ブログ2023-02-06T17:39:37+09:00

安倍首相の国連での難民支援のスピーチについて思うこと

国連で安倍首相はシリア難民支援のために8億1000万ドルを拠出すると発言。一方で、日本での難民の受入れに関する言及はなかった。しかし、その後の記者会見では次のように述べている。

「今回の難民に対する対応の問題であります。これはまさに国際社会で連携して取り組まなければならない課題であろうと思います。人口問題として申し上げれば、我々は移民を受け入れる前に、女性の活躍であり、高齢者の活躍であり、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります。同時に、この難民の問題においては、日本は日本としての責任を果たしていきたいと考えております。それはまさに難民を生み出す土壌そのものを変えていくために、日本としては貢献をしていきたいと考えております。」

…いろんな意味で、驚いた。

まず難民の受け入れは人権・人道の問題、というか、日本が締結している難民条約という国際条約上の義務である。

日本には昨年も5,000人もの難民申請があったにも関わらず、認定されたのは11人(そのほか30人の人道配慮による滞在許可あり)。シリア人に限っていえば、日本でも国内に500人近くのシリア人が暮らし、そのうち約60人が難民申請をすでにしている。結果がすでに出たのが38人で、その中で日本政府が難民として認定したのは3人。つまり認定率は4%に過ぎない。残りは人道配慮による在留特別許可がなされた。

2011年4月~2015年7月末までに欧州各国に入ったシリア人は、ドイツ9万8千人、スウェーデン6万4千人、オーストリア1万8千人、イギリス7千人に達している。入国後の処遇を見ると例えば2014年ではドイツは87%以上(補完的保護による滞在許可を含めると100%)、イギリスは91%以上を難民条約上の難民として認定している(2015年6月18日現在、UNHCRの統計)。
                                             
フェアな見方をすれば、とりあえず日本で申請したシリア人は全員、広い意味での「保護」はされていることは、認識すべきだろう。しかし、この広い意味での保護、「難民条約上の難民」と比べると処遇・権利がかなり劣るという。なぜ、シリア難民の多くを認定しないのか。理由として、要するに(厳密な言い回しではないが)「戦争が起こっており、多くの人が攻撃を逃れてきているから条約上の難民ではない」というような説明がなされているようだが、この戦争の背景にはまさに宗教的・政治的な対立があるのだから、少なくとも大半は、条約上の難民に認定該当しうるはずなのだ。ここがまさに、「難民条約の解釈が狭い」ということで、認定率が低い大きな原因である。

自力でたどり着くシリア人に加えて、難民キャンプなどから直接受け入れる「第三国定住」による受け入れも、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどが名乗りをあげた。28か国が計10万人以上の受け入れを表明している。

確かに、難民が流出する根本原因に対処することは大切だ。しかし、まずは国内に既にいる難民の受入れをしっかりしないといけないのでは。

また、後半の人口問題のくだり。そもそも難民の受け入れを人口問題としてとらえてしまうこと自体問題なのだが、仮に人口問題の文脈で外国人一般の受け入れを語るのであれば、「女性と高齢者の活躍(それ自体の実現にいろいろ課題がある)」だけではもはや、日本の少子化は対応できないのは明らかではないか。また、グローバル化の流れのなかでどの国でも外国人は増える一方であり、何十年も前から一生懸命日本で生活し働き納税し、それこそ「日本経済に貢献」してきた人々も含め、外国人との共生は不可避だ。日本は一刻も早く移民政策を策定して移民の受け入れを正面からすべきなのに、この期に及んで、まだ本気で言っているのだろうか、という気がしてしまう。

これは国の問題だけではない。私が住む練馬区にも難民の方、申請中の方、移住労働者も住んでいる。彼等を含む外国人の方が地域の中で差別や偏見に苦しむことなく、また単に労働力としてみなされるのではなく、地域を豊かにしてくれる仲間として共生できるような仕組みを作ることこそが草の根の国際協力だと信じる。

【難民支援協会】 特集 シリア難民はいま
400万人を超えたシリア難民。
欧米諸国、日本の受け入れ状況は?

