練馬区議会定例会が終了しました。今回の議会は1か月半、昨年度の決算の審議が中心でした。最終日、会派を代表して反対討論を行いました。私たちが訴えたのは、当事者の声をもっと聴くべきということ。谷原保育園の閉園のこと、美術館の建替えのことなどを例に主張しました。最終的には、私たち(インクル)、共産党、オンブズマン(土屋さん)の11名が反対する中、賛成多数で可決されました。反対討論の内容をご報告します。

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コロナの流行が始まってから2年目となる中、2021年度は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置がそれぞれ2度にわたって実施されるなど、過去に経験したことのない危機の中で人々の暮らしは困難を極めました。今年に入っても、オミクロン株の急速な感染拡大や20年振りの円安、それに伴う物価上昇等が区民の暮らしを直撃しています。

練馬区は、昨年度の予算を策定した際に「コロナ禍を区民とともに乗り越え、区民とともに前に進むため、最大限努力し、区民サービスの水準を確保する予算」とすることを約束していました。しかし、実際には高齢者の紙おむつ代の補助や高齢者への配食サービスを停止するなど、補助的給付的事業全体で3億1900万円を削減しており、実態は大きく異なるものでした。

この間、多くの訴えやご相談を頂いてきました。10年以上練馬区のために働きながらも会計年度任用職員として給料も上がらず、翌年の仕事があるかわからないまま暮らすことを余儀なくされている方、子どもが通う保育園が突然閉鎖されることになり途方に暮れる方、子ども達に向き合いたいと思いながらも、あまりに仕事が多くて適わないと仰る教員の方々。どれも、練馬区の課題を象徴するものです。
練馬区に求められている事は、区政に当事者である区民の声をもっと反映させることです。会派の一般質問でも谷原保育園の突然の閉園について、保護者が説明会を開くよう何度求めても拒み続け、ようやく保護者主催で開催した際にも区長は出席しなかったことなどを指摘し、トップダウンを改めるよう求めました。

それに対する区の回答は「区民全体の利益を判断するのは、区民の代表である区議会と区長の責任」であり「会派の皆さまは議会制民主主義ではなく、直接民主主義を求めているのでしょうか。」としたうえで、「区民ぬきのトップダウンの区政運営とのご指摘は的外れだということは、皆さんよくご存じだと思います。」とのことでした。

練馬区のいう「みなさん」の中には、行政に賛成する方しか含まれないのでしょうか。1万人を超す陳情、保護者の反対の意見を聞けという訴えに、練馬区は説明会等で保護者の理解は得られたと回答し、その根拠として、説明会の後、保護者から特に反対の声はなかったからと説明しました。
そもそも練馬区は反対の声に耳を傾けようとしたのでしょうか、区は子ども達への影響を考慮し、在園中の子どもが卒業する段階で閉園にしたとのことですが、少しずつ子ども達が減っていく中で在園児がどんな気持ちになるかなど、全く考慮されていません。

練馬区は閉園について区民全体の利益のため、としていますが、コスト削減のために区立園を閉園することが本当に区民全体の利益なのか、子どものために予算を使うことこそが、求められていると思います。

美術館についても、区長は決算審議の中で、区民の皆さんの中にも美術に造詣の深い方がたくさんいると指摘したうえで、そういう方々が存分に腕を振るえる舞台となる美術館を作りたいと発言しました。地域の美術館のあるべき姿というのは、普段、芸術に触れる機会がない方々、美術館に行く気力や元気もない方々に対して、芸術の美しさ、美術が持つ力を発信していくこと、美術の造詣の有無に関わらず、訪れた方が生活の苦しさを忘れ、心を開放できる場所です。そのために必要なのは、箱である建物に多額の予算をかけることよりも人やソフトにお金をかけることであり、改修で十分です。
練馬区が行うべきことは、反対する区民の声にも真摯に耳を傾け、丁寧に対応することです。例え意見が異なっても、区民に対して誠意と熱意をもって言葉を尽くすことです。私たちが求めているのは、住民主権を実現するために当事者である区民の声を十分に反映すべきということであり、議会制民主主義の否定ではなく、その前進です。

「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing About us without us)」これが日本も加盟した障害者権利条約の基本理念です。国連が日本の障害者政策を初めて審査し、9月に政府に対し改善を要請しましたが、当事者の声を聴くこと、まさに今の練馬区にも必要な姿勢です。

練馬区が何を大切にすべきか、皆さんからお預かりした税金を何に使うべきか。区民の声に耳を傾けることを求めて反対討論とします。