先日の委員会では、「練馬区 待機児童ゼロ作戦」の進捗が報告されました。このゼロ作戦、来年4月までに0歳~2歳の枠を1,000人分拡大することを目標にしています。

待機児童対策で大切なことは、量を増やすだけではなく、質や継続性をいかに担保するかということです。今回の委員会ではそれぞれの項目について質疑を行いました。

まず待機児童の考え方について。練馬区は本年度の待機児童数は166名、全申し込みの1%だったとしていますが、捉え方自体に問題があります。昨年度から訴え続けてきましたが、現在、待機児童の定義は自治体に委ねられており、練馬では、保護者が育休を延長せざるを得ないケースや、近くに認証保育園に空きがあって申込をしなかった場合は待機児童とカウントされない、非常に厳しいものになっています。

こうした実態について、政府も問題を認識しており、本日の朝日新聞の記事によると、厚生労働省が把握したいわゆる”隠れ待機児童”は練馬区では公表された数字の5倍以上、923名に達しています。この問題を解決するために厚生労働省は年度内に統一した基準を設けるとしています。そのため、委員会では来年度の入学に併せて練馬区の基準を今から見直しをすべきと訴えました。
それに対して、区の答弁では、そもそも”隠れ待機児童”の定義はない。また、現時点では厚生労働省から何の指針も示されていないため、現時点で検討する予定はないとのこと。しかし、来年3月に新たな定義が公表されても、それから対応するのでは遅すぎます。だからこそ、今から対応すべきと重ねて訴えました。

続いて、質について。今回の対策では、新たに「一歳児預かり保育」が導入されます。これは、1歳の待機児が最も多いことを受け、特化して保育を行うものです。

しかし、この制度、大きな課題があります。まず、こちらは名前のとおり1年間しか預かることができず、結局、次年度には新たに保育園を探さなければいけません。特に、この制度、10月や11月にも開始しますが、そこで預けた場合、来年の3月までしか預けられず、4か月後には、新たに保育園を探さなければなりません。また、幼稚園の空き教室を利用した一年間の預かり保育も行うとしていますが、そもそも幼稚園と保育園はその役割、機能も全く異なるものです。例えば給食、長期休暇、預かり時間、保育士の確保など解決すべき課題は山積しています。こうした課題に対してこれから調整するとしていますが、まずは数ありきで進めているという印象が拭えません。

新たな制度で、待機児童の数は減るとしていますが、私も1歳の子どもを育てるものとして、こんな不安定な形での保育は子どもにとっても、保護者にとっても大変に大きな負担になると思います。保育として行う以上、質と共に継続性を担保すべきであると訴えました。

一歳児預かり保育や定員の拡大を通じて、目に見える待機児童数は減少しますが、そこで質や継続性が犠牲になっては本末転倒です。練馬区が待機児童対策に乗り出すことは大切です。しかし、目に見える数だけを増やすのではなく、質を維持した制度を構築するよう訴えていきたいと思います。