2015年10月1日|Tags: |

NPO法人ふらじゃいるの活動

先日「NPO法人 ふらじゃいる」が行ったカフェに参加。

ふらじゃいるは精神障がいなどを抱えた仲間が中心となり、練馬区を活動拠点としてはじまった団体。一番の特徴は、専門家の知識や技術よりも当事者の経験にこそ病気や苦労を解明する知恵が眠っている、という考えから、こころの病気をもつ当事者の方々によって設立されたこと。だからこそ、モットーも非常にユニークで「病気を出す居場所作り」「世界一弱くて明日にでも潰れそうなNPO」となっている。

今回は、当事者の方々が、抱える悩みや課題を共有し、解決策をみんなで考える「当事者研究」という取り組みにも参加させていただいた。参加者だった若い男性の悩みで、信頼していた方に陰口を言われて傷ついたとのこと。

当事者研究では、皆さんが自分にも似たような経験があったか、そして、そんな時にどう感じたか、など自由に話をした。そして、その現象のみにとどまらず、問題の根幹がどこにあるのか、そして、今後どうやって対応したらいいか、話し合った。

解決策だけを検討するのではなく、話し合いのプロセスの中で、それぞれが共感し、参加する。参加者が一体感をもって解決に取り組む姿に感銘を受けた。

地域の中でのこうした取り組み、今後もぜひ参加していきたい。

2015年9月30日|Tags: |

(決算質問)練馬区の不登校児への支援

本日の決算質問、練馬区の不登校児への支援を取り上げた。

練馬区における児童の数は年々減少している一方、不登校児の数は、過去5年間で20%以上も増えている。また、練馬区における過去10年の児童の自殺数を見ても、全5件の内、4件が4月と9月に起こっており、学校が子ども達にとって負担になっていることが理由であると推察される。自殺と報告されていない数も含めると実態はもっと多いと思われる。

そうした中、「平成26年度 練馬区立小中学校におけるいじめ・不登校の状況について」によると、不登校となった直接のきっかけとして最も多いのが「不安など情緒的混乱」と「無気力」であり、併せて全体の60%、どちらも調査では「本人の問題」と区分されている。

他方で「いじめ」を直接のきっかけとして答えたのはたったの二人(0.3%)だった。

しかし、「情緒的混乱」と「無気力」、どちらもいじめや家庭の事情など別の原因による結果でしかなく、決して「本人の問題」ではない。現象だけをとらえることなく、根本的な原因を分析し対策を取る必要がある。

もちろん、不登校の子ども達が学校に行きたいと思えるように、いじめの防止等、学校での環境を改善する取組を続けることは必要だ。しかし、何十年も前からの取組と裏腹に、問題は依然として無くならないのが実情である。

そんな中、現在は、不登校対策として中心的な役割をはたしている事業に、適応指導教室等があるが、ウェブサイトを見ると「学校への復帰」を主たる目的としている。

不登校になった子どもは、学校に戻るということに大きな不安を感じ、パニック障害などを起こす子どももいる。だからこそ復帰のみを目的とせず、子ども達が安心して過ごせる、そんな居場所が必要だといえる。

実際、適応指導教室に入室した児童は不登校児全体の3割、定期的に通っている児童は14%にとどまっている。

適応指導教室への出席率が低い中、かなりの児童が家庭での学習やいわゆるフリースクール等によって救われている。また、どこにも行き場所がない児童も多く存在しているのも実情である。

私も家族が不登校だったが、フリースクールに行ったことで自分のペースで得意分野を伸ばすことができ、その結果大学院へ行き、世界を舞台に活躍している。一方で練馬区は区内にいくつフリースクールがあるか、それすらも知らない状況である。

そこで私が行った提案。家庭での学習やフリースクールが現実として不登校の児童にとって一つの居場所として機能しているのは間違いない事実である一方、フリースクールの存在を知らない方も多く存在している。だからこそ、まずは不登校児童や親に対する区や学校の相談業務において、居場所の一つとしてフリースクールがあるという事実を紹介すべき、ということ、そして、区内で少なくとも26名がフリースクールに通っており、区内や周辺のフリースクールについて実情や内容、課題などを把握するとともに情報交換などの連携をすべき、と主張した。

