応する政党会派が、採決で反対しなかったのは不思議なくらいであります。いかに、性的少数者の人権や多様性を尊重する社会の実現という(未明)があるとは言え、行政の独断にブレーキをかける役割を放棄するならば、議員の責務を放棄したと言われても仕方のないことだと思われます。 そこでまず、お伺いいたします。渋谷区ですすめられたそのような条例制定のプロセスを、区長はどのようにお感じでしょうか、お示しください。 次にその、中身であります。 一般的な考え方として、民法における婚姻の規定を見ますと、東大の大村敦志教授の著書『家族法(有斐閣、2004年)』では「民法は、婚姻の当事者は性別を異にすることを前提にしている。同性では子どもが生まれないので、同性カップルの共同生活は婚姻とはいえないということだろう。民法典の起草者は書くまでもない当然のことと考えていたので、明文の規定は置かれていない。しかし、あえていえば、憲法24条の「両性の合意」という表現、あるいは民法731条の「男は・・・、女は・・・」という表現や民法750条以下の「夫婦」という文言に、このことは示されているといえる。」と明確に示しておられます。つまり、婚姻はつぎの世代を産み育てる人的な関係だからこそ、子どもの福祉を考えて特別に保護していると言えます。 しかし、今回の条例は端的に表現すると同性愛に基づくカップルを結婚に相当する関係と認め、パートナーシップ証明書を発行するというものです。もちろん、同性のカップルからは子どもは産まれません。その発想の根拠となったのが同渋谷区長である長谷部健氏が区議会議員時代に行った3年前の質問、区在住のLGBTの方にパートナーとしての証明書を発行してあげてはどうか、とあたかも渋谷区では性的少数者が虐げられているかのように質問したことに由来します。 その理由としたのが、結婚式場での挙式や、病院での面会などが断られるケースを解決したいというものでした。 この条例の制定を置き土産に引退した桑原前区長の回答は、その時点では、性同一性障害者特例法、これは性別適合手術後に法的な性別の変更を求める法律でありますが、性同一性障害者特例法が2003年に成立したと紹介し、「パートナーシップ証明書の発行がいったいどういう意味をもつのか、自治事務の範囲内として考えることができるのか、研究する必要がある。」というものでした。ここまでは理解できるところであります。 性同一性障害者、トランスジェンダーは自己の性自認の障がいに苦しむ人たちであり、■国連法(国内法)にもあるように法的にも認知されているわけです。 しかし、自己の性的指向を現すLGB、レズビアン、ゲイ、バイセクシャルとは明確に区別されるべきものであります。ところが、それが(■制定された?) 今回の条例はその区別をあえてせずに、意図的な混同がなされています。 そして、事実認識においても問題があります。 性的少数者の権利が不当に侵害されている事実は日本においてはほぼないということであります。 法務省人権擁護局によれば、全国で認知される人権侵害は毎年5万件以上あります。そのうち、性的少数者に関する事件はごくわずかであります。 昨年一年間では、性同一性障害に関する事案が7件、LGBに関する事案は0件であります。 また、電通総研の2012年の調査では日本の同性愛の数は5%程度、人口を一億二千万人として、約600万人が該当します。それだけの数がありながら、全国で一件の人権侵害も報告されていないということは実は日本は同性愛を罪とみるキリスト教文化圏とは異なり、同性愛者に寛容な国ということでもあります。 また、出来上がったこの条例は、当初の説明である結婚式場での挙式やアパートの入居、また病院の面会をしやすくするといった個別的な範囲を超え、渋谷区の区民や事業者などすべてを対象とすることが決まっています。言い換えれば、渋谷区の学校に通学するもの、事業所に勤める人なども、すべて対象にはいっているわけです。