小中学生の体力テスト・生活習慣調査の結果からみる練馬区の課題
先日の委員会、2015年(平成27年)4月~7月にかけて実施された体力テストと生活・運動習慣調査の結果も報告されました。このテスト、練馬区だけでなく全国ですべての小中学生を対象に毎年行われています。
結果をみると、報道でもいわれているように、全国的に子どもたちの体力はなだらかな低下傾向にあります。その中で、練馬区の子どもたちの特徴をみると、さらにいくつかの特徴がみられます。
まず、全体的な特徴について、練馬区の子どもたちは中学三年生時点で、身長が全国平均よりも男の子では0.9㎝、女の子でも0.5cm高い一方で、体重はそれぞれ300グラム程度軽い傾向があります。
また、体力については、全体的に全国平均より低く、特に中三の男子は、ボール投げでは10%、立幅とびでは中三の男子では4%程度低い数値となっています。
そして、最も驚いたのが生活習慣についてです。
生活習慣では、運動の実施状況、朝食の有無、睡眠時間等を調査していますが、その中で、練馬区の中学三年生において、朝食を全く食べていないという男子生徒は全国平均の2倍近い3.4%、また睡眠時間についても6時間未満と答えた生徒が女子では16%に上っていました。成長期の児童や生徒にとって、食事や睡眠は非常に重要です。特に子どもの貧困も社会的な問題になっている中で、朝食を食べないのか、そもそも食べられないのかなど、その背景も含めて来年度、しっかりと調査したうえで、行政として向き合う必要があると思います。
文教児童青少年委員会② 小中一貫教育の推進について
現在行われている第一回定例会、通常の議案に加えて来年度の予算についても審議されるので、非常に大変。毎日膨大な予算書や資料を眺めながら、この数字はなんだろう??と頭を抱える日々。
そんな中、本日は先週に続いて文教児童青少年委員会が行われました。
今日の委員会、主な議論は練馬区における小中一貫教育の推進(案)でした。小中一貫教育、名前だけ聞くと、9年間を一貫して授業することで子どもへのメリットも大きい、という印象も受けますが、実際にはまだまだ多くの課題があります。
第一に、練馬区の小中一貫教育は文部科学省が認定したうえで実施する9年間を連続して授業を行う形ではありません。練馬型小中一貫教育は、法律上はこれまで通り、小学校、中学校が分かれていて、学習指導要領も通常の学校のものを用いています。その中で、可能な範囲で子どもたちの交流を促進する、というものです。練馬区の小中一貫教育では、小中学校の施設も一体的に使う施設一体型、それに分かれた学校が連携する分離型があります。練馬区では施設一体型のモデル校として大泉桜学園があり、平成28年度中にもう一校を決定することになっています。
小中一貫教育といいながら、実態としては小学校と中学校でカリキュラムが分かれたまま、そして今度どのような方向を目指すのか明確でないまま、事業が進んでいます。そもそも、教育の公平性が求められる公教育の中で、他の公立学校とは異なるカリキュラムを取ることも視野に入れた小中一貫教育をすすめることが望ましいのかどうかについても議論は尽くされていません。
区が舵を切る小中一貫推進の流れの中で、練馬が進めるべき教育の在り方についてしっかりと議論をしていきたいと思います。
文教児童青少年委員会報告① 練馬区教育・子育て大綱(案)について
先日から議会がはじまりました。
本日は文教児童青少年委員が行われました。今回の委員会では報告事項だけでも合計で16件もあり、祝日の昨日も息子が「あうあー(訳:パパ、何してんだよ、遊ぼうよ)!」とおねだりする声に後ろ髪をひかれながら案件の勉強をしていました。
今回の委員会、主な案件は、
1) 練馬区教育・子育て大綱(案)
2) 幼保小連携推進方針(案)、そして
3) 小中一貫教育の推進方針(案)、に関する報告でした。
今日は「練馬区教育・子育て大綱(案)」についてご報告します。
この大綱、国の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正(平成27年)に基づき、教育に関する目標や施策の根本的な方針について5年程度を範囲として、区でも策定されることになったものです。
昨年の委員会で大綱の素案が報告された後、パブリックコメントを受けて本日の委員会で修正案が報告されました。委員会での主な議論は以下の通りでした。
(詳細は後日公表される議事録をご確認ください)
<大綱の位置づけ>
今回、法改正によって、新たに大綱が作られることになりましたが、特徴の一つに、「区長」が教育委員会と協議して作成することになった点にあります。
練馬区にはすでに同様の「練馬区教育振興基本計画」が存在します。この計画、教育の政治的中立性、独立性を担保するために、教育委員会が作成していました。来年度にこの基本計画の見直しを行うことになっていますが、それは大綱に基づいて作成することになっています。これによって中立性、独立性が失われてしまうのではないか、と委員会でも指摘されました。