それに対して、区の回答は、現在、練馬区は不登校児にむけて様々な支援を行っており、まずは行政の力で対応するということ、そして、フリースクールは定義もはっきりせず、現時点で行政が紹介するのは難しいということだった。他方で、既に通っている生徒については、
親の意向も考慮しつつ、必要に応じて情報の収集を行うということ。また、現在通称「多様な学び支援法案」の審議が進められている中で、今後の動きを見ながら対応を行うとのことだった。

フリースクールの定義が無いという懸念はよく聞かれるし、確かにフリースクールを名乗って悪質な教育内容を提供する団体もあるので、注意は必要だ。しかし、本当に素晴らしい活動を何十年も続けている団体も多数あり、実際にそこで救われている子ども達が大勢いるのはまぎれもない事実なのだ。実際こういった懸念に対応するために、行政としての調査もなされている。どのフリースクールを紹介するかは、個別のフリースクールの中身を検討して判断すればよいことで、本当に不登校の子ども達を救いたいと思うのなら、独自の調査も厭わないくらいの姿勢が必要だろう。また、もし個別のフリースクールの紹介が難しいとしても、フリースクールというものが存在するという事実を教えるのと教えないのとはずいぶん違う。

少なくとも今回の意義は、区が行っている不登校対策の問題点を指摘するとともに、不登校の子ども達の居場所として実際に機能しているフリースクールについて、しっかりと区の認識と連携を求めたこと自体にあるといえるだろう。実際に、回答では、今後の法案の成立を判断しながら検討すると言っているので、今回の質疑を初めとして、これからも不登校の子どもの支援についてしっかりと向き合っていきたい。

2015年9月28日|Tags: , |

練馬区の震災シンポジウムに参加して

本日、練馬区社会福祉協議会が実施した災害シンポジウム「災害にどう備える!?」に参加。
基調講演は特定非営利法人「にいがた災害ボランティアネットワーク理事」の李仁鉄さんのお話。

最初に、日本は世界の400分の1の面積しかないにも関わらず、世界の10分の1の活火山が集中していること。そして、地震に至っては、世界で起きるマグニチュード6以上の地震の内、20%以上が日本で起こっていること、そんな衝撃の事実を教えていただいた。

統計的に見ても、地域で大きな地震が起きる確率は0.1%、裁判員制度の裁判員に選ばれる可能性よりもかなり高い、そんな中で私たちは暮らしているとのこと。

李さんのお話で非常に印象に残ったのは、震災後、支援が必要なのは、震災直後の復旧期と思われているが、実際にはその後、生活を日常に戻すための生活支援期、復興期なども大切な役割を果たすとのこと。特に、被災者の心理的なサポートを行うための傾聴ボランティアなどは非常に重要な役割を果たすとのこと。

私自身、東日本大震災の後、ボランティアとして石巻に行ったことがある。東京から同行したのは、横田基地で働く海兵隊の方々。現地では、被災者の方の話を聞きながら物凄いパワーで瓦礫や土砂を取り除いていた。しかし、一日が終わって被災者の方に言われたのは、「一番うれしかったのは、私たちの話を聞いてくれたこと」とのことだった。

既に震災が発生してから数か月が経っていた中、話を聞く方が少なかった。その中で、外国人を含めたくさんの方が石巻で活動し、自分たちの話を聞いてくれたのがすごくうれしかったと言われたことをはっきりと覚えている。

また、震災が起きた際の障がいを持つ方や外国人等への支援についても勉強になった。

例えば、東日本大震災の時には、津波に対して「高台に逃げてください」と放送が流れたものの、「高台」の意味が分からず多くの外国人が犠牲になったということ。先日の豪雨で鬼怒川が決壊した際にも外国人の方に情報が渡らず取り残されてしまったということ、などのお話を聞いた。

一般質問でも取り上げたように、練馬区にも14,000人、人口の2%が外国人である中で、防災においても、外国人をしっかりと計画に含めて活動する必要がある。今日の李さんの話を伺いながら、災害を身近に感じるとともに、何よりも災害が起きる前にしっかりと準備を整えていかなければいけないと感じた。特に、支援を必要とする方、障がいを持つ方や外国人の方などについて行政としてしっかりと対応できるよう、全力を尽くしていきたい。

