LGBT自治体議員連盟 研修会に参加して② 性教育の重要性について

7月25日~26日にかけて参加したLGBT自治体議員連盟の研修会。 豊島区役所での研修の他、新宿2丁目のコミュニティスペース「acta」と渋谷区ダイバーシティ―センター「アイリス」を視察。actaは厚生労働省の委託を受けてNPO法人が運営を実施。ゲイの方を対象としたコミュニティのハブ的な機能のほか、HIVをはじめとした性感染症を防ぐための啓発活動、行政とのネットワークなどを行っています。 2015年現在、新規に1,434名がHIV/エイズと報告されましたが、新規患者のうち、30.3%が東京で感染が判明(国内累積者25,995人)し、61.2%が日本人同士の性的接触で感染しています。そのうち、8割から9割が男性同士の感染です。また、最近の傾向として、東京での患者数は減少し、神奈川、埼玉などの近郊県での報告が増えています。 Actaが行った調査によると、ゲイの方で初めてセックスしたのは、平均で20歳前後、ゲイの男性とはじめて出会った時期に重なるとのことです。HIV/エイズの感染報告が最も多いのは20代ということで、若い方の性に関する知識、特にsafer sexの知識が不足しているからとのことでした。 こうした状況を受けて、actaではsafer sexの重要性を知らせるためのリーフレットを作成、配布しているほか、バーなどでコンドームの配布も行っているとのこと。また、actaには新宿のみならず、東京中から訪問者がいるとのことで、保健所との連携も行っているとのことです。 講師の方の「若い子はインターネットなどで情報を入手しているつもりになっている、でもその情報は間違っていることが多く、誤った知識は余計危険である。だからこそ、学校での性教育が重要である」という言葉、印象的でした。子どもたちが性に関する、特に性感染症を防ぐために正しい知識を持つことはとても重要です。今回の話を伺って、私たちも一般質問でも取り上げていますが、学校での性教育をしっかりと行うこと、また図書室や保健室などに性に関する書籍を揃えることなど、まだまだ行わなければと改めて実感しました。

2018-08-21T09:41:33+09:002017年7月31日|Tags: , , |

第一回 LGBT自治体議員連盟の研修会に参加して ①

7月27日~28日にかけて、LGBT自治体議員連盟の研修会に参加しました。 LGBT議連は、性的マイノリティが自分らしく暮らせる社会をつくるため、当事者の議員が世話人となって全国の自治体議員に呼びかけ、今年6月に発足したものです。初の研修会、豊島区役所で行われたのですが、北海道から九州まで全国の自治体議員、101人が集まり大変な熱気でした。 初日は自己紹介の後、明治大学教授の鈴木賢氏、日本大学の准教授の鈴木秀洋氏、渋谷区長の長谷部健氏の講演。特に印象的だったのはご自身も当事者として札幌市でのパートナーシップ制度を実現するために尽力された鈴木賢氏の講演でした。 札幌市のパートナーシップ制度、渋谷、世田谷、伊賀市、宝塚市、那覇市に続いて全国で6番目になります。札幌のパートナーシップ制には大きな特徴があり、いわゆる行政からのトップダウンではなく、市民が中心となって実現したということです。当事者や支援者の方が住民票とともに要望書を提出した事が大きな意味を持ったとのことでした。 そもそも、パートナーシップ制、基本的人権を守るという意味では当然のことですが、特に導入が求められるのは、成立による波及効果が非常に大きいからとのことです。例えば、LGBTの人権については先進国の台湾では、82%の自治体でパートナーシップ制が認められた段階で法律が変わった、また、国内でも制度導入によって、地方自治体における職員の福利厚生の拡大や民間企業でも電話代での家族割の適応、保険の範囲の拡大など、さまざま動きがあったとのことです。 残念ながら、多くの行政は、“住民の理解が進んでいない”ことを理由に、パートナーシップをはじめとしたLGBT施策に消極的です。 しかし、住民の理解が進んでいないことはやらない理由にはならないと思います。鈴木さんの「政治や行政こそが率先して差別やマイノリティの生きづらさの解消に取り組むべきである。また、差別があることをしりながらそれを放置するのは、差別に加担するのと同じである。むしろ理解が進んでいないことを制度化加速の根拠とすべきである。」という言葉が印象的でした。 現在も多くの自治体でパートナーシップ制度の導入を検討しており、東京都では港区や北区で当事者による働きかけが進んでいるとのこと、練馬区でもぜひ実現したいと改めて思いました。

