練馬区におけるマイナンバー導入に対する反対討論
一カ月半におよんだ練馬区議会第三回定例会も今日が最終日。 最終日の議決を前に、本議会で一番の議論となった練馬区でのマイナンバー制度導入について、反対の立場から討論を行いました。 討論の持ち時間は5分、時間を過ぎると「もう終わりだぞ!」いろんなところから野次が飛んできます。こんな時はなぜか皆さん時間に正確…だからこそ、限られた時間の中でしっかりと説得力のある論を練る必要があります。 そんな中、マイナンバーの論点として以下の三点を取り上げました。 <問題点1.個人情報に対する国の管理や監視が強まる> 政府は当初、マイナンバーで扱う範囲を、社会保障、税金、災害対策の三分野に限定するとしていました。しかし、9月の改正によって銀行口座や、特定健康診査等の履歴の管理にも個人番号が利用されることになりました。今後も次々と国民の個人情報がひも付けされるということも考えられる中、政府による一元的な管理が広がる恐れが高まっています。 <問題点2.情報漏えいの危険性が高まる> 個人情報の管理はシステムにおいても運用においても大きなリスクを負っています。一例として、先日には練馬区の職員による個人情報の不正利用も起こりました。どんなに立派なシステムを作ってもヒューマンエラーや悪意ある情報漏えいを防ぐことはできません。しかもシステム自体が、関係する事業者の中で整っているとはいえない状態です。 マイナンバー制度で先行している海外の事例を見ても成功している国はほとんどありません。アメリカやカナダでも、最も多い犯罪の一つは個人の番号を悪用した詐欺となっています。また、英国では共通番号導入に向けた準備が進められましたが、世論の反対や、制度廃止を唱える政権の誕生により二年余りで廃止されました。フランスでも番号は一部分野に限定しており、マイナンバーのような共通番号は導入していないのが実情です。 海外においても情報がしっかりと守られていない中で、日本で情報漏えいのリスクがないとはいえません。 <問題点3.国民にとっては利便性よりも負担が大きい> マイナンバーの導入には個人や企業、自治体にも多大な負担を強いることになります。例えば、申請時の負担として、これまでは自治体の窓口において、免許証などの各種証明書で本人確認をおこなっていました。しかし、今後はマイナンバーの提示が基本となります。12桁の番号を覚えることそれ自体が負担であるだけでなく、カードを失くさないよう管理しなければならないという二重の負担となります。 障がいを持った方や高齢者の方が使えるのか、という問題もあります。視覚障害の方のための点字記載や外国語での対応もできないとも言われており、コミュニケーションに負担のある方にとってはさらに大きな負担となります。 企業でもマイナンバーを取り扱うために新たなシステムの導入を含め多大な費用と手間が必要となります。とりわけ中小企業にとっては、セキュリティ対策も含め、非常に大きな負担となります。行政においてもマイナンバーの導入のため、システム改修などに充てなければならない区の一般財源は本年度だけでも、合計で3億3000万円にも達します。 このようにマイナンバーを導入することで国民、企業、自治体における負担は間違いなく増加します。 本条例はこうしたマイナンバー制度を練馬区において運用するためのものです。マイナンバー制度は、個人情報に対する国の管理、監視が強まるとともに、情報漏えいの危険性が高まるということ、さらに国民にとっては利便性よりも負担が多いことなど、多くの問題を抱えていることから、私たちは本条例に反対します。 最終的には与党によって可決されてしまいましたが、実際の運用に際して、しっかりと監視してきたいと思っています。