ウクライナで暮らす市民とZOOMで繋がり、戦禍での暮らしや思いを伺うことを通じて、私たちに何ができるかを考えたい、そんな思いでイベントを実施。40人の方が参加しました。

お話を伺ったセルゲイさんは私と同世代。教養があり語学も堪能、日本の文化の歴史も勉強熱心なセルゲイさん。戦争が始まる前は、再生可能エネルギーのビジネスコンサルタントをしていらっしゃり、いつも大変お世話になっている方のおかげで繋がりました。

彼が住むザポロージェはヨーロッパで最大、世界でも3番目に大きな原発があり、原発を巡って大規模な戦闘も行われました。戦争が始まり、ご家族はドイツやポーランドへ難民として脱出、一人で国を守るために留まっているとのこと。セルゲイさんのお話、一つ一つがとても印象的でした。

彼自身もロシアで生まれ、父親や妹は今もシベリアで暮らしているとのこと。しかし、ロシアに住む家族や友人も誤った情報で洗脳されてしまっており、縁を切らざるを得なかったとのこと。彼らもプロパガンダの犠牲者であり、戦争が終わればまた会える日が来ることを願っているが、「それが5年先か、10年先か、100年先かもわからない」と聞いたとき、言葉もありませんでした。

彼が強調していたのは、対話の重要性について。あまりに多くの情報があふれて、間違った情報も多い中で、人と人との直接の対話こそが大切であるとのこと。

今、ここで起こっていること、その理由は合理的に説明できることではない、そして「恐怖や憎しみこそが世界で最も恐ろしい武器である」という言葉は印象的でした。また、「日本が核兵器を持つべきか」、という参加者の方の質問に対しては、「核兵器で戦争を止めることなどできない」、と明確に反対していました。

その一方で、「戦争が始まると日常は大きく変わってしまう」と。食べ物はありますか?電気はありますか?などといった質問を頂くが、戦時で一番大きな違いは選択肢がなくなってしまうこと。戦争下にあっては、敵を殺すか、殺されるか、この二択しかなく、他のことは二次的でどうでもよくなってしまう、と。

セルゲイさんが私たちに求めることは、とにかく現地の状況を知って欲しいということ。一人一人は弱くても、力を合わせれば大きな力になる。皆さんが真実を知り、恐怖や憎しみに打ち勝つことこそが最大の武器になる、という言葉が印象的でした。

日本の参加者の中で唯一と思われる戦前経験者の女性からは、会が終了したあと、「私は子どもの時、凄惨な経験をした。これを二度と次の世代に経験させたくないと、一生をかけて平和のための運動に取り組んできた。それなのに、私が生きているうちにこんなことが起こるなんて悲しすぎる。」との、非常に重い言葉を頂きました。それと同時に、参加者からも、署名集めやスタンディング活動等の紹介もなされ、勇気づけられました。

私たちにできることの一つは、ウクライナやその他のアフガニスタンやミャンマーやコンゴ民主共和国、多くの国から助けを求め逃れてくる人々を受け入れること。日本にも既に難民や在留資格のない難民申請中の方もたくさんいるなかで、彼らを支援すること。そして、ヘイトスピーチをはじめ差別のない社会をつくること、これこそ地域からできることです。私も地域で出来ることに全力を尽くします。