先日、池尻議員と横須賀市の児童相談所の視察を行いました。
児童相談所(児相)は、18歳未満の子どもに関する相談に対して、児童福祉司などの専門家が応じる所です。区の子ども家庭支援センターなどの相談機関に比べ、専門的な知識が必要なケースを担当します。

これまで、都内の児童相談所はすべて東京都が設置・運営をしてきましたが、一昨年(2016年)の児童福祉法の改正により、練馬区をはじめとする特別区では、独自に「区立」の児童相談所を設置できることとなりました。現在、23区のうち、22区が児童相談所の独自設置に向けて動いていて、荒川区、世田谷区、江戸川区で、2020年度の開設をめざしています。

そんな中、23区で唯一設置に否定的なのが練馬区です。
練馬区はこれまで通り東京都が運営すべきと主張していて、その理由を①児童の主な処遇先である児童養護施設は都内外に分散していて広域行政が望ましい、②職員には高い専門性が必要性で、その確保と育成には東京都のノウハウが必要である、③児童相談所の事務について東京都と十分な協議が行われていない、としています。そして、児童相談所を設置する代わりに、都の児童相談センターとの連携強化を図るとしています。

こうした状況の中、実際の児童相談所の運営について調査するため、人口40万人、中核市として児相を設置している横須賀市の視察を行いました。なお、中核市として児童相談所を設置しているのは全国でも横須賀市と金沢市のみです。

横須賀市でも、開設にあたっては様々な課題があったものの、「横須賀の子どもは横須賀が守る」という強い決意のもと、当時の法律を変えるよう市長が働きかけを行ってまで設置に動いたそうです。そして、実際に設置したことで、子どもに対して一貫した支援体制ができる、また効果的な支援が行えるといった大きなメリットがあったとのことです。特に、児童相談所を持つことで、施設に入った時、子ども達がどんな生活を送っているかなど、初めてわかることが大きかったとのことでした。

児童相談所の開設には人員の配置、予算など多くの課題があることは事実ですが、それでも、既に実施している自治体も存在し、22区では前向きな検討も行われています。練馬区としても、地域で一貫した支援を行うためにも、課題があるからやらない、というのではなく、その課題を乗り越えていくための前向きな努力や取り組みが求められると思います。