2015年9月27日|Tags: , |

「産後が始まった!」著者の渡辺大地さんをお招きする子育てイベント

来る11月28日(土)、父親の主体的な子育てをテーマに、年間1000人以上に父親教室を実施し、「産後が始まった」などの著書もある渡辺大地さんを練馬区にお招きし、父親の主体的な子育てについてのイベントを行う。
去年も渡辺さんをお呼びしたイベントを実施し、50名以上が参加。今回はさらに大きくして80名の会場を予約。

今日はイベントの進め方と共に、子育てに関わる基本的な考え方や、男性が子育てに主体的に関わる上で問題となっている点など、ざっくばらんにお話した。

大地さんの経験では、そもそも、男性の子育てに関する知識が少なすぎることが大きな問題とのこと。例えば、ある企業で幹部社員向けの研修を行ったところ、国の制度として男性も育休を取れるということを誰も知らなかったとのこと。また、知識不足もあって、制度の運用・活用がうまくなされていないとのこと。具体的には、育休は続けて一週間とるのが通例になってしまっているため、出産に立ち会うために出産日から1週間休暇をとっても、奥さんが退院するまで家で何をしていいかわからず、仕方がないから庭の草を抜いていたという笑えない話も。

むしろ必要なのは退院後なのに(実は私も同じミスをした。が、赤ちゃんのアレルギー対策で布団を全部干したりダニ取マットを設置したり病院からの母親向けブックレットを読破したりでなんとか時間を活用した)…

だからこそまずは、男性は、産後の体調も含めた母親の負担がどれだけ大変かということと、子育てに関する制度を含めて基本的な知識を得ることが必要とのことだった。

私も、子育てにおいて男性が主体的に責任を持つという姿勢が欠けていると考えに同意。議会でも取り上げたが、特に海外生活が長かったこともあり、息子を育てる中で考えさせられることがいっぱいあった。例えば日本では家庭と仕事の「両立」は女性の問題と考えられている。
「イクメンね」という言葉は、例えば英語では存在しない。 私が住んでいた国々(先進国のカナダだけでなくパキスタン等含め)では、ライフワークバランスというか、ライフのほうが非常に重要視され、家族での役割を蔑ろにする男性はむしろ非難の対象だった。また、アメリカに住む従姉の話では、最近では”I am pregnant”(私は妊娠しているの)とは言わず”We are pregnant”(私たち夫婦は妊娠しているの)というらしい。海外に比べ、日本では男性はまだまだ片手間で子育てに関わっていると思われても仕方ない。

去年、渡辺さんをお招きしたイベントで一番印象に残ったのが、ある女性が言った”夫は言われた事しかやらない”という言葉だった。妻が子育てに望むのは夫も責任を持って主体的に子育てに関わること。例えば、任意の予防接種についてどれを打つか考えること、子どもが病気になった時、薬を飲ませるか考えること、そんなことだ。それに、子どもと関わり、遊ぶことだけが子育てではない。例えば、エアコンのフィルターや洗濯機の排水溝を掃除すること、埃が落ちないように、水拭きすること。こうした家事も率先することが本当の意味での子育てに繋がることを反省と共に学んだ。
だからこそ、今回のイベントの目的。参加者の皆さんと楽しみながら、どうやったら男性が子育てに対する責任感を共有できるようになるか、考えるとともに、男性がもっと積極的に子育てに関わるために、行政としてどんな形で支援ができるか、アイデアを出し、実現することを目的としたい。

これから2か月、イベントを素晴らしいものにするためにぜひ頑張っていきたい!

2015年9月25日|Tags: |

男の子育てを応援するために! 練馬区の課題

先日行われた一般質問。性的マイノリティと外国人の人権問題と共に取り上げたのが、男性の子育ての促進とジェンダー意識改善に向けた区の取組みだった。

男性の主体的な子育ては、男女共同参画社会およびワークライフバランスの実現に向けた重要な一歩。

私自身、1歳の息子を育てる中で、ジェンダー意識について考えさせられることが沢山あった。例えば、「仕事と子育ての両立をどうするの?」と聞かれるのは常に、私ではなく妻であること。風邪を引いた息子を、早退して病院に連れていくだけで、「イクメンね」と褒められる一方で、妻に対してはイクウーマンという褒め言葉は無いこと。政府が唱える「女性が職場で輝く」社会の実現には、「男性が家庭や地域で輝く」ことを、後押しせねばならない。

