子どもの権利条例

子どもの学力が3年で大幅に低下!ゲームやスマホの影響も。全国学力調査

子どもの学力の変化を調査する国の「経年変化分析調査」の結果が7月31日に公開されました。調査の結果、2021年度に比べて全ての教科で成績が下がっていることが明らかに。背景にはゲームやスマホの利用時間の増加と勉強時間の減少などが挙げられています。 ■ 文科省の調査で全教科の成績が低下 2025年7月31日、文部科学省は「令和6年度 経年変化分析調査・保護者に対する調査」の結果を公表しました。これは、全国の小学6年生と中学3年生、そしてその保護者を対象に、子どもたちの学力とその背景にある生活習慣などの変化を継続的に分析するものです。(調査の結果は下記リンクをご覧ください) 令和6年度全国学力・学習状況調査 経年変化分析調査 今回の結果からは、2021年度と比べ、すべての教科で平均スコアが下がっていることが明らかとなりました。とくに小学校6年生の「算数」、中学校3年生の「英語」での大幅な低下が目立っています。 (出典:令和6年度全国学力・学習状況調査 経年変化分析調査・保護者に対する調査の結果(概要)) ■ ゲーム・スマホの使用時間の増加と学習時間の減少 学力低下の一因として、生活習慣の変化が浮き彫りになっています。 小6の平日のスマホ・ゲーム利用時間は合計2時間48分と、3年前より約40分増加。学習時間は6分減少しています。 中3では、スマホ・ゲーム利用が平日合計3時間44分にのぼり、こちらも40分以上の増加。学習時間は約10分減少しました。 つまり、学ぶ時間が削られ、画面に向き合う時間が増えているのが実態です。 また、家庭の*社会経済的背景(SES)が低い子どもほど、勉強時間が短く、ゲーム・スマホの使用時間が長い傾向があることも指摘されています。こうした家庭環境の違いが、学力格差を広げている可能性も見逃せません。 *社会経済的背景(SES)とは:個人や家族の経済力、教育レベル、職業などを組み合わせて評価する指標。全国学力・学習状況調査では、児童生徒質問調査での「家にある本の冊数」をSESの代替指標として利用しています。 (出典:令和6年度全国学力・学習状況調査 経年変化分析調査・保護者に対する調査の結果(概要)) ■ コロナ禍による学びの影響も とくに中学校英語の成績低下については、新型コロナウイルスの影響が挙げられています。今の中3生が小学校で英語の学習を始めた頃、学校ではコミュニケーションを重視する授業が行われていましたが、「話す活動」が十分にできなかったことが影響した可能性があると分析されています。   ■ 子どもの学びを支える「家庭の関わり」が弱い日本 さらに国際的な調査(PISA2022)では、「家族による支援的な関わり」の指標で、日本はOECD加盟国の中で最低評価という厳しい結果が示されました。子どもにとって安心して学べる環境を整えるうえで、家庭の果たす役割の大きさが改めて浮き彫りになっています。 (出典:令和6年度全国学力・学習状況調査 経年変化分析調査・保護者に対する調査の結果(概要)) 子どもの学ぶ権利を守るために 今回の調査結果は、単なる学力の数字の問題ではありません。すべての子どもが、平等に学び、成長する権利を保障するために、行政がどのような環境を整えるかが問われています。 経済的背景にかかわらず、すべての子どもが十分な学習機会を得られる支援 保護者への情報提供や子育て支援の充実 学校だけでなく地域全体で子どもを支える仕組みの構築 練馬区としても、子どもたちの「学ぶ権利」が守られるよう、教育委員会での議論を進め、必要な対策を講じる必要があります。みなさまからのご意見・ご提案もぜひお寄せください。 これまでの訴えはこちらをご覧ください。

練馬区だけ禁止? 公園花火、解禁に向けて―子どもの声に耳を傾けて

練馬区では、約700カ所にのぼる区立公園すべてで花火が禁止されています。他方、23区のうち少なくとも17区では条件付きで花火が許可され、5つの区はこの数年で新たに解禁しました。子どもたちにとって大切な体験である「夏の花火」を、一律に禁止するのではなく、子どもの意見を聞きながら、ルールある解禁に向けて区の姿勢を見直すべきではないでしょうか。 […]

練馬区は「子どもの権利条例」の策定を拒否!子どもに優しい社会とは? 

4月23日の文教児童青少年委員会、「子どもの権利条例」の策定を求める陳情(第93号)の質疑が行われましたが、練馬区は区としての策定を否定しました。子どもの権利条例は「子どもの権利を総合的に守るための条例」とも言われており、23区でも世田谷区や杉並区、葛飾区など約半数の自治体で作られています。なぜ練馬区は拒否するのでしょうか? […]

先生の言うことは全てしっかり聴きなさい?子どもの権利とは

練馬区内の小学校。全ての保護者に配る学校だよりで「先生の言うことはすべてしっかり聴きなさい」と保護者に後押しするように依頼していました。 […]

中学校で「SNSのパスワード」を提出。不適切な事案に見る「子どもへの信頼」と子どもの権利条約について

所属する情報公開および個人情報保護審議会、昨年12月に発生した中学校での個人情報の不適切な取り扱いについて報告がありました。区内の中学校で生徒へSNSのパスワードの提出を求めていたというもの。全国のニュースでも報道されるなど大きな問題になりました。練馬区はこのことを謝罪しています。https://mainichi.jp/articles/20211203/k00/00m/040/497000c […]