例えば、第7条.2では事業者の責務を定め、「事業者は、男女平等と多様性を尊重する社会を推進するため、採用、待遇、昇進、賃金等における就業条件の整備において、この条例の趣旨を遵守しなければならない。」としています。つまり、事業者はこれら同性カップルに対して会社からの家族手当や住宅手当などを支給しなければならないわけです。そして、証明書を取得したカップルは、家族向け 区営住宅に申し込むことも出来るのです。 さらに問題は、第4条、または第8条にあります。 第4条の(3)、性的少数者の人権の尊重においては「(3)学校教育、生涯学習その他の教育の場において、性的少数者に対する理解を深め、当事者に対する具体的な対応を行うなどの取組がされること。」とあります。これは第8条、禁止行為に「何人も、区が実施する男女平等と多様性を尊重する社会を推進する施策を不当に妨げる行為をしてはならない。」とする規定や、(■施策、持続)する上での「区、区民及び事業者は、性別による固定的な役割分担の意識を助長し、若しくはこれを是認させる行為又は性的少数者を差別する行為をしてはならない。」と共に、伝統的価値観でもある男らしさ、女らしさ、男女による結婚を尊重し、祝福する日本社会の価値観を否定するだけでなく、教育の場にまで介入したことで、家庭をも巻き込んで子どもたちの価値観をも混乱に落としかねない、非常に危ういものと断じざるを得ません。さらに言うならば、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とする憲法19条の趣旨に反するものと言わざるを得ません。 渋谷区は、憲法が定める婚姻と全く別の制度、「パートナーシップ証明書に法的拘束力はなく、婚姻制度とは別の制度」と逃げをうっていますが、これに準ずる制度である以上、憲法との整合性をまずは図らねばならないはずであり、明らかに一自治体ごとに完結するテーマではなく、国民的な議論を喚起したうえで展開すべきテーマであります。 憲法24条では、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」とする規定しかなく、そうである以上、渋谷区のこの条例は憲法94条の規定にある法律の範囲内で制定しなければならないものであります。よって、この条例はいくつかの点で条例制定権を逸脱したもの、と考えざるを得ないものであります。区長はこうした他区の動向に関してどのような認識、考えをお持ちでしょうか。率直にお答えください。 <区の答弁> <総務部長> 私から渋谷区の男女平等および多様性を尊重する社会を推進する条例に関連するご質問にお答えいたします。 はじめに条例制定の手続きについてであります。新たな条例の制定につきましては、区議会、区民への十分な協議と説明が不可欠です。練馬区では条例制定に際しましては、適宜区議会への報告、相談を行うとともに、パブリックコメント等を通じ広く区民の意見を反映させて進めております。今後も適切な手続きを踏みながら事務執行に努めてまいります。次に他区の動向に対する区の認識についてです。 渋谷区のパートナーシップ証明、世田谷区のパートナシップ宣誓、などの取り組みについては、これらの区において、性的少数者の方々への配慮の一つとしてなされたものと認識しております。しかしながら、現実的な施策の効果が不明であること、また、現行法との整合性など、検証すべき課題があることなどから、練馬区ではこのような取り組みをする考えはありません。 性的少数者の方々は、周囲の誤解や偏見、無理解により、さまざまな困難に遭遇することがあります。また、ご自身の性のあり方について、知識や認識がないまま、成長された場合、他者の誤解や偏見と相まって、自己肯定感や自尊感情が形成されにくいこともあるといわれております。区では、まず、誤解や偏見を取り除き、性のあり方には様々な形があることなどを広く区民に周知するための啓発が重要であると考えます。引き続き区民への周知、啓発、および当事者への相談窓口などの情報提供などに取り組んでまいります。

