練馬区の不登校児童生徒の数は急増しており、令和5年度は前年度より300名近く多い1648名になっています。特に小学校では5年間で2.2倍、中学校でも1.6倍に達しています。こうした状況を受け、練馬区は4月から全ての小中学校に校内別室指導支援員を配置、空き教室を利用して子どもの居場所を作ることに。ずっと訴えてきたこともでもあり、大きな前進です。東京都でも昨年度からフリースクールに通うご家庭に毎月2万円までの支援を開始しました。しかし、まだまだ十分とはいえません。

1.不登校の実態は

昨年度の練馬区の不登校の内訳をみると小学校では931名、中学校では716名となっています。特に小学校では5年で2.2倍にまで増加しています。不登校の比率は小学校では2.14%、中学校では7.8%となっており、特に中学校では12人に一人、一クラスに3人程度は不登校ということになります。なお、この数値は30日以上欠席した子どもの数ですので、保健室登校や登校渋りの子どもの数を加えるとさらに膨らみます。資料は下記のリンクをご覧ください。

07 【資料5】令和5年度 練馬区立小中学校における暴力行為・いじめ・不登校の状況について (1)

 

さらに近年は不登校の低年齢化が進んでいて、小学校では1年生から3年生までの不登校が2017年度は全体の26%だったのが、昨年度は34%まで増えています。

2.不登校の背景は

今回の調査から初めて、教職員に対して不登校の子どもについての聞き取りを行っています。その中で初めて明らかになったのが、小学校では「障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談があった」(4位)ことや「個別の配慮(障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援)についての求めや相談があった」(6位)こと。中学校では、「友人関係」「親子の関わり方」などが多いことも特徴的です。

3.登校できるようになった子どもは?

指導の結果、登校できるようになった子どもについて、2023年度は小学校では31.1%、中学校では23.2%となっています。この数値は増加傾向にあるとはいえ、依然として小学校では7割、中学校では75%以上の子ども達が学校に復帰していないことが明らかになりました。不登校支援では学校に戻ることが目的ではなく、何よりも子ども達の教育の権利を保障することが大切です。

4.練馬区の不登校への支援

こうした中で、練馬区は2025年度の予算で区内の全小中学校に校内別室指導支援員を配置、空き教室を利用して子どもの居場所を作っています。昨年度までは20校のみでの実施でしたので大きく拡大したことになります。

また、不登校の子どもの受け入れ先である適応指導教室、特に集団での活動に不安がある児童生徒を対象とした「つむぎ」や居場所としての役割が強い「ぱれっと」についても定員を拡大するとしています。

また、東京都も昨年度からフリースクールへの利用料助成金制度を開始。昨年度は3,154名に対して、最大毎月2万円を支援しています。対象となるのは都からの認定を受けたフリースクールで練馬区では「石神井・小さなおうち」など8校が該当しています。認定を受けたフリースクールは下記リンクをご覧ください。

令和6年度 助成対象となるフリースクール等

 

5.区として必要な支援は?

フリースクールへの利用料助成金制度は非常に重要ですが、実態として毎月7万円以上がかかっており、2万円ではあまりに少ないとの声が届いています。こうした中、各自治体でも独自の支援が行われており、荒川区品川区では20,000円、北区、葛飾区では10,000円、港区でも4,750円が上乗せで補助されています。練馬区でも独自の支援を検討すべきです。

また、校内別室指導支援員についても、各学校への導入は歓迎しますが、新たな事業で学校にもノウハウがない中、職員の方々の研修やスキルアップなど区として責任をもって取り組む必要があります。今後も議会で訴えていきます。

不登校の子どもへの支援について、ぜひご意見などお寄せください。これまでの訴えはこちらからご覧ください。