2018-08-21T09:41:33+09:002017年7月29日|Tags: , , |

アメイジンググレイスと練馬区の差別について

土曜日の今日、光が丘の清掃工場の建て替えに関する地域説明会に参加した後、いつも通っている地元の大泉教会での「春をよぶコンサート」に参加しました。こちらのコンサート、地元の合唱グループが普段の練習の成果を披露するもので、大泉教会の「讃美歌歌い隊」、東大泉の「みどり広場」を守る会の「はらっぱ音楽隊」、そして施設、病院、作業所などで活動している「にしきみ音楽グループ」が参加しました。 私の大好きな「世界に告げよ」や、中学生の頃歌った「大地讃頌」「小さな木の実」など、聞いたことや歌ったことがある曲ばかり。一緒に歌ったり、踊ったり(?)、とても楽しませていただきました。そのなかで、印象的だったのが「アメイジンググレイス」。 この曲の作詞者、もともとは奴隷貿易に携わっていたのですが、改心して牧師となり、その時の悔恨とそれを許してくれた神の愛への感謝が歌詞になっています。私も家族も大好きで結婚式でも家族で一緒に演奏(皆がかろうじてできる楽器を演奏したのですが、謙遜なしに下手くそでした、笑)をしました。 最近ではオバマ前大統領が、黒人の方が多く通う教会で発生した、無差別銃乱射事件の犠牲者に捧げ、そして人々の団結を訴えるために自ら歌っています。 (http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/28/obama-lead-a-powerful-rendition-of-amazing-grace-_n_7684010.html) 大統領が人種間の和解や多様性の尊重を訴えたわずか半年後、人々の憎悪や怒りをあおることでトランプ政権が誕生してしまいました。就任後、わずか数時間でホワイトハウスの性的マイノリティに関わる記述が全て削除され、スペイン語のサイトも消されてしまいました。難民の受入をすべて停止するとも宣言しています。壁を建設してもビザ発行を停止しても、国を出ざるを得ない状況にある人たちは止められず、費用対効果は少ないばかりかかえって危険な状態をつくりだします。一方で、世界で100万人以上の女性がトランプ大統領のこうしたやり方に反対の声をあげたこと(Women's March)、まだ希望もあると思います。 その後、練馬区の部落解放同盟の旗開きに参加しました。旗開きでは区内のヘイトスピーチや差別的な落書きの事も話題に。昨年来、区内における差別的な落書きは大幅な増加を見せています。先日調べたところ、平成28年度に発見された公共施設への差別的な落書きは合計で14件でしたが、今年度は12月の時点ですでに17件。内容も外国人、そして部落差別を扇動する悪質なものが多く見つかってします。特に、沖縄の高江での機動隊員が「土人」と発言したことを、政府が差別ではないと発表してから、落書きにも「土人」という表現が見られるようになっています。 昨年はヘイトスピーチ対策法や部落差別解消推進法などの法律もできた一方で、理念法であるという課題もあります。これを具体化するのは、まさに地方自治体の仕事であり、これからも条例の制定を含めた具体的な対策を求めて議会でも訴えていきたいと思います。

区民講座 性的”マイノリティ”と性の”ふつう”

先日、男女共同参画センター「えーる」で行われた性的マイノリティに関する講座に参加しました。こちらの講座、区民の方が企画を持ち寄り、自ら講義を行うもの。今回は一橋大学の博士課程の研究者二人が講師となって、参加者とともに性的マイノリティの方が地域で抱える課題や行政が果たすべき役割などについて考えるというものでした。 平日の夜に行われたにも関わらず20名もの参加者が。皆さんの関心の高さを伺わせるものでした。 印象的だったのが、グループワークで話し合われた行政が果たすべき役割について。 2017年度から家庭科の教科書にも性的マイノリティに関わる記述がなされるなど、一定の前進は見られます。ただ、大切なのは、制度はあっても使われない、という事態を避けること。そのためには、当事者の方へのエンパワーメントとともに、地域社会が変わる必要があるという指摘は印象的でした。行政は枠組みを作り、そして旗振り役を務めることが大切であるという意見や、一般質問でも指摘しましたが、今の行政の姿勢はカムアウトをすることを前提とした支援であり、カムアウトしないでも不利益を被ることのない「ユニバーサルな対応」が必要という当事者の声、同時にカムアウトしやすい社会を作るべきという意見もありました。 区民の方が講師をして、当事者を含めた区民の皆さんがともに考える、素晴らしい機会だったと思います。こうした取組が区内でもっと増えていくよう、そして上記の意見を区政に反映させるべく、頑張りたいと思います。

