病児病後児保育と就園前の子どもや保護者の居場所である子育てひろばについて、葛飾区の「幼保連携型認定こども園すなはら」を視察しました。葛飾区は2019年に日経DUALの「共働き子育てしやすい街ランキング」で1位を獲得、特に病児保育施設の充実が評価されています。また、子育てひろばも区内に46カ所を整備、練馬区のような独立型とは異なり、そのすべてが保育園や幼稚園に併設されている特徴があります。
病児・病後児保育、練馬区と葛飾区の違い
練馬区には8カ所の病児・病後児保育施設(68名)が存在します。
病児・病後児保育とは
病気の回復期で集団保育の難しい期間や、病気の回復期には至らないが、当面急変の恐れのない期間に一時的に保育します。
(出典:ねりま区内のほいく状況)
練馬区は「第3期練馬区子ども・子育て支援事業計画」で受入れ可能数(供給)が実際の利用者数(需要)を大きく超過していることから、今後の整備については否定的です。
(出典:第3期練馬区子ども子育て支援事業計画)
しかし、1年を通してみれば計算上は足りているとしても、実際には風邪が流行る時期などには定員を超えてしまい利用できないといった課題も存在しています。
こうした中で、葛飾区では人口44万人と練馬区(75万人)よりも30万人以上少ないにも関わらず、病児保育4か所と病後児保育7か所をあわせて合計で11か所(44名)の施設を整備しています。人数は練馬区の方が多いですが、施設数では葛飾区の方が多い状況です。
葛飾区と練馬区との最も大きな違いは、葛飾区では全て保育園に併設している点にあります。視察したすなはらが実施している病後児保育室でも別れた部屋で保育されているのですが、保護者も保育園で預けられることで安心でき、園児も窓から他の子ども達が外で遊ぶ様子が眺められるなど、リラックスしていた様子が印象的でした。実際の様子はこちらもご覧ください。
他方で練馬区では園に併設しているのは2カ所のみ。数字上は需給を満たしていても、実態にはまだまだ不足しているなかで練馬区でも病後児保育施設を保育園に併設させる形も増やしていくべきだと考えます。
子育てひろば、葛飾区では幼稚園や保育園に併設
就園前の子どもや保護者の居場所の「子育てのひろば」について、練馬区では現在29カ所が存在しています。
(出典:第3期練馬区子ども子育て支援事業計画)
他方、葛飾区では46カ所で練馬区よりも多く、最大の特徴はすべて保育園や幼稚園に併設されている点にあります。保育園や幼稚園に併設されることで、保護者は他の園児や保護者の様子を見たり、保育士や看護師、栄養士に相談したりすることも可能です。また、子ども達も園庭で他の園児と遊んだり、社会性を養うことも可能です。視察先でもひろばの子ども達が園児と園庭で一緒に遊んでいました。
練馬区では独立した場所でのひろばが中心で、保育園への併設は現在1カ所のみ(しろくまひろば)ですが、多様な選択肢を提供するためにも保育園や幼稚園との併設型についても検討すべきだと思います。
視察を終えて
葛飾区の病児病後児保育や子育てひろば、いずれも保育園との連携という意味で非常に勉強になりました。他区の先進事例から練馬区が導入すべき点も多いはず。今後の改善に向けて訴えていきます。ぜひご意見などありましたらお寄せください。これまでの訴えはこちらをご覧ください。