毎年夏になると、子どもや教員からエアコンをつけても汗が止まらない、耐え難い暑さで授業に集中できない、多くの訴えがあります。練馬区は昨年の夏、全小学校の教室の温度を計測。その結果、なんと600を超える教室で30度を超えることが明らかに。7割の教室は最上階に位置することから、日射光であることは明らか。3月7日の予算審議で緊急的な対策を求めました。
600を超える教室で30度越え、2万人近くの児童に影響!
「18度に設定しても教室は30度、授業できる環境ではありません」教員や子どもからの悲鳴が届く中、練馬区が昨年夏に実施した全小学校の教室の室温調査の結果を情報公開請求を通じて入手。その結果に衝撃を受けました。
区内の65の小学校の内、計測時の気温が30度を超えた教室がなんと614に達したとのこと。大人でも30度を超える部屋で集中して仕事をすることは不可能ですし、文部科学省が定める学校環境衛生基準の28度以下も大きく上回っています。一クラス30人と仮定すると、区全体で2万人近くの子ども達が30度を超える教室で授業を受けていることに。
対応に何十年かかるか不明
調査の結果、30度を超えた教室の7割は最上階に位置しています。これは太陽の光、日射光を原因としていることは明らか。これは空調機の問題ではなく、学校の断熱が不可欠です。練馬区は空調機については令和7年度から9年度の3年間で更新をするとしていますが、断熱については、学校の建て替えや長寿命化、屋上の防水改修の際に対応すると回答。しかしこれでは、何十年かかるかも不明です。
学校からのSOS
そもそも今回の調査は、小学校の校長会からの要望によって練馬区が実施した経緯があります。つまり、教員からのSOSともいえるものです。グリーンピース・ジャパンが東京大学と協力、昨年7月に区内の小学校で実施した調査でも最大で32度を計測し、3週間の測定期間中、56%の間、教室の気温が28度を超えており、恒常的な問題です。子どもは特に暑さに脆弱であり、健康被害の恐れすらあります。
全ての階で30度を超える教室も
30度を超える教室が最も多かったのが田柄第二小学校の28教室、高松小学校の24教室、石神井台小学校、大泉南小学校のそれぞれ21教室、これらの学校では1階から3階まで、ほぼ全ての児童が30度を超える教室での授業を余儀無くされています。
(出典:練馬区資料より筆者作成)
少なくともこれらの学校については、空調の更新を含めて優先的に対応すべきです。練馬区は今後検討するとのことでしたので、迅速な対応を求めていきます。また、中学校でも今年の夏に向けて室内の温度の調査を実施するように訴えました。
2万人もの子ども達、600を超える教室が30度を超えている中で、建て替えや長寿命化、屋上改修にあわせた断熱化に頼っていては、すべての教室が改善のに数十年かかる恐れもあります。1校あたり数千万円で対応できるとの話もある中で、美術館に百億円以上を費やすのであれば、まずは全校での断熱を進めるべきです。子どもの健康を守ることは自治体の一番の責任であり、迅速な対応を今後も求めていきます。これまでの訴えはこちらをご覧ください。動画もこちらからご覧ください!
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