外国籍住民との共生について

先日の一般質問、二つ目のテーマは、地域に住む外国籍住民との共生でした。 東京オリンピックを控えて、観光客の受入れを訴える議員の方はいますが、既に地域で暮らしている外国籍住民との共生については、議会で議論される機会は中々ありませんでした。 日本に入国する外国人数は長期的な増加傾向にあります。区内の外国人も2001年から1.5倍に増加し、区民全体に占める割合も人口の約2%、国籍も100ヶ国を超えています。しかし、区内施設内で外国人に対する差別的な落書きがみつかったほか、ネット上でも区民による外国人を誹謗中傷する差別的な表現が見られます。行政サービスにおいても区内の外国籍の方の人権が十分に守られているとはいえません。 ... こういった状況を踏まえて、今回は地域に住む外国籍の方の人権保障の観点から、練馬区のヘイトスピーチに対する取組み、外国人との共生政策、そして、防災時の対応について質問しました。 以下、質問と答弁の要旨です。 1.ヘイトスピーチに対する練馬区の姿勢を明確にしめすべき。 昨年、練馬区でもあるまちづくりに関する連絡体の公募委員の一人がヘイトスピーチを理由に解任されたと聞いています。こうした事実も踏まえて、練馬区自身もヘイトスピーチを許さない毅然とした意志を明確にするとともに、独自にヘイトスピーチをなくすための方針、あるいは基準を早急に策定すべきと訴えました 答弁(要旨)  ヘイトスピーチに対する区独自の方針や基準は策定する考えはありませんが、区はあらゆる場において差別発言や差別を助長する行為を見逃さず、迅速に対していきます。 2.多文化共生実現のために、外国人市民会議の設置を行うべき。 区は2012年に「練馬区国際交流・多文化共生基本方針」を策定しました。同方針では、区民や区内の団体を構成員とする「連絡会」を設置し、国際交流および多文化共生事業推進をはかるとされていますが、「連絡会」は三年以上経った現在でも全く設けられていません。一刻も早く、外国人も含めた連絡会を設置し、まちづくり全般に関わることを求めました。 答弁(要旨) 今後「連絡会」の設置を含めて検討します。 3.防災計画に外国人をしっかりと含めるべき。 「練馬区地域防災計画」では被災外国人への対応として、東京都の防災語学ボランティアの派遣しか言及していません。練馬区にも、独自に外国語通訳ボランティア制度を実施していますが、防災計画には全く組み込まれていないのが実情です。「地域防災計画」でしっかりと外国人のことも組み込むとともに、情報拠点の整備などに外国人の意見をしっかりと踏まえるべきと訴えました。 答弁(要旨) 通訳ボランティアについては、災害ボランティアセンターに関するマニュアルの中で整理をし、円滑に活用するよう努めます。また、避難拠点について、外国人の視点を拠点運営に活かすため、他の自治体の取組も参考に、一層の充実に努めます。 今回の一般質問、区としてヘイトスピーチにしっかりと向き合う姿勢を明らかにしたこと、そして、これまで止まっていた多文化共生政策を進めることを述べたことに大きな意味がありました。区からの答弁をもとに、国籍に関係なく、外国籍住民との共生が地域内で進むよう、これからも全力を尽くします!

