教育費の審議では不登校の子ども達の拠り所でもある適応指導教室において、あまりに厳しい「ルール」が存在し、子ども達を苦しめ、排除している現状を訴えました。

練馬区の不登校児童生徒の数、わずか5年で小学校で2.8倍、中学校でも1.9倍まで急増している。そうした中で、区は来年度予算の施策の柱として「不登校対策の充実」を掲げ、一⼈ひとりの状況に応じた支援を実施することが必要であると謳っている。

しかし、その実態はあまりにも理念からかけ離れている。不登校対策の中心でもある適応指導教室、中学生向けの「トライ」への入室を希望する生徒には、入室前に「トライでの生活の約束」が配られ「家庭内で読み合わせをするなどし、約束を守り通室させるよう心がけてください。」とある。

その内容には、
「中学生らしい服装であること」
「茶髪、ピアスやネックレスなどのアクセサリー、化粧をしての通学は禁止」
「始業時刻10分前までに学習室に入り気持よく一日のスタートを切る」といった内容も。

施設には「中学校で禁止されていることはトライでも禁止です。」という大きな張り紙も掲示されている。

【岩瀬の主張】

これまで何度も、学校の厳しすぎる規則いわゆる「ブラック校則」の問題を議会でも取り上げてきたが、特に、適応指導教室は学校ではなく、不登校の子どもへの支援の拠点でもある。不登校対策で一人ひとりに寄り添うことを掲げながら、学校に来られない子ども達にまで、なぜこれほど厳しい規律を求めるのか、迅速な見直しを求める。

【区の回答】

全ての利用生徒が気持ちよく安全に集団生活を送るうえで一定のルールが必要である。中にはきらびやかな装いを怖いと感じるお子さんもいると聞いている。

【岩瀬の主張】

一定のルールが必要なことは否定しない。しかし、外国にルーツのあるお子さんもいるなかで、茶髪禁止といった個人の尊厳を踏みにじるようなルールは改訂すべき。そもそもなぜ茶髪ではいけないのか。明確に利用を述べよ。

【区の回答】

髪の毛に関しては健康状態を把握するために必要と考えている。一定のルールについては引き続き理解をお願いし、必要に応じて考えていく。

【岩瀬の主張】

髪の毛の色で健康状態を判断するというのは、非常に差別的な発言でもある。
議員の中にも様々な髪型の方がいる。パーマの方も、髪の毛の色を変えている方もいる。それを不登校の生徒に対して強いることがあってはならない。学校の校則についても、生徒指導提要が改定されていて、生徒が自分事としてその意味を理解して、自主的に守るように指導することが必要とされている。しかし、トライでは「約束を守り通室させるように心がけるよう」している。そもそもこのルールはいつ作られて、いつ見直すのか、明確に答えよ。

【区の主張】

ルールは一般的なものとして説明している。一人一人の気持ちを伺って、それぞれに応じた支援をしているので、一律の対応を行っているわけではない。このルールがいつできたかは不明。

【岩瀬の主張】

ではなぜ、ルールを守り、約束を守り通室させるよう心がけてくださいなどと記すのか。そもそも不登校の子どもは非常に繊細であり、こういうルールを設けることで来られなくなってしまう子どもはどうするのか。

こうしたルールは当然無くすべきだし、学校教育線センター所長がそんな考えを持っていること自体が非常に残念である。不登校の子ども達をさらに追い詰めてしまうような今の適応指導教室のあり方は非常に問題であり、そうしたルールはすぐにでも変えるべき。

【今後に向けて】

昨年、練馬区は自ら策定した「不登校対策基本方針」で「誰一人とり残さない」と謳っていながら、「茶髪での通室は禁止」などという子どもの尊厳を無視したルールを設け、長年にわたり多くの子どもを排除していました。こうした姿勢が練馬区の不登校対策の問題を象徴していると思います。練馬区が行うべきは単にこの「ルール」を変えることではなく、子ども達が過ごしやすいと思えるような適応指導教室に変えるために全力を尽くすこと、引き続き訴えます。

不登校についての過去の訴えはこちらをご覧ください。