練馬区議会での訴え【練馬区の半数以上の学校で下着の色まで決められてる?ブラック校則でどこまで子どもの自由を縛るの?】

来年度のお金の使い方や区の方針を決める予算委員会、教育費では学校での行き過ぎた生活上の規則、「ブラック校則」の廃止を訴えました。区内すべての公立中学校の生徒手帳などを調べたところ、生徒の下着の色を指定している学校が半数以上、寒い時のひざかけやマフラーも禁止 するもの、中には「生徒は正門を使っちゃダメ!」というとんでもないものも。いつまでこんな規則で子どもの自由や個性を縛るのでしょうか?区とのやり取りをご紹介します。(詳細は議事録をご覧ください) ★下着の色まで規則で決めて、子どもを一体どうしたいの? 区内の全ての公立中学校(33校)の規則を調べたところ、あまりにおかしいルールがいくつもありました。身だしなみに関するものでは、下着の色まで指定している学校が半数以上の22校、中にはなぜか男子だけ色が指定されている学校も。髪型では縮毛の矯正を不可としたり、男子の長髪を不可としている学校など、人権侵害にあたるのでは、という学校も。寒さ対策のひざ掛けやレッグウォーマーをダメとしている学校も存在します。「生徒は学校の正門を使ってはいけない」といったそもそも学校が誰のためにあるのか疑問に感じてしまうも。なぜここまで子どもたちを管理しなくてはいけないのでしょうか? 1.教育委員会として校則の見直しを学校に伝えるべき! 教育委員会として行き過ぎた校則について、各学校に対して見直しを行うよう改めて伝えるべきです。 【区の回答】 教育委員会としてすべての中学校の規則を集め、内容を把握しています。校則は生徒の実態や学校の伝統、歴史、校風を反映するものですが、校則が報道等で話題になったこの時期をとらえて、各学校に対して改めて見直しを行うよう伝えました。今後も問題があれば個別に学校から説明を求めながら必要な助言を行います。 【岩瀬の感想】 2年前にも校則の見直しを訴えたのですが、その時は、校則はそれぞれの学校に任せていて、教育委員会では内容を把握する予定はないとのことでした。その時に比べると規則を集め、見直しを伝えたということは前進だと思います。しかしまだまだ課題がある中で、教育委員会として学校ごとに丁寧な対応をすることが必要だと思います。 2.校則は学校と生徒、保護者だけの問題じゃない、しっかりと社会に公開を! 現在、全国の学校で校則の見直しが進められている中で、世田谷区などいくつかの自治体ではすべての学校の校則をネット等で公開することを決めました。練馬区も地域に開かれた学校運営を謳っているわけですから、校則についても生徒と保護者だけではなく、地域に広く開かれるべきです。すでにいくつかの学校では自主的に公開していますが、区内のすべての学校で校則を公開すべきです! 【区の回答】 校則の公開は各学校の実態、必要に合わせて行っていて、その実態にあわせた形でわれわれも呼びかけていきたいと思います。何よりもその学校の生徒、保護者、地域の方々へ知ってもらって、学校を中心に生徒総がかりでルールを守り、健全な学校生活を送れるようにしていきたいです。 【岩瀬の感想】 学校の実態にあわせて、というのはよくわかりませんが、区としても校則の公開を呼び掛けていくということは大切だと思います。ただ、その目的は地域総がかりで子どもにルールを守らせることではなく、地域総がかりで子どもの権利を守っていくことです。 3.校則の見直しには、子どもと保護者も参加できるようにすべきです! いくつかの学校ではこの数年で校則が変わりましたが、生徒に確認したところ、いつの間にか変わっていたということでした。校則は子どもたちの活動を制約するものですから、改定には生徒、保護者が関われるような仕組みを作るよう教育委員会として各校に通達すべきです! 【区の回答】 校則は年に1回見直しをすることになっています。見直しには保護者、地域からの学校評価等のアンケートも参考としています。生徒総会などで生徒会活動の一環として生徒から出た意見を反映する学校もあります。教育委員会として学校の意思も尊重しつつ、生徒の実態、学校の伝統、歴史、校風などに合わせて指導していきたいと思います。 【岩瀬の感想】 生徒が参加している学校もあるということでしたが、すべての学校で生徒や保護者が参加する仕組みを作るべきという訴えへのはっきりした回答はありませんでした。 ★最後の訴え ブラック校則がなくならない背景には、子どもを一人の個人として尊重するのではなく、管理する対象として捉えていることがあります。ブラック校則を無くすだけでなく、子どもを権利の主体として捉えるためにも、子どもの権利条例 を練馬区も作るべきです! ★岩瀬の感想 二年前と比べて、練馬区も各学校の校則を調べたり、校長会で見直しを伝えたりなど、改善はされていますが、まだまだ学校では理不尽なルールが数多く残っています。ある学校では「きまりを特に守りましょう。ダメなものはダメ。」と書かれていて、生徒が自分で考えることを拒否しているように見えるものもありました。「たかが校則だろ?」と言われたこともありますが、この問題は子どもの権利を考えたときに大きな意味を持っています。 1月にオランダで教育学の助教授とお話したのですが、オランダでは目的と理由が明確でなければ生徒は従う必要はない、なぜ下着の色や髪の毛の色が決められなければいけないのか、と生徒に問われるのが必至であって、成立し得ないとのことでした。日本では「一人の人間として尊重されていないのではないか、子どもは学校や親の所有物ではない」という言葉が印象的でした。 これからも子どもたちが自分達の個性を活かしながら伸び伸びと育つことができるような環境を作るために訴えます!

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