これに対して、区の答弁は、区が教育委員会と協働することで、「より迅速かつ効果的な対応ができるようになる」、また、教育の独立性についても十分に配慮する、というものでした。
私自身の考えとしては、まず、大綱については教育に関する政治的中立性や独立性が担保されるべきだと思います。そもそも、昨年の条例改正の結果、教育委員会の長である教育長を区長が選任することとなった(以前は教育委員会による選挙の結果選ばれていたが)こと自体が深刻な問題だと考えています。そんななかでいくら独立性に配慮すると言っても、実際には区長の意見がかなり色濃く反映されることになることは間違いないでしょう。だからこそ、これまで通り教育委員会が担うこと、または外部の有識者委員会などによって編成されるべきだと考えます。
<インクルーシブ教育について>
続いて、寄せられたパブリックコメントの中に、区民の方からインクルーシブ教育の視点から学ぶ環境を整えるべきことを加えるべき、という指摘がありました。インクルーシブ教育は、同じ教室や環境で勉強することを通じて障がいがない子も持つ子どもわけへだてなくともに学べるようにするという考え方です。それに対して、区の回答は「取り組みの視点の中に子どもたちが生まれ育つ環境や障がいの有無にかかわらず、等しく公平に質の高い教育が受けられる教育が受けられる環境を整えることが大切」と記述しているというものでした。
しかし、「等しく公平に質の高い教育が受けられるように」というこの回答は、障がいを持つ子どもや外国籍の子どもたちを区別・排除せず、ともに学ぶという考えが抜け落ちており、コメントに対応するものではありません。だからこそ、私はこうした考えをしっかりと含めるべきだと訴えました。
これに対して、区は今後検討するとの回答でした。
後日ほかのテーマについてもご報告いたします。
(写真は今回の委員会の資料です。。。)
地域に住む弁護士の方々との懇親会
先日、日ごろから私や妻がお世話になっていて、たまたま自転車で行き来できるくらい近所に住んでいる(すごい奇遇!)人権・難民弁護士の方5名と国際人権に関心のある司法修習生の方をお招きして持ち寄りパーティ。。(残念ながら一人は当番弁護士で参加できなくなってしまいましたが…)
毎回持ち寄りということで、皆さん何を準備するのかな?ワクワクしていたら手作りのラタトゥユや鳥ガラでスープから作ってチャーシューも手作りの味噌ラーメン(!)など予想をはるかに超えるバラエティ。妻も南米での私の大好物のキヌアのサラダにチリコンカルネを作ってくれる。
食事をしながら、皆さんから難民事件の代理人弁護士としての様々なご経験等を共有いただきました。法的な手続きである入国管理局での難民認定手続きや、そのあとの訴訟。どんなにひどい迫害を受けてきた・受けるとしても、それをきちんと難民の定義にそって説明できない人が多く、代理人弁護士がついていることで難民として認められる率が当然違ってくるようです。印象に残ったのが、これまで一番遣り甲斐があった仕事について伺った際に聞いた、ミャンマーの民主化についてのお話。数十年の間にたくさんのミャンマー難民の弁護を行ってきた中で、ミャンマーで民主化が進むなか、祖国の役に立ちたいと、日本で認定や在留をやっと勝ち取った難民の方々が、祖国に帰り活躍している。まさかこんな日が実際に来るとは思わなかった、というお話はとても感動的でした。
一方でたくさんのごちそうやゲストを前に息子も大興奮。大人たちが地域の外国籍住民の人権問題についてお話している横で、いろんなおもちゃの使い方を教えてドヤ顔をしたり、ミニパトカーに乗って自慢げに動いてみたり…見てないと、ぎゃーぎゃー大騒ぎをはじめる。生まれた直後から愛想の良さでは皆さんに驚かれる息子、どうやら「僕を見て!」というかなり面倒な性格(誰に似たんだろう…)みたいです。。
今日ご一緒した皆さんみたいに、人権のために立ち上がる人になってほしいと願いながら、息子の食べこぼしだらけの服を手洗いしました。。。
節分
先日の節分、去年はまだ小さかったので息子にとってはほぼ初めての経験。
どんな風にお祝いしようかな、鬼のお面をつけて驚かせたらトラウマになっちゃうかな、なんて昼頃からソワソワ。そういえば、去年は夕方に豆を買いに行ったらどこのお店も売り切れだったと思い出し、お昼に抜け出して豆と恵方巻を慌てて買いに行く。
そしてワクワクしてチャイムを鳴らすと、予想を裏切り、角の生えたとてもかわいい鬼が逆に「うらー」と出迎えてくれる。その得意げな様子にもうメロメロ。