2019-03-05T20:50:12+09:002015年12月1日|Tags: |

東京大行進2015 Tokyo Democracy Marchへの参加

本日は新宿で行われた「東京大行進2015 Tokyo Democracy March」に参加。 このパレード、LGBTの方や外国人の方、障がいをお持ちの方などを含むすべての差別のない社会の実現と、日本のデモクラシー、民主主義を守ることを訴えていて、今回で三回目とのこと。 ヘイトスピーチに代表される価値感や考え方、文化的背景が異なる方への排斥が社会に広がる中で、「決して差別は許さない」というメッセージを多様性の象徴的ともいえる新宿の街で訴えるということに共感し、今回初めて参加した。 会場に到着すると、開始前からたくさんの方が差別反対を訴えるおもいおもいのプラカードを手に。印象として、若い方や子供連れの方がとても多い。プラカードも英語や韓国語、中国語やスペイン語などバラエティに富んでいることに驚く。そして、パレードが開始すると沿道の方々、特に外国人の方々からたくさんの声援があがり、どんどんパレードに参加する方の数が増えていく。 パレードは4つのグループに分かれ、それぞれが主張を行う。すべてに参加させていただいたが、特に印象的だったのはSEALDsが先導したグループ。ラップのリズムに載せながら、国会前でも聞いていた「民主主義ってなんだ!」のコール。また、驚いたのが ¡No pasarán!というスペイン語もコールされたこと。直訳すると「決して通さない!」という意味だが、もともとフランコ独裁政権の時にファシズムを許さないという意味でつかわれていたコールがこのように現代日本で「決してレイシズムを許さない」という意味でも輸入されていた。SEALDsの皆さんはあえて悲壮感を出さずに楽し気にやるのでいい。ユルい感じの、それでいて真摯なコールが新宿に響き渡る。デモはかっこ悪い、古臭い、なにかに真剣になるなんてダサいと思っている若者たちも、楽しそうだから参加しようかな?と思ってくれるかもしれたら最高だ。 今回のパレード、感動したのが、SEALDsの先導車両に掲げられていた”Refugee Welcome“(難民歓迎)のメッセージ。私もUNHCRでインターンしたこともあるため、難民受け入れへの思いいれは大きい。 シリアで内戦が続く中、欧州各国が難民の受け入れを積極的に行うための話し合いをしていた矢先、先日のパリのテロが起こった。犯人のうち2人難民申請をしていたことが判明したとたん、今度は積極姿勢を撤回する国まで出てきて、難民受け入れに対する反対運動が勢いを持ちはじめることを、私は非常に恐れている。しかし、第一に、圧倒的多数の難民は、まさにISを含む勢力による攻撃やテロを恐れて命からがら逃れてくるのだ。受け入れの制限をして犠牲になるのは本物の難民たちである。また、9.11含めテロの多くがそうだが、犯人の大部分はベルギー等で生まれ又は育った人々である。彼らがテロリストとなった背景には、イスラム教徒への差別を含む社会統合・多文化共生の問題がある。犯罪者を生まないためには、彼らが生まれ育った国で排除されていると感じずに自身のアイデンティティを持ち続けられる環境づくりも必要なことの一つだ。 日本は昨年も5,000人もの難民申請があったにも関わらず、認定されたのはたったの11人(そのほか30人の人道配慮による滞在許可あり)。シリア人に限っていえば、日本でも国内に500人近くのシリア人が暮らし、そのうち約60人が難民申請をすでにしている。結果がすでに出たのが38人で、その中で日本政府が難民として認定したのは3人。つまり認定率は4%に過ぎない。残りは人道配慮による在留特別許可がなされた。こうした状況の中で、多様性の象徴でもある新宿でRefugee Welcomeを訴えるとともに、すべての差別をなくすために一緒に声を挙げられたこと、すごくうれしい。 練馬区でも、一般質問でも取り上げたように、LGBTや外国人に代表されるマイノリティに対する差別、偏見が多く存在している。その中で、今日集まったたくさんの仲間と意識を共有できたことは私自身にとっても、とてもいい経験をさせていただいた。 Participamos una manifestacion en Tokio para reclamar contra descriminacion a los todos los menores como extranjeros y LGBTs.

2018-08-21T09:42:04+09:002015年11月22日|Tags: |

タウンミーティングの開催地域におけるLGBTの権利保障

先日、病み上がりではありましたが、市民の声ねりまのタウンミーティングを開催。このタウンミーティング、皆さんに議会の報告をするとともに、特定のテーマについて、掘り下げてお話しするというもの。また、皆さんの関心のある分野について、自由にお話しいただくという点にも特徴があります。 今回は特に、池尻議員は練馬区の待機児童について、私は性的マイノリティ(LGBTI)の権利保障についてみなさんにお話ししました。 当日は、天気のいい日曜の昼下がりにもかかわらず、35名もの方にお越しいただきました。 性的マイノリティは欧米の多くの統計だと10%、日本の統計でも5%はいるといわれています(ちなみにこれは、日本人には性的マイノリティが少ないということではなく、隠している人や、社会的プレッシャーで無意識に抑圧している人が多いからだと思っています)。欧米では性的マイノリティの権利保障の動きは進んでおり、2000年にはオランダで初めて同性婚が合法化され、現在では16か国で認められています。 日本では、まだまだ。例えば、親しい友人や親せき、同僚に性的マイノリティがいるか?という調査が昨年行われていますが、それによると、スペインやイタリア、米国、英国などでは50%以上がいる、と答えた一方、日本ではわずか8%しかいませんでした。それだけ、性的マイノリティの方は自分のセクシュアル/ジェンダーアイディンティティを隠さざるを得ない状況が続いているといえます。 また、性的マイノリティの方を対象とした調査においても、異性愛者の方に比べて、自殺をしたいと思ったことがある比率は6倍以上、また、自己肯定感は異性愛の方に比べて半分程度しかないことが明らかになりました。 こうした状況に対して、区として性的マイノリティの方の権利保障を示すための基本方針の策定、差別で苦しんでいる方への相談窓口の設置等を求めていることをご報告しました。 「好きな人と一緒に過ごしたい」、「こどもを育てたい」、「自分の人生や生き方を自分で決めたい」。どれもすべての人が保障されるべき当然の権利です。 私は、日本国憲法が保障する個人の尊重と法の下の平等という理念に基づいて、すべての人がその性的な指向や性の自認にかかわらず基本的人権を享有する個人として、差別を受けることのない社会を実現しなければならないと信じます。この問題は、アイデンティティの問題であり、同時に、個人の尊厳の問題なのです。 意見交換では、皆さんからこれまで自分とは関係ないと思っていた性的マイノリティの権利保障についても身近に感じることができた、という声をいただくことができました。 また、皆さんからは、無戸籍、無国籍の方に対する区の取り組み、子育て支援、永住外国人への取り組み、などについてたくさんのご意見をいただきました。タウンミーティングという形にして、皆さんが双方向で議論をできるようにした今回の試み、ある程度の成功だったと思うとともに、次回はさらに皆さんが話し合い雰囲気を作っていきたいと思います! Ayer, tuvimos una reunion para informar los resultados y actividades hechos en asambrea local que se ha terminado en Octubre. En la reunion, destacamos la importancia de proteger los derechos de los LGBT en Japon.