男の子育てを応援するために! 練馬区の課題

先日行われた一般質問。性的マイノリティと外国人の人権問題と共に取り上げたのが、男性の子育ての促進とジェンダー意識改善に向けた区の取組みだった。 男性の主体的な子育ては、男女共同参画社会およびワークライフバランスの実現に向けた重要な一歩。 私自身、1歳の息子を育てる中で、ジェンダー意識について考えさせられることが沢山あった。例えば、「仕事と子育ての両立をどうするの?」と聞かれるのは常に、私ではなく妻であること。風邪を引いた息子を、早退して病院に連れていくだけで、「イクメンね」と褒められる一方で、妻に対してはイクウーマンという褒め言葉は無いこと。政府が唱える「女性が職場で輝く」社会の実現には、「男性が家庭や地域で輝く」ことを、後押しせねばならない。 男性も女性もジェンダー意識から解放され、対等な関係に基づき、責任を共有した子育てができるべき。そのために、行政が、差別的な習慣や制度を見直し、平等意識の啓発をするとともに、家庭や地域生活に使える時間を増やす後押しをする必要がある。 こうした状況を踏まえ主として、以下のような提案を行った。 <問題点1 区の目標について> 練馬区での「家庭・地域での男女平等意識の推進」を図るための指標は「パパとママの準備教室の受講者数」となっている。これだけでその結果を把握することはできない。 <提案、質問> 練馬区でも現在の指標の見直しを行うとともに、国の計画での目標値「男性職員の育児休暇取得率」や「6歳以下の子どもを持つ男性の家事・育児の平均時間」を指標の一つとして採用すべき。 <答弁> 今後の計画は、現在策定中である。提案内容も含め検討する。 <問題点2  ジェンダー意識の解消について> 練馬区が実施している行政サービスにおける、ジェンダー意識に基づく名称、内容について、例えばジェンダーを想起させる代表的なものとして、『おかあさんのための救急&予防サイト』の紹介や『母と子の保健バッグ』等がある。母親学級も、小さく「家族も参加可」と記されているだけで、父親にとっては、参加しづらい。 象徴的なのが「母子健康手帳」である。母子手帳は、妊娠中に限らず、産後の子育ての記録であり、父親も記録と管理に積極的に関わるべきもの。現在の父子手帳の内容も問題がある。手帳では、男性が女性のニーズをきちんと理解した上で、(片手間ではなく)「主体的に」家事や育児を行う必要性等もきちんと説明すべき。 母子手帳については、既に全国の170を超える自治体で父子手帳と一体化するとともに、「親子健康手帳」と変更しており、東京23区でも墨田区が採用している。 <提案、質問> 練馬区が実施しているサービスについて、固定的性別役割分担意識に基づいたものはその名称や説明、内容を改めるべき。特に母子手帳は父親手帳と一体化するとともに親子手帳と変更し、内容も改善すべき。 <答弁> 母子手帳の名称は、国の方針に従って決定している。練馬区として変更する予定はない。 名称については今後、検討する。 <問題点3. 父親の育児参画を促すための施策> 父親向けの施策の代表的なものとして、「パパとママの準備教室」があるが、土曜のみの開催。内容も沐浴やおむつ替えという「作業」自体を中心に学び、妊婦体験をし、「子ども」といかに関るかという短い話を聞いて終わりである。 しかし、出産前に必ずすべきことは、妊産婦の負担を十分に理解した上で、どうしたら女性ばかりに負担がかからず、対等な関係に基づき子育てや家事ができるか、またはお互いの仕事と両立できるかを、夫婦でしっかりと話し合うことであり、これこそが両親教室で扱うべきテーマである。内容の再構成だけでなく連続講座の増設も必要である。 <提案、質問> 現在のパパ・ママ教室について、内容の改善、開催日の拡大、連続講座の開設を行うべきである。 <答弁> 教室の曜日は申請者のすべてが受講できており、開催日の拡大の予定はない。 内容、連続講座については今後検討する。 今回の一番の成果。それは、これまでほとんど優先的に扱われなかった男性の子育てについて、正面から議会の場で区に訴えたこと。また、ジェンダー役割分業の問題に対して、男性議員が指摘することも、これまで女性からの訴えが中心だった練馬区議会においては進展だったと何人かの方からコメントを頂いた。 しかし、区の回答は満足できるものではなかった。特に母子手帳の名称や内容の改善などについては、他区では既に取り組みが進んでいるにも関わらず、全く改善の意思を示さないことは、非常に残念だ。 そんな中、区の取組だけを待っていても仕方がない。だからこそ、11月26日(土)には「産後が始まった!」の著者で父親の子育てについて精力的に講義を行っている渡辺大地さんを練馬にお呼びして、自主講座を開催する。こうした一つ一つの積み重ねを通じて少しでも区政を変えられるよう、引き続き頑張りたい。