お夕飯では一緒に恵方巻にかぶりつく。息子には生ものの入っていない恵方巻、そして私たちは大人用。息子が喉に詰まらせないように見張りながら、また私のものに手を伸ばそうとするのを必死でガードしながら急いで食べる(ここしばらく、お祝い事だろうがなんだろうが、落ち着いて食事をしたことがない。会社勤めだった時の昼食のように、立ったままかきこむことしばしば。世のお母さんは何年もそうらしい)。
そしてその後、豆まきを始める。息子がいないところで鬼のマスクをつけて、こっそりと近づいて、耳元で低い声で「鬼だー!」と声をかける。びくっとしてこちらを振り向き、鬼の顔を見たとたん「きゃー!」っと声をあげてママに抱きつく。しめしめと大喜びする私。しかし、すぐに私だとわかったらしく、今度は喜び勇んでマスクをはがそうとする。輪ゴムで止めてあるマスク、びよーんと伸びきったその瞬間に息子が手を放す。あまりの痛さに声も出ない私。大喜びする息子。家族で大騒ぎをしながら、節分は終わっていきました。
平成28年度の予算について
練馬区の2016年度(平成28年度)予算が公表されました。
2016年度の予算総額は2,599億7千万円、昨年の当初予算より153億円、率にして6.3 %増加し、過去5年で最も多くなりました。なお、練馬区の予算規模、今年度(2015年度)は東京23区の中で、第4位でした。区民一人当たりでみると36万円に達します。
これだけの金額がどのように振り分けるのか、質疑を行うのが2月17日~3月9日まで開催される予算特別委員会です。だからこそ、この予算特別委員会は非常に重要な意味を持ちます。
練馬区がこれまで税金を適切に使ってきたのか、検証すると疑問な点も非常に多くあります。例えば、昨年建てられた大泉学園駅前の大泉アニメゲートの銅像、こちらを作るのに税金が合計で9,700万円も費やされています。また、練馬区は広報費に昨年、7,000万円近く使っています。その一方で、社会福祉に充てられる予算は抑えられてしまいます。
予算特別委員会では、日にちごとに特定の費目について、各会派が練馬区に対して質疑を行うことになっています。質疑時間は会派の人数によって決まっているのですが、前回の定例会で発言時間の変更がなされた結果、自民党は一日あたり71分から74分に増えたのに対して、二名会派の私たちの発言時間は11分だったのが10分、一人会派は7分から6分へと短縮されてしまいました。
時間も短縮されて厳しい状況ではありますが、予算委員会では限られた時間の中で、しっかりと議論を行いたいと思います。
生活・法律相談会の実施
昨日、私の連絡所で生活・法律相談会を行いました。
友人の伊藤朝日太郎弁護士と昨年開始して今回でもう4回目。少しずつ地域の方々にも知っていただき、今回は14時から17時までの非常に限られた時間だったにもかかわらず、たくさんの方にお越しいただきました。
そして今回、特に嬉しかったのが、相談に来た方々が日本人だけでなく、地域に暮らすアジア、アフリカの方など国籍も背景も非常に多様だったことでした。
相談では、外国人の方からは、肌の色や宗教、国籍等によって仕事等で差別されているといったお話も伺いました。
区内の外国人登録者数は2015年12月時点で約14,000人、2001年から1.5倍に増加し、区民全体に占める割合も人口の約2%、国籍も100ヶ国を超えています。しかし、区内施設内で外国人に対する差別的な落書きがみつかったほか、ネット上でも外国人を誹謗中傷する差別的な表現が見られます。行政サービスにおいても区内の外国籍の方の人権が十分に守られているとはいえません。
そんな中、地域に暮らす方からこうした相談を受けたことは象徴的です。異なるもの、価値観を異にするものに対する差別が地域の中にもみられるということ、重く受け止めなければならないと思います。だからこそ、地域が率先して多文化共生を実現するために協力する、そんな社会を実現するために、地域や議会の中で一層頑張りたいと思います。
いわせてかわら版への反響
先日発行したかわら版、「どんな反応があるかな、何も反応がなかったら悲しいな。。。」とドキドキしていたのですが、ありがたいことに今日までにたくさんのご感想をいただけました。
皆さんから貴重なご意見をいただきとても有難いです。
特に、「とてもわかりやすかった」とか「読んで区議の仕事が分かった」というご感想はとても嬉しかったです。
今回は、その中でも私の主張に反対の方のご意見とそれに対する私の答えをお伝えします。(個人が特定されないよう、一部変更しています。)
<ご意見>
かわら版(号外)の「道路がこの地域を貫通する」の中で、「地域に住む方々に相談もなく整備計画が進められた」とありますが、40年以上前、当該地域に自宅を購入した時点で不動産業者から説明がありました。農道をベースにした道路が多い練馬区が便利になる16m道路です。はるか昔、決定された計画道路に反対するのではなく、その道路予定地に建てられ、取り壊されるべき分譲住宅の責任の所在、「確認申請」の役所の窓口、「販売業者」の販売時の説明責任、他を追及されては如何でしょうか?