一般質問の報告① 性的マイノリティの人権保障について

先日の一般質問、主題は「マイノリティの権利保障」でした。 質問では1. 性的マイノリティの権利保障について、2. 外国籍住民の権利保障および多文化共生社会の実現について、3. 待機児童対策について、4. まちづくり(大江戸線延伸)を取り上げました。 本日は、その中で、性的マイノリティの権利保障について抜粋をご報告します。待機児童問題については、区長のひどい答弁もありましたが、性的マイノリティの問題については、具体性の乏しい部分もあるにせよ、全体的にはある程度、前向きな答弁だったと感じています。 特に、教職員向けの性的マイノリティに関する研修プログラムの実施については、学校として組織的に取り組むことを言っており、前進だと思います。また、情報コーナーの設置や交流会についても、前向きな回答でした。 (正式な議事録ではないので一部誤りがある可能性もあることをご了承ください。) <質問1> 各学校には、(カミングアウトが前提とされる)性的マイノリティの児童生徒が在籍していることが明らかな場合にのみ、対応を求めるのではなく、こうした児童生徒が存在することを前提として対応を求めるべきだと考えますが区の認識をお聞かせください。 <区の答弁> 児童生徒が様々な人権課題について学び、人権尊重の精神を生活の中で生かしていくことができるよう、教育活動全体を通して組織的・計画的に人権教育を推進しており、性的マイノリティについても、人権教育の一環として行っています。 <質問2> 学校では「違い」を「個性」と捉え、認め合うべき事を授業等の中で積極的に発信することが必要です。また、図書室や保健室等に、性的マイノリティに関する書籍を置く、ポスターを貼るといったことを通じて、学校として当事者への理解を表明すべきです。この提案に対する区の認識を聞かせてください。 <区の答弁> 学校における啓発の取組やその方法につきましては、各校が自校の実情を踏まえ、児童生徒の発達段階に応じて工夫していきます。 <質問3> 練馬区として、文部科学省が教職員向けに対して発行した性的マイノリティの児童・生徒への配慮を示した手引きに従い、教員研修プログラムを早急に策定すべきだと考えますがプログラム策定に向けた区の考えを聞かせてください。 <答弁> 教育委員会として、この資料を踏まえて、教員研修の計画を立案し、副校長対象の研修会や希望する教員を対象とした人権教育研修会を実施していきます。研修を通して、性的マイノリティに関する理解啓発を促進するとともに、各校における研修の中心的役割を果たす人材を育成し、各校が人権教育担当者や生活指導担当者、養護教諭等を中心に組織的に取り組めるよう、指導してまいります。 <質問4> 相談窓口は、性的マイノリティの方を対象とすることを改めて周知するとともに相談員を対象とした基礎研修の実施、そして、他自治体や支援団体等の相談事例を収集し、相談対応向上のための情報共有を図るべきです。区の所見をお聞かせください。 <答弁> 男女共同参画センターを含めた相談窓口を充実するため、適切な支援に繋ぐ専門機関等との連携や職員の専門研修の受講、他自治体や支援団体等の相談事例の収集など準備を進めています。 <質問5> 小・中学生を対象に、学校でこの相談窓口を含め、親や学校を通じずに相談できる場を紹介すべきです。この提案について区の所見を聞かせてください。 <答弁>  小中学校では、性的マイノリティを含めたさまざまな相談に関して、リーフレットや案内カードの配布、校内でのポスター掲示などを用いて、区の教育相談室、東京都教育センター、文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」等を紹介しています。今後も児童生徒への相談窓口の周知を図ってまいります。 <質問6> 練馬区は区立施設を活用し、情報コーナーを設置し、役立つ情報を取りまとめ発信すべきです。情報コーナーでは、性的マイノリティ関連図書、資料等をそろえるとともに、区や支援団体の取組を紹介し、性的マイノリティ関連のイベントを開催すべきです。同時に、横浜市が実施しているような当事者や支援者の交流の機会を設けるべきです。 <答弁> 区立図書館や男女共同参画センターの図書・資料室では、性的マイノリティに関連する書籍の購入、貸出しを行っています。引き続き、人権パネル展や男女共同参画センターを活用した情報コーナーの設置など、さまざまな事業や機会を捉えて効果的な情報発信方法を工夫してまいります。当事者や支援者が交流する機会として、男女共同参画センターにおいてワークショップを開催いたします。今年度の人権セミナーにおいて、当事者による講演会なども予定しております。 (写真は先日参加した東京レインボープライドの様子です。)

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