性的マイノリティの権利保障について

先日行った一般質問では、選挙前から訴え続けてきた性的マイノリティの方や外国籍の方の人権、男性の主体的な子育てと男女共同参画、そして地域の課題について訴えました。 今回は最初に取り上げた性的マイノリティの人権保障についてご報告します。. 練馬区で性的マイノリティについて、議会の場でしっかりと取り上げたのは今回が初めてでした。 性的マイノリティの権利保障は、他の自治体ではある程度進んでいて、既に6自治体では、区の計画や要綱の中で性的マイノリティの人権擁護の方針を示しています。さらに、渋谷、世田谷、文京の3区ではパートナーシップ条例などの中で具体的に対応を記しています。 一方で、練馬区では性的マイノリティの方に対する取組はほとんど何もなされていません。そもそも、区として性的マイノリティの人権擁護、差別撤廃に向き合う基本的な方針が全く示されていません。区の職員や教員に対する正しい知識を得るための研修や区民への啓蒙活動も不十分です。 そんな中、今回は初めて取り上げるテーマでもあるため、性的マイノリティの差別に対する区の基本的な認識を問うと共に、対応するための基本方針の策定、現在差別で苦しんでいる方への相談窓口の設置等を求めました。 以下、質問と答弁の要旨です。(全文は公開され次第アップします。*動画は公開済みです。) 1. 性的マイノリティへの差別、偏見に対する区の認識は? 主旨:これまで、性的マイノリティへの差別、偏見について、区は公式の場で言及したことがありません。だからこそ、まずは性的マイノリティへの認識をはじめに問いました。 答弁(要旨):周囲の誤解や偏見、無理解等により、心無い言動で傷つけられるなど様々な困難に遭遇しています。誤解や偏見を取り除き、性のあり方には様々な形があることなどを区民に周知するための啓発が重要です。 2. 性的マイノリティへの対応を区の計画にしっかりと含めるべき。 主旨:これまで、区の計画の中に、性的マイノリティへの取組は一言も示されておらず、区の計画には性的マイノリティは含まれていないことと同義でした。 そこで、計画の中に性的マイノリティを含めることを求めました。 答弁(要旨):懇談会に諮りながら検討していきます。 3. 相談窓口で性的マイノリティを対象とすることを明示するとともに、職員への研修をしっかりと行うべき。 主旨:性的マイノリティに自殺を考える方の比率が高い中で、区の相談窓口で性的マイノリティを対象としていることが明示されていないため、当事者の方はなかなか相談し辛い状況です。だからこそ、明示するとともに職員への研修を求めました。 答弁(要旨):区報やホームページ、啓発事業等を通じて幅広く区民からの相談を受けられる窓口であることを周知します。 4. 今後も区民向けの啓発活動を継続化、充実化させるべき 主旨:区民の方の意識を高めるために、意識啓発活動が必要です。去年、一度こうした講座が行われましたが、単発ではなく継続化、充実化させることが必要と訴えました。 答弁(要旨):今後も区民の理解を深めるために、人権尊重の視点に立ち、様々な媒体を活用した啓発に取り組みます。 今回の一般質問は、練馬区が性的マイノリティの人権問題を重く受け止めていることを示すとともに、性的マイノリティの人権保障を今後の計画に含めることを検討すると示した点で、意義があったと思います。 今まで、性的マイノリティは何の計画にも含まれておらず、区の行政ではほぼ存在しなかったのに等しい現状から見ると、大きな一歩だと思います。また、相談窓口や研修についても前向きな回答でした。 今回、質問を作るにあたっては、性的マイノリティの人権保障を訴えてきた特定非営利活動法人のRe:Bitさんを含め、様々な方からお話を伺うことができました。当事者の方から、それぞれが抱える苦しみ、悩みを共有いただけたこと、本当に感謝しています。今回を第一歩に、これからもしっかりと取り組んでいきたいと思います。

一般質問の様子(動画公開)

一般質問の様子が区のウェブサイトで公開されました! この準備のために一カ月以上、今年はお盆も誕生日もなし。その成果はどうだったんだ?!ドキドキしてクリックすると、これがすごく恥ずかしい。そもそも「こんな声だったっけ?」というところから、「もっと違う表現にすればよかった!」とか反省するところばかり。ただ、少なくともポイントはしっかりと抑えていたのが救いでした。今回の経験を糧に来年はさらに良いものを作りたいと思います!! 私の発言はリンク先の 9月9日 本会議1のちょうど中間からです! 少し長いですが、ぜひご覧ください! 練馬区議会ホームページ

2019-03-05T20:50:13+09:002015年9月12日|Tags: , |
Go to Top