12月4日の文教児童青少年委員会で、練馬区立小中学校のタブレット(GIGAスクール端末)の更新について報告されました。リース期間は20230年までの5年間、2025年12 月中旬から2026年2月下旬までの間に各校を通じて、全児童・生徒に新機種を貸与予定です。

しかし、リース料は倍以上になったにも関わらず、保護者や子どもから最も意見が多かった「重すぎる」という声が反映されないまま、前回と同様の機種を導入することになりました。

1. これまでとの違いは?

練馬区はこれまで使っていたタブレットの後継機にあたるLenovo 500e を機種として選定しました。今回はLTEとWI-FIの併用が可能となり、故障で最も多かったドングルは無くなります。オペレーティングシステム(クローム)の変更はありません。

委員会資料はこちらをご覧ください。

18【資料11】児童生徒用タブレットパソコンの更新について

2. リース料は倍増 月額4,230万円→8,920万円に

区が示した契約金額は、前回の月額4,230万円から、今回は8,920万円へと倍以上に増加。これには故障用の予備機を前回より6千台増やしたこと、教員用端末や保管庫の増設分を含みますが、それを差し引いても費用負担は大幅に上昇しています。

この金額は国からの補助金を除いたもので全額が練馬区の負担に。つまり、年間で10億、5年間で約50億円の出費となります。

3. 重量は1.37kg→1.33kgへ。その差はわずか40g

更新後も重量は1.33kg(現行1.37kg)とほぼ変わらず。

23区では8区がiPad、7区がWindows、7区がChromebookを採用してきたなかで、練馬区は今回もChromebookを継続しました。

これまでも小学生の体格には不相応な重さで、「ランドセルが重すぎて子どもの身体が傾いてしまう」といった保護者からの声を何度も練馬区に訴えてきました。しかし区は今回も同様の機種を選定。その理由について

「耐久性を重視した」「落下時の故障率が高いため軽量型は避けた」

と説明しています。

また、今回の機種選定にあたり、区は教員へのアンケートを実施。結果、使い慣れている現在のシステムや現行コンバーチブル型の継続を望む意見が多かったとしています。

一方で、保護者や児童・生徒への直接の意見聴取は行われず、委員会で区は「教員が保護者・子どもの声を踏まえて回答していると思う」と説明するにとどまりました。

子どもや家庭こそ、実際に重さや不便さを感じている当事者であり、その声が政策決定に直接的に反映されない構造は大きな問題です。

現在使われているタブレット

4. 保管庫の増設、本当に活用されているのか?

今回、区は小学校に「2年生学級分の充電保管庫」を追加配備し、低学年の負担軽減を図るとしています。

しかし、これまで現場からは、教室内にスペースがなく、廊下や空き教室に設置している。低学年児童が階をまたいで取りに行く負担があり、ほとんど活用していないといった意見が届いており、保管庫は必ずしも解決策になっていません。そもそも、タブレットは家庭学習での活用を重視しており、学校に置いて帰ることを前提とするのは本末転倒ではないでしょうか?

5. 今後に向けて…練馬区のタブレット活用状況は全国の平均以下

最新の全国学力・学習状況調査によると、練馬区の「週1回以上タブレットを活用している」児童生徒の割合は都・全国平均を下回る水準に留まっています。

また、「情報を整理できる」と答えた割合も中学校で全国平均を下回りました。

詳細はこちらをご覧ください。

09【資料6】令和7年度全国学力・学習状況調査結果(概要)について

こうした状況を改善するには保管庫に多額の費用をかけるよりも、教員へのサポートとして学校におけるICT支援員の増員などを行うべきです。ご意見などありましたらお寄せください。

過去の訴えはこちらをご覧ください。