日々、非常に多くのご相談を頂いています。先日、コロナで仕事を失った方からお話を伺いました。(個人情報のために一部内容を変更しています)

その方は今年45歳、私と同年代でした。名門大学を卒業後、IT担当として一部上場企業の正社員だったとのこと。しかし、病気休職している間にコロナで会社の業績が急激に悪化、退職せざるを得なかったとのことです。現在は就職活動を続けながら、IT分野の資格取得の勉強をしているものの食費も厳しいとのことでした。

「20年以上続けて来たので、なんとかIT分野で働きたい。そのためにはMacやWindows、複数のパソコンを保有しソフトなどに投資する必要もあります。しかし生活保護を受けるには、それらを処分しなくてはいけません。私からすれば社会復帰の道を閉ざされてしまうも同然です。生活保護に頼ればいい、政府は簡単にいいますが、そのためには人生をあきらめなくてはいけないんです。」

切実な訴えに言葉もありませんでした。高血圧や糖尿などの持病で病院にかかることも全て諦めているとのこと、また、ハローワークでは警備や介護などを紹介されるものの、病気でとても不可能とのことでした。
彼が訴えていたのは、政府や行政にも確かに支援の仕組みはあるものの、そこから零れ落ちた方への支援がないということ。そして、生活保護の前の段階での支援があまりに少ないとのことでした。

「つい数年前までは一部上場企業の正社員、自分がこんなことになるなんて想像もしていませんでした。時代の波に乗れなければ、誰もが私のようになる、そのことをぜひ知ってほしいのです。国や自治体は確かに支援をしていますが、今の支援はあまりに穴が多すぎる。その支援に救われない人々がどれだけいるか、今回明らかになったはずです。今こそ、政治が国民の信頼に足るかどうかの分岐点になっています。どうか私たちを失望させないでください。アメリカのバイデン大統領の演説と菅総理の演説を見て、その違いに衝撃を受けました。国民はバカじゃありません、本当のことを言っているか、みんな気が付いているんです。」

静かで丁寧な語り口の中に、政治や社会に対する怒りが滲み出ていました。私自身、彼と同じ状況になっていたかもしれない、心から思います。今後もお困りごとなどがあれば、いつでもご連絡するようお伝えしました。国の支援があまりに遅くて不十分な中で、自治体としてすべきことは非常に大きいと思います。生活保護の前段階の方への資格取得の支援を含めて、区としての支援の充実を今後も全力で訴えます。