みなさんは就学援助をご存じでしょうか?お子さんが小中学校に通うご家庭の中で、経済状況が厳しい家庭に学用品代や入学に関わる費用などを補助する大切な仕組みです。しかし、練馬区は就学援助の受けやすさが23区で下から2番目、金額も23区で最低水準であることが文科省の調査から判明しました。
練馬区では2023年度、就学援助対象者の割合は全体で12.32%。小学校で10.87%、中学校では15.94%となっており、特に中学生を育てる家庭では6世帯に1世帯が経済的に非常に厳しい状況にあることがわかります。
(練馬区教育要覧 令和6年(2024年版)
練馬区の就学援助の受けやすさ、23区でも下から2番目
就学援助は全ての自治体で生活保護受給者と準要保護世帯へと提供していますが、準要保護世帯については、ほとんどの自治体が「生活保護の基準額に一定の係数をかけたもの」としており、この係数は自治体が独自に設定しています。そして、係数が高ければ高いほど、就学援助を受ける世帯が増えることになります。文科省の調査(令和5年度)によると全国の自治体の係数の平均は1.3倍で全体の4割以上となっています。
(就学援助実施状況等調査)
しかし、練馬区は1.2倍。これは23区で2番目に厳しい数字です。つまり他区であれば受けられるのに練馬区では受けられないということも存在します。因みに、最も高いのは文京区の1.67倍で、同じ23区の中でも大きな差が出ています。
中学生への入学準備金、23区で最下位。
また、金額についても練馬区では新入学児童生徒学用品費について、小学校では5万7千円の自治体が23区では多い一方で練馬区は5万4千円。中学校では8万1千円を支給する自治体もある一方で練馬区は6万円、特に中学校では23区で最下位です。
さらに、平成30年度から段階的に生活保護水準の切り下げが行われてきましたが、それによって就学援助世帯受給世帯への影響が懸念されてきました。そのなかで、全体の8割を超える自治体が、影響が生じないよう対応したのに対して、練馬区は「影響がある可能性があるが、対応していない」と回答しています。つまり、就学援助を受けられる基準が23区で2番目に厳しく、また生活保護水準の切り下げの影響があることを認識しているにも関わらず対応していない自治体が練馬区です。
(就学援助実施状況等調査)
練馬区は子育てしやすい町であることを、これまでも訴えてきました。しかし、就学援助の受けやすさは23区で下から2番目、金額も最下位に近い水準です。美術館の建て替えに100億円以上をかけられるのであれば、物価高が続き、多くの世帯が苦しむ中で今こそ就学援助の見直しを行うべきです。