2018-08-21T09:42:04+09:002015年11月2日|Tags: |

(決算審議)練馬区の外国語のウェブサイトがひどすぎる

国会では違憲の安保法が成立する中、区議会では決算審議が続いている。 決算審議とは、2週間をかけて、決算に関連した費目すべてについて質疑を行うもの。 区の理事との一問一答形式なので、区からの回答を想定しつつ、こちらが得たい答弁を引き出すために質問を構築する、臨機応変な対応が求められる。 先日、初めて決算質疑を行った。その日の費目は文化交流費。これは、外国人との共生などに向けた予算も含まれる。質問したい項目は沢山あったが、戦略として、練馬区が提供している外国人向けの多言語のウェブサイトに絞って質問を行った。 そもそもこのウェブサイト。区内の外国人からの相談が問題に気付いたきっかけだった。 彼の説明では、練馬区に引っ越してきて、生活お役立ち情報を見るためにウェブサイトを見たら、さっぱり意味がわからないとのこと。私も実際に見て、あまりのひどさに愕然とした。 まず翻訳の問題。ほとんどが酷くて有名な機械翻訳で行われている。例えば、練馬区が実施している「外国語による相談」の案内。これは、外国人にとっては、行政に対して日常の問題を直接相談できる貴重な機会である。しかし英語に翻訳された案内を見ると冒頭に“Consultation of would be a problem (…)”とある。もともとの意味は「困ったことに関する相談」である。英語では文法自体が間違っているが、of が誤植であると考えて除くと「相談すること自体が問題」という意味になる。つまり、相談窓口であるにも関わらず、相談自体を断っていることになる(!)。 次に、ウェブサイトの構造に関する問題。現在は外国人にとって必要な情報がどこにあるのか、非常にわかり難い。例えば、相談窓口の案内、日本語のページの「学ぶ、楽しむ」の項目をクリックしないと見られない。10,000ページにも及ぶ膨大なページから、この情報を得ることはほぼ不可能である。また、防災情報についても、機械翻訳の不可解な文章を一生懸命解読して、なんどかクリックしてやっと緊急医療を提供する病院のリストにたどり着く。そうそう、これだよ!と思ってクリックすると、なんとリスト自体は全部日本語・・・。これではどこに何があるのかわからない(汗)・・・。 そこで、私が行った提案。少なくとも外国人にとって必要な情報、特に、命や生活にかかわる情報、さらに相談業務や住民記録についての情報などはすぐにその翻訳を改善すること、そして、外国人にとって重要な情報だけを集めた別サイトを作ることを求めた。 これに対し、区の答弁は、問題を認識するとともに、今年度中に出版される「暮らしの便利帳」の外国語版をベースに、翻訳の改善、そして新たなウェブサイトの作成を検討するという回答だった。 これは非常に大きな前進だった。まずは問題をしっかりと認識したこと、そしてさらに、具体的な方法とともに改善を検討すると約束したことは予想以上の回答である。 少しずつではあるが、外国人の人権を守るために区が動き出したこと、すごく嬉しい。これからもしっかりと取り組んでいきたい。

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