<回答>
「いわせてかわら版」のご感想をいただきありがとうございました。ご指摘いただいた計画道路についてですが、道路の計画は40年以上前に立てられたものです。当時は農道をベースにしたもので、練馬区が便利になるものだったかと思います。しかし、40年が経ち状況は変わりました。当時農道だった場所は新興の住宅地となり、新たな生活圏が形成されています。その中で、突然、優先整備路線として計画が始まったということ、それについての区からの事前の報告、住民の方への説明会、ポスターなどでの告知もされていません。その意味で、行政としては、まずはしっかりと住民の方に対して計画自体を知らせることが必要だと思います。
私の意見に賛成の方も反対の方もいらっしゃいますが、何よりもきちんと読んでいただけたこと、そして反応をいただけたことが嬉しいです。一つずつ丁寧にお返事をさせていただきました。
皆さんとのこうしたやり取りを通じて、新たな気づきが生まれるほか、私自身にとっても勉強になっています。これからも、こうした双方向の意見交換を通じて、区政に向かっていきたいと思います。
文教児童青少年委員会② 地域の中学校を分断する道路建設計画について
昨日の文教児童青少年委員会、報告の一つが大泉第二中学校を分断する道路の建設計画についてでした。
昨年12月、東京都が10年ごとに見直す「都市計画道路の整備方針(案)」が発表されました。これにより、大泉第二中学校の校庭を十文字に貫く補助232号線、135号線が、今後10年以内に工事を開始する「優先整備路線」に新たに選ばれました。
道路が中学校の校庭を分断することについて、練馬区は平成25年、135号線によって校庭を東西に、縦の分断を想定した素案を公表しました。この素案では、道路の上に蓋をかぶせるようにして、人口地盤や渡り廊下をつくることになっていました。
しかし、今回の計画ではさらに232号線によって南北へも分断されることになります。道路が学校を東西南北、十字に分割する計画が現実味を帯びる中、練馬区では、新たにこの問題を検討する有識者委員会を設置することになりました。
道路に関する問題は「環境・まちづくり委員会」が主として担当しますが、文教児童青少年委員会では、参考資料として、有識者委員会を設置するということ、そしてそのための住民説明会を開催するということが報告されました。
本委員会では、道路建設よりも子どもたちの教育環境を守ることが大切である、という視点で、共産党、市民の声、そしてオンブズマン練馬が質問や意見表明を行いました。それに対する区による主な説明は以下の通りです。
「<有識者委員会の構成、内容について>
大学の教授、特に都市計画、教育、建築の専門家を中心に現在メンバーを選考している。委員会の構成は合計で7-8名を想定している。分野ごとの人数配分は未定である。
<今後のあり方>
有識者委員会からの助言を受けた「取り組み方針」を策定する予定だが、その時期は未定である。「取り組み方針」に基づいて住民の方と意見交換を行う。
<説明会の内容について>
有識者委員会設置に関わる説明会は2月12日、13日に勤労福祉会館で行う。同説明会には、土木部を中心に教育委員会や関係機関も参加する。
<教育委員会の考え>
前提として、道路は必要だと認識する。しかし、同時に子どもたちの教育環境にも十分に配慮する必要がある。だからこそ、道路と教育環境の確保を両立することを検討する有識者委員会からの助言に期待している。」
そもそも、大型道路が校庭を4分割する計画において、子どもたちの教育環境を守るということ自体が不可能だと思います。
大泉第二中学校は練馬区で最も歴史のある中学校の一つで、創立してから約60年が経っています。中学校の特色として大きなグラウンド、そこを活用した部活動があります。学校選択制度がとられる中、こうした特色を希望して大泉第二中を選ぶ児童もいます。各学校の特色、個性を伸ばすことの重要性を練馬区が訴え続けてきた中、校庭を4分割してしまう大型道路を建設するということは、これまでの主張そのものを否定するものです。だからこそ、道路建設は全面的な見直しを行うべきであり、そのために今後も住民の方とともに議会の中でしっかりと活動を続けていきたいと思います。
