10月26日から27日にかけて、所属する文教児童青少年委員会で岐阜市に視察に来ています。二日目の今日は、小中学校でのICT教育について学ぶため市内の小学校を視察しました。 岐阜市には小中学校、あわせて68校が存在し在校生は約31,000人、練馬区が99校で約46,000人ですので、練馬区の65%程度の規模となります。 岐阜市ではICT教育に力を入れていて、平成21年の段階で全クラスに50インチデジタルテレビ、実物投影機、ノートパソコンを導入、平成25年には全小中学校で電子黒板、デジタル教科書も導入しています。平成28年には全小中学校でタブレットPCを採用しています。現在は4,100台のタブレットを設置しており、すべてのパソコン類を合計すると教育用PCが3.4人に一台に配備されています。文部科学省は3.6人に1台のパソコンを推奨していますが、岐阜市は中核市では初めて、この目標を達成しました。タブレットの導入に先がけて、教員への研修に取り組んでおり、意欲ある教員向け、各校情報主任向け、そして、全教員向けの研修も行っているとのことでした。 過去の視察でもICTの実践を学んだのですが、実際に学校での授業を見るのは初めてでした。実際に訪問した3年生のクラスでは算数の授業、一人1台タブレットを使っており、先生から問題がタブレットを通じて出されて、すべての子ども達が書く回答が一覧としてそのまま電子黒板に掲示されていました。また、4年生のクラスでは電子黒板での授業が行われていて、教科書が黒板に映し出されたものを、先生が解説する、という流れでした。担当の方は、ICT導入の目的は環境の整備ではなく、「一斉授業の充実」であり、いかに生徒に授業に関心を持たせるかにある、と言っていましたが、実際、視察したクラスではタブレットを使うことで、一人ひとりの回答が瞬時に電子黒板に表れて、子どもの参加意欲も高いという印象を受けました。体育の授業も見たのですが、走り高跳びをグループで行い、生徒同士でタブレットで動画撮影し、それを皆でチェックする、ということを行っていました。確かにこうした使い方によっては効果も期待できると思います。 一方で、問題として感じたことが教員の研修とコストの部分です。 まず、教員の研修についてタブレットを道具として使いこなすためには、教材の準備からはじまり、授業の進行なども含めて多くの学びが必要です。しかし、それをただでさえ忙しい現場の教員の方々にどう浸透させていくのか、課題は大きいと感じました。 続いて、費用の問題です。タブレットはすべてリース契約としていますが、年間のリース料は1億6,000万、さらに保守点検で4,000万以上、合計では年間で2億円以上がタブレットの導入のためだけに使われています。また、これを練馬区であてはめた場合、単純に価格も1.5倍とすると年間で3億円以上かかることになります。学校の改修などが予算の関係で先お送りもされている中で、ICT導入のために多額の予算を計上することは困難だと思います。 ただ、練馬区も今年度からモデル校に対して電子黒板の設置や教員用PCの導入などを開始しています。岐阜市に比べると8年の差がありますが、先行事例から学びながら、練馬区としてのICT導入のあり方について、考えるべきです。特に、タブレットやパソコンを導入することを目的にするのではなく、子ども達の理解を深めるために、ICTをどう組み合わせていくかを考えることが一番重要だと思います。