2024年6月3日、第2回定例会の初日に陳情第52号 「練馬区立谷原保育園の閉園撤回を求める陳情」と、陳情第49号 「転園が予定される園に対する引継ぎ期間の延長を求める陳情」への賛成討論を行いました。
谷原保育園の閉園撤回を求める陳情では、
賛成したのは:
私達(インクル)、共産、ネット、つながる、れいわ(50名の議員のうち12名)
引継ぎ期間の延長を求める陳情では、
賛成したのは:
私達(インクル)、立憲、共産、ネット、つながる、れいわ(50名のうち18名)
それぞれ否決されました。
討論での訴えは以下の通りです。
陳情第49号「区立谷原保育園から私立保育園への転園が予定される園児に関する引継ぎについて」および陳情第52号「区立谷原保育園の当事者を置き去りにした閉園計画の撤回等を求めることについて」。第52号の願意は子ども達のために区立谷原保育園を残してほしいという思いであり、第49号の願意は私立保育園への転園前にせめて1年の引継ぎを求めるものです。いずれも「賛成」の立場から討論を行います。
【陳情者に賛同した延べ2万5千人の思いを練馬区は無視】
最初に陳情に賛同した方の数について、52号の閉園計画の撤回を求める陳情には区長が就任されて以来最多となる1万3千人以上が署名をしています。2022年に否決された同趣旨の陳情でも約1万2千人、合計すると延べ2万5千人もの方が署名をしていますが、区はこれだけの声を真摯に受け止めてきませんでした。
2022年の陳情審査の際には、署名をした方について練馬区は「計画の目的を十分に伝えきれていなかった」と回答。つまり、1万2千人もの方が勘違いをして署名したものであり、これから丁寧に説明していくと切り捨てています。その後、新たに1万3千人が署名したことを受けて、区はようやく「重く受け止める」としながらも、それでも閉園撤回の考えはないとしています。
【閉園の理由は老朽化ではなく、経費削減のため?】
また、谷原保育園の閉園の理由について、練馬区は建物の老朽化を一番の理由としていますが、谷原保育園よりも老朽化している施設も多く、また安全性の問題もない中で、到底納得できるものではありません。2022年の陳情審査にあたり、当時のこども家庭部長は「1円たりとも無駄にしないということで取り組んでおり、そういった中で谷原保育園の計画を示している」と説明、つまり、谷原保育園の閉園は財政上の理由と明言しています。
さらに、陳情49号での保護者からのせめて他の区立園と同じように1年の引継ぎを行ってほしいという切実な声に対しても、練馬区は4月1日までに転園しないと、都からの1年分の運営費が入って来ないからこれ以上はできないと説明。ここでも保護者や子ども達の不安や保育の継続性よりも区の財政上の負担を重視するとしたわけです。
【保護者は転園を喜んでいる?】
また引継ぎについて、練馬区は1月から3月に実施された保育参加において、寄せられた保護者の声として肯定的な意見ばかりを議会で強調、報告してきました。しかし、実際には不安に感じている声も多く、2月の区との懇談会では泣きながら改善を訴える保護者もいました。保護者からは懇談会での話の一部を練馬区が切り取り、転園を喜んでいるかのように捏造されたとの声も届いています。
【いまだに保護者や子どもは不安を抱えている状況】
そして現在の状況について、転園して2ヶ月が経過しても、保護者は転園前と同様の安全・安心が保たれているとは思えず、安心して子供を預けられていないとも訴えています。不安な事や改善して欲しい事を直接しろくま保育園へ訴えている保護者もおり、就労しながら子供を保育園へ預けている保護者にとってその労力は大きな負担にもなっています。しろくま保育園の保育士も、急な転園に対応させられた政策の被害者でもあります。
このような事態となる事は転園前から想定出来ており、だからこそ陳情でも、閉園撤回、せめて1年の引き継ぎを行う事を要望していたのです。
【しろくま保育園で4人の定員に26人もの希望者が】
また、地域の需給について、谷原保育園の1歳児クラスを無くしたことで地域の保育サービスにも影響が出ています。開園したしろくま保育園については希望が殺到し、特に2歳児は4人しか募集が無かったのに26人もの希望者が出ています。つまり、この地域で絶対的に保育園が足りないわけです。練馬区は4年連続待機児童ゼロを達成したとしていますが、その裏には1歳児1年保育に加え、今年初めて実施する2歳児1年保育など、本来の保育とは全く異なる形での緊急的な受け入れが数百人に達しています。そうした中で、谷原保育園を閉園することで更なる問題を引き起こすことは明らかです。
【まとめ】
今年度の予算では「子ども達の笑顔輝くまち」を目標に掲げていながら、子どもや保護者を非常に苦しめています。コスト削減のために谷原保育園を閉園することが本当に区民全体の利益なのか、練馬区が言う子どもの笑顔とは何なのか考えるべきです。
保護者からは、これほど辛い思いをするのは私達を最後にしてほしい、二度と同じことを繰り返さないで欲しいという悲痛な訴えが届いています。練馬区は「今の所予定はない」としながら、あくまでも未来のことはわからないとのことです。公立保育園に入園する全ての保護者を不安にさせるものでしかありません。
だからこそ、練馬区が2度とこうしたことを繰り返さないためにも、2件の陳情はいずれも可決すべきです。以上で賛成討論を終わります。
今回の陳情は否決されてしまいましたが、これで終わりではありません。谷原保育園の存続にむけ、今後も全力で取り組みます。