*写真は平成25年に練馬区が作成した素案の一部です。こちらは135号線のみを想定しています。今回の計画では、さらに補助232号線が東西に通ることになります。
文教児童青少年委員会① 学校用務業務の委託について
本日、文教児童青少年委員会が行われました。この委員会、扱う分野は子育てから教育まで多岐に及んでいて、毎回非常に多くの報告がなされています。今回も合計で12件の報告事項がありました。
主なものは以下の通りです。
1. 学校用務業務委託候補事業者の選定について(学校用務の委託)
2. 大泉第二中学校の教育環境保全と都市計画道路の整備に関する有識者委員会の設置について(大泉第二中の校庭を分断する道路計画)
3. 学校支援事業の充実について(生活保護世帯、準保護世帯の中学3年生に対する学習支援)
今回は第一の「学校用務業務委託候補事業者の選定」についてご報告します。
これは、小中学校に配置する用務員の業務をアウトソーシング、外部委託しようとするものです。練馬区には合計で99の学校がありますが、すでに50の学校で委託が行われており、4月から更に6校で開始しようとしています。
学校用務の委託、第一にはコストの削減を目的としています。
「平成27年度練馬区人事行政の運営等の状況」によると、年収ベースでは用務員が公務員の場合、給与は民間の2.26倍という結果になっています。
数字だけを見ると、委託にしてよかったという話になりますが、実態を見ると、用務員に求められる業務は変わっていない一方で、給与のみが下げられている、つまり働く方が犠牲になってコストの削減がなされている状況です。
もう一つ、大きな問題として、契約に関わるものがあります。民間との契約では、行政と民間企業が仕様書を作成し、請負委託契約を結ぶことになっています。その際、本来は労働者、つまり用務員の方は会社からしか指導、命令を受けてはいけないのですが、業務が学校の中で多岐にわたるなかで、実態としては、派遣された学校から指示を受けて働く、いわゆる偽装請負が全国の自治体で問題となっています。
こうした観点を踏まえ、以下のような質問を行いました。(すべて概要です。正確には今後公表される議事録をご確認ください)
「<質問 岩瀬>
業務委託によって仕事は同じであるにもかかわらず、働く方の労働条件が大きく悪化することが懸念される。そこで、まず確認したい。現在、業務委託をされた民間企業で働く方のうち、正規職員と非正規(パート)等の比率は?
<回答>
各学校で正規職員一名と非正規職員一名の二名体制で行っている。
<質問 岩瀬>
以前、学校公開で訪問した学校において、用務員の方が教員から日常的に指示を受けているのでは、という印象を受けた。そのようなことが発生しているのか?
<回答>
いわゆる「偽装請負」が起こらないよう、学校側には十分に指導している。基本的には学校から用務員に指示を行うことはない。ただし、電球を変えるなどの突発的な業務についてはこの限りではない。
<質問 岩瀬>
内閣府が作成した「地方公共団体の適正な請負(委託)事業推進のための手引き」(平成26年改訂)には、学校用務員の業務については、業務責任者を配置し、彼等が毎週学校を訪問し、学校と打ち合わせを実施する。そして打ち合わせを通じて、調整を行う」とされている。練馬区ではこのような取り組みを行っているのか?
<回答>
業務責任者を配置し、定期的に学校と打ち合わせを実施する中で調整を行っている。
<意見 岩瀬>
そもそも学校用務員に求める業務は非常に多岐にわたり、それは現場である学校との協議や指示を受けることを前提としている。コストを削減するために、外部に委託し、その結果として、名目上は学校からの指示を受けることもできない、というのは制度としても矛盾している。だからこそ、用務員制度の委託の是非そのものについて検討してほしい。」
私自身の考えは、コストの削減は大切ですが、それよりも大切なのは、行政が果たすべきサービスの質を維持することであり、同時に、そこで働く方々の労働条件をしっかりと守ることだと思います。だからこそ、今回の用務員の問題にしても、現場で働く方に犠牲を押し付けて、コスト削減を行うというあり方そのものを問い直すべきだと思います。