男性も女性もジェンダー意識から解放され、対等な関係に基づき、責任を共有した子育てができるべき。そのために、行政が、差別的な習慣や制度を見直し、平等意識の啓発をするとともに、家庭や地域生活に使える時間を増やす後押しをする必要がある。

こうした状況を踏まえ主として、以下のような提案を行った。

<問題点1 区の目標について>
練馬区での「家庭・地域での男女平等意識の推進」を図るための指標は「パパとママの準備教室の受講者数」となっている。これだけでその結果を把握することはできない。

<提案、質問>
練馬区でも現在の指標の見直しを行うとともに、国の計画での目標値「男性職員の育児休暇取得率」や「6歳以下の子どもを持つ男性の家事・育児の平均時間」を指標の一つとして採用すべき。

<答弁>
今後の計画は、現在策定中である。提案内容も含め検討する。

<問題点2  ジェンダー意識の解消について>
練馬区が実施している行政サービスにおける、ジェンダー意識に基づく名称、内容について、例えばジェンダーを想起させる代表的なものとして、『おかあさんのための救急&予防サイト』の紹介や『母と子の保健バッグ』等がある。母親学級も、小さく「家族も参加可」と記されているだけで、父親にとっては、参加しづらい。

象徴的なのが「母子健康手帳」である。母子手帳は、妊娠中に限らず、産後の子育ての記録であり、父親も記録と管理に積極的に関わるべきもの。現在の父子手帳の内容も問題がある。手帳では、男性が女性のニーズをきちんと理解した上で、(片手間ではなく)「主体的に」家事や育児を行う必要性等もきちんと説明すべき。

母子手帳については、既に全国の170を超える自治体で父子手帳と一体化するとともに、「親子健康手帳」と変更しており、東京23区でも墨田区が採用している。

<提案、質問>
練馬区が実施しているサービスについて、固定的性別役割分担意識に基づいたものはその名称や説明、内容を改めるべき。特に母子手帳は父親手帳と一体化するとともに親子手帳と変更し、内容も改善すべき。

<答弁>
母子手帳の名称は、国の方針に従って決定している。練馬区として変更する予定はない。
名称については今後、検討する。

<問題点3. 父親の育児参画を促すための施策>
父親向けの施策の代表的なものとして、「パパとママの準備教室」があるが、土曜のみの開催。内容も沐浴やおむつ替えという「作業」自体を中心に学び、妊婦体験をし、「子ども」といかに関るかという短い話を聞いて終わりである。
しかし、出産前に必ずすべきことは、妊産婦の負担を十分に理解した上で、どうしたら女性ばかりに負担がかからず、対等な関係に基づき子育てや家事ができるか、またはお互いの仕事と両立できるかを、夫婦でしっかりと話し合うことであり、これこそが両親教室で扱うべきテーマである。内容の再構成だけでなく連続講座の増設も必要である。

<提案、質問>
現在のパパ・ママ教室について、内容の改善、開催日の拡大、連続講座の開設を行うべきである。

<答弁>
教室の曜日は申請者のすべてが受講できており、開催日の拡大の予定はない。
内容、連続講座については今後検討する。

今回の一番の成果。それは、これまでほとんど優先的に扱われなかった男性の子育てについて、正面から議会の場で区に訴えたこと。また、ジェンダー役割分業の問題に対して、男性議員が指摘することも、これまで女性からの訴えが中心だった練馬区議会においては進展だったと何人かの方からコメントを頂いた。

しかし、区の回答は満足できるものではなかった。特に母子手帳の名称や内容の改善などについては、他区では既に取り組みが進んでいるにも関わらず、全く改善の意思を示さないことは、非常に残念だ。

そんな中、区の取組だけを待っていても仕方がない。だからこそ、11月26日(土)には「産後が始まった!」の著者で父親の子育てについて精力的に講義を行っている渡辺大地さんを練馬にお呼びして、自主講座を開催する。こうした一つ一つの積み重ねを通じて少しでも区政を変えられるよう、引き続き頑張りたい。

