LGBTや、人種・文化的な多様性について、アメリカでは子どもたちにどのように教えるのでしょうか? ジャーナリストとして人権・環境問題を扱いながらバークレーで小学生2人の子育てをしている友人から、話を聞きました。自身はユダヤ系、旦那は白人のアメリカ人の彼女によると、人種や性的指向などについての話題を避けると無知から子どもの差別や偏見が助長されてしまうとのこと。個人的にも、「never too early to talk about gender and sexual identity/races」というスローガンのもと、「ママ、あの子の肌はどうして黒いの?」と聞かれたら「メラニンの色素が多いか少ないかで決まるのよ」と科学的な説明をしたり、「猫にも様々な毛色があるように、人間でも同じだよ、みんな違ってみんな良いのよ」と説明したり。また、積極的にゲイやレズビアンの友人たちの結婚式等に連れていったりして、「家族のありかたもたくさんあるのよ、「普通」なんてないの。人生、何が自分にとって一番ハッピーかが重要なのよ・・・」と説明したり。 公立の小学校で実施されているダイバーシティ・いじめ防止教育の紹介ビデオも見せて頂きました(Welcoming School, https://www.youtube.com/watch?v=XEj9rMHiU8o)。 なにより、「こうしましょう」という一方的な「講義」ではなく、子どもたち自身に考えさせるというスタイルが見事。例えば、誰かが「ゲイめ!」等といじめられていたら、自分はどうする?というエクササイズ。クラスルームの四隅に、①「共感して、慰める」、②「一緒に立ち上がり、やめるように言う」③「大人や先生に話す」④「何もせず、傍観者になる」という選択肢を掲げます。子どもたちは、「傍観者になる」という選択肢以外の3つから1つを選んでそのコーナーに行き、理由や、実際どんな言動をするかを発表しあいます。 もっと小さい子どもであれば、多様性を色に例えて、「この色が普通だ」と言われたら、他の色はどう思う?と聞いてみたり。主人公が、同じ色のクレヨンばかり使っていると、他のクレヨンが文句を言いだし、色んな色でカラフルな絵を描くことにしました、という絵本を読んでみたり。 冒頭の友人宅では、ジェンダー平等やアサーティブネスについての教育も意識的にしています。寝かしつけにかしてくれた本も、お姫様が王子さまに救出されてめでたしめでたしではなく、お姫様が知性で王子様を助ける(しかも王子が自己中だったので、最終的に結婚しない)という本。彼女の子たちの本棚は、主人公の人種にも偏りがなく、いろんな生き方を肯定できるような本ばかり。学校での教育のあり方だけでなく、家で子どもに何を考えさせるか、という意味でとても勉強になりました。