2015年9月21日|Tags: , , |

(決算審議)練馬区の外国語のウェブサイトがひどすぎる

国会では違憲の安保法が成立する中、区議会では決算審議が続いている。

決算審議とは、2週間をかけて、決算に関連した費目すべてについて質疑を行うもの。

区の理事との一問一答形式なので、区からの回答を想定しつつ、こちらが得たい答弁を引き出すために質問を構築する、臨機応変な対応が求められる。

先日、初めて決算質疑を行った。その日の費目は文化交流費。これは、外国人との共生などに向けた予算も含まれる。質問したい項目は沢山あったが、戦略として、練馬区が提供している外国人向けの多言語のウェブサイトに絞って質問を行った。

そもそもこのウェブサイト。区内の外国人からの相談が問題に気付いたきっかけだった。

彼の説明では、練馬区に引っ越してきて、生活お役立ち情報を見るためにウェブサイトを見たら、さっぱり意味がわからないとのこと。私も実際に見て、あまりのひどさに愕然とした。

まず翻訳の問題。ほとんどが酷くて有名な機械翻訳で行われている。例えば、練馬区が実施している「外国語による相談」の案内。これは、外国人にとっては、行政に対して日常の問題を直接相談できる貴重な機会である。しかし英語に翻訳された案内を見ると冒頭に“Consultation of would be a problem (…)”とある。もともとの意味は「困ったことに関する相談」である。英語では文法自体が間違っているが、of が誤植であると考えて除くと「相談すること自体が問題」という意味になる。つまり、相談窓口であるにも関わらず、相談自体を断っていることになる(!)。

次に、ウェブサイトの構造に関する問題。現在は外国人にとって必要な情報がどこにあるのか、非常にわかり難い。例えば、相談窓口の案内、日本語のページの「学ぶ、楽しむ」の項目をクリックしないと見られない。10,000ページにも及ぶ膨大なページから、この情報を得ることはほぼ不可能である。また、防災情報についても、機械翻訳の不可解な文章を一生懸命解読して、なんどかクリックしてやっと緊急医療を提供する病院のリストにたどり着く。そうそう、これだよ!と思ってクリックすると、なんとリスト自体は全部日本語・・・。これではどこに何があるのかわからない(汗)・・・。

そこで、私が行った提案。少なくとも外国人にとって必要な情報、特に、命や生活にかかわる情報、さらに相談業務や住民記録についての情報などはすぐにその翻訳を改善すること、そして、外国人にとって重要な情報だけを集めた別サイトを作ることを求めた。

これに対し、区の答弁は、問題を認識するとともに、今年度中に出版される「暮らしの便利帳」の外国語版をベースに、翻訳の改善、そして新たなウェブサイトの作成を検討するという回答だった。

これは非常に大きな前進だった。まずは問題をしっかりと認識したこと、そしてさらに、具体的な方法とともに改善を検討すると約束したことは予想以上の回答である。

少しずつではあるが、外国人の人権を守るために区が動き出したこと、すごく嬉しい。これからもしっかりと取り組んでいきたい。

安保関連法へのこれからの取組み

昨年まで、JICA等の専門家として途上国で活動をしてきた。

内戦が続くパキスタンやコンゴ民主共和国で仕事をしていた時、私が心がけていたこと、それは、敗戦後、日本がこれまで軍隊を持たず、どうやって復興してきたか、様々な課題がありながらも、曲がりなりにも、その前提には憲法9条があり、誰も殺さないことを基礎としてきたこと、それを紛争国の方に伝えることだった。

コンゴ民で働いていた時、元少年兵の方から、「日本では戦争をしなんて羨ましい」と言われたこと、今でも覚えている。その日本がこんな形で集団的自衛権を認めることになるなんて、本当に情けない。

そんな中、憲法とは何か、立憲主義とは何か、そして今後何ができるのか、考えたいという思いから、市民の声ねりま運営委員の二人の弁護士、小林明隆さんと伊藤朝日太郎さん(明日の自由を守る若手弁護士の会)による委員への勉強会を実施した。

そもそも憲法では、「憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(98条)とあり、憲法違反の法律は、すべて無効であると明記されている。

だからこそ、私は安保関連法案が可決されても、この条文がある限り、裁判所が違憲判決を出せば、すぐに廃案にすることができるのではないか。そこに希望を見出す人も多いと思う。

現在安保関連法について、憲法学者などが「憲法9条に違反する」として今後、集団で国に対す訴訟を起こすことにしているようだ。しかし、講師によれば、これは簡単ではないという。日本では、そもそも法律が違憲かを判断する憲法裁判所は存在しない。だから、違憲かを問うには通常の裁判所に訴える必要がある。そして、そのためには、基本的には、ある法律が憲法に違反する、ということではなく、ある具体的な事件があって、それを規制する法律が憲法に違反している、ということを訴えなければいけないからだ。

さらに、それが受理されたとしても、裁判所が必ずしも、法律の違憲性を判断するかは不明とのこと。例えば、安保条約や自衛隊の合憲性について、「高度に政治的な判断を要する」という理由でこれまでも裁判所は判断を避けている。つまり、今回の安保関連法については、判断自体を避ける可能性もある。

驚く参加者も多かった。憲法に違反していることが明白であるにもかかわらず、それに対して司法は何もできないかも知れないなんて。だとしたら、政権はどんな法律でも作ることが出来てしまう。三権分立って、なんだ?と思うのも無理はない。

そこで皆で出した結論。それは、誰かに任せるのではなく、結局は自分たちでしっかりと行動しなければいけないということ。私たち一人一人が、次の選挙で、安保関連法に賛成した議員を落選させて、この法案を廃止しなければならないということ。そのためには野党の共闘が不可欠だ。

今日は息子の誕生日だった。同時に、日本の立憲主義の礎が根本から揺るがされた日。息子や孫の世代に、どんな日本や世界が残せるか、しばし暗澹たる気持ちになるが、前を向かなければいけない。絶対にこの法律が廃止となるよう、声を挙げ続ける。

2015年9月19日|Tags: |

強行採決に向けて

私は法学部で樋口陽一先生の指導のもと、憲法を専攻した。

憲法は国民を守るために、そして、間違いを犯しやすい権力を縛るためにこそある、そう学んできた。そして世界の様々な国を見てきて、どんなに立憲主義というのが重要かを肌で感じてきた。

本日、安保関連法案が参議院で強行採決されようとしている。

しかし、集団的自衛権を認めようとする本法案、憲法に明確に違反している。憲法学者の90%以上、元裁判官たちが80人近く、そして日弁連は全会一致で違憲と宣言している。合憲派がその論拠とする砂川事件の判決も、当時の最高裁判事の記録からも完全に否定されている。

賛成派は、国民の平和と安全を守るためにこの法案がどうしても必要だという。近隣諸国のリスクから守るためにはアメリカとの関係強化が唯一の手段だと。

しかし、それは憲法を破ってもいいという理由にはならない。そもそも、世界の紛争地や治安の悪い国々で働いてきた者の実感として、アメリカとの関係強化によって、日本の平和が守れるとは全く信じない。むしろ逆効果、リスクは高まるだろう。海外の経験から、日本の平和は憲法9条と国連中心主義によって守られてきたのだと実感している。

しかし、百歩譲って、どうしても必要だというのであれば、憲法に則って、憲法改正のための国民投票を行うべきである。日本には法治国家であってほしいし、民主主義の国であってほしい。

今日は、日本の基盤である立憲主義が、その根底から崩される、そんな一日になるかもしれない。10年後、50年後、100年後も語り継がれる、そんな歴史的な転換点となるかもしれない。

だからこそ、皆さんと最後まで声を挙げる。今朝も駅で、そして議会の終了後、国会前で!!

2015年9月18日|Tags: |

国会前抗議行動

議会後、国会前デモに参加。
桜田門に着くと既にたくさんの方々。

国会前に横断歩道が封鎖されていて、身動きも取れない。
自然発生的に「とおせ!」の大合唱。
次々と人が駅に到着する中、ついに国会前のバリケードが撤去。

国会に至る道、皆さんが思い思いの声を挙げながら進む。
そして、国会を前に、「民主主義ってなんだ?」のコールが響く。

一人一人が光を掲げて国会前を照らす。あまりに美しい景色。
これほどたくさんの方が集まって、平和に声を挙げる。
エジプトや南米の民主化デモに参加したことがあるが、これほど整然としたものはない。

まだ諦めない、そんな希望が持てる瞬間だった。

2015年9月15日|Tags: |
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