岩瀬たけし

<視察報告② ふつうに暮らせる幸せをどう守るか 愛知県豊明市の取組>

視察の二日目は愛知県豊明市での高齢者支援への取組を視察しました。豊明市は名古屋市と豊田市の中間に位置し、人口は7万人、高齢化率が25%を超えています。同市は市内に存在する日本最大のベッド数を持つ藤田保健衛生大学(1,435床)や民間企業と協力した産官学民の地域包括ケアに取り組んでいます。 豊明市では高齢者支援を考える中で大切なことは「おだやかな暮らし」「ささいな幸せ」「本当の豊かさ」を守ることとしています。年を取るに従って、病院や介護などの「非日常の暮らし」の時間が増えていく、その中でどうやって「日常」を守っていくか、「ふつうにくらせるしあわせ」を支える地域の力づくりに重点を置くのが豊明市の姿勢とのことでした。 そうした中で、これまでのデイサービスやヘルパーに頼ることから、様々な地域資源の活用による参加、外出の場の重層的な提供を目指すことにしました。その一つとして民間企業との協力があります。豊明市ではこれまでに公的保険外サービス創出、促進のために13企業と協定を結んでいます。一例として複合温泉施設と協定を結び、市内での無料送迎バスを走らせるといったサービスを始めています。そのほか、スポーツクラブやカラオケ、スーパー、学習塾など、様々な形態と業種の企業と提携を行っています。市が常に考えていることは、人々がどんな暮らしを望んでいるかであり、高齢者の支援として、デイサービスや地域の地縁組織にかかわることだけを求める必要はないとのことでした。できるだけ本人の「普通に暮らせる幸せ」を支える、そのために役立つものを見つける、探す、なければ創り出す、という豊明市の仕組は非常に勉強になりました。

<視察報告① 認知症不安ゼロを目指すまち 愛知県大府市の視察>

明日まで医療・高齢者等特別委員会の行政視察で愛知県を訪問します。 初日は大府市にて、認知症の予防と対策について視察しました。大府市は愛知県西部、知多半島の北端に位置していて人口は約90,000人の地方都市です。 この市が大きく取り上げられたのは、2007年に認知症だった91歳の男性が鉄道事故で亡くなり、その家族がJR東海に損害賠償を求められた時のことでした。最高裁判決でJRの請求は棄却されましたが、この事故を経緯に徘徊や認知症への家族の責任が大きく議論されました。大府市は、認知症の人が支払う保険料を公費負担する制度を導入しています。また、「徘徊」という言葉自体を行政文書では使わないことにしています。 大府市の取組として、「認知症不安ゼロのまち」を掲げ、市内にある国立長寿医療研究センターと連携して認知症予防に力を入れています。その一つが、「脳とからだの健康チェック」として、市内の65歳以上の方を対象に認知機能検査、体力測定、口腔機能検査、血液検査を行いました。そのうえで、コグニサイズと呼ばれる脳と身体機能を同時に活性させる運動を開発し市内で展開をしています。また、ハイリスク者への訪問、食べる機能検診、地域健康長寿塾、栄養パトロールなど様々な事業を展開しています。 大府市の取組は先進的で参考になるものでした。練馬区においても65歳以上の方が50,000人を超える中で、認知症への不安をなくす取組については、コグニサイズや脳とからだの健康チェックなど導入を検討すべきだと思いました。

<市民の声ねりま 秋のツアー② 日本国憲法の源泉「五日市憲法草案」を知っていますか?>

市民の声ねりまの秋のツアー、砂川闘争や横田基地について学んだあと、あきるの市に移動して五日市憲法草案について研究者の鈴木さんから話を伺いました。この草案は明治時代の初期に当時29歳だった千葉卓三郎を中心に起草されたもので、1968年に五日市町の土蔵から発見されました。この憲法草案の特徴は、その大半が国民の基本的人権について触れていることです。たとえば、45条では「日本国民ハ各自ノ権利自由ヲ達ス可シ他ヨリ妨害ス可ラス且国法之ヲ保護ス可シ」としています。 先日講演をいただいた憲法学者の樋口陽一さんは五日市憲法草案について「日本国憲法に繋がる地下水脈の源泉」と評価をしています。当時、多くの地域で自発的に憲法の草案が作られ、その中にはこうした国が侵してはならない人権を規定するものもあったということ、とても印象的でした。 憲法は国民一人ひとりの権利を守り、国家権力の暴走を防ぐためにあります。しかし、自民党はこうした考え方を西洋からの押し付けとして新たな憲法を作ろうとしています。改憲における議論においても、自民党は、立憲主義の基本となる天賦人権論を見直すと明記をしており(https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/kenpou_qa.pdf)、改憲草案について樋口陽一さんは、明治憲法よりもひどく、慶安のお触書と同じレベルと述べています。 アメリカからの押し付け憲法だから、変えなければならないという主張もありますが、決してそうではない、帰ってからお土産をパクつく息子を見ながら改めて憲法の大切さを思いました…

<高松市 障がい者アートリンク事業について>

視察二日目は高松市が実施している「障がい者アートリンク事業」を学ぶため、障害者支援施設の「銀星の家」を訪問しました。この事業は、障がい者とアーティストが継続的にかかわることで障がい者の感性、創造性を育み、社会促進を図ることを目的としています。事業ではアーティストが週に一度施設を訪問し、絵画や音楽、ダンスなどをともに行い、定期的な発表なども実施しています。現在は12カ所の事業所で実施されていて、参加するアーティストも絵画、ダンス、陶芸など多岐にわたっています。事業の効果として参加者の人間関係が穏やかになった、仕事に前向きにになった、といったことのほか、展示会などを通じて障がいに対する地域の理解が進んだとのことです。 […]

<視察の報告 香川県での農業と福祉の連携について>

10月25日から26日まで、所属する健康福祉委員会(常任委員会)の視察で香川県を訪問しています。初日は香川県で成功をおさめ、全国のモデルにもなっている農業と福祉の連携(農福連携)について、県庁の農政水産部農業生産流通課の方から説明を受けました。 香川県ではにんにくや小麦をはじめとした多くの農産物を栽培しています。しかし、農業者の高齢化が問題となっています。他方、障がい福祉の分野においては、一部福祉施設では農業に取り組んでいましたが、専門的なノウハウを有しておらず、規模が小さい、工賃も少ないといった課題も抱えていました。 […]

2018-10-26T08:22:25+09:002018年10月26日|Tags: , , , , |

事務所びらき、おこないました☺

本日、「事務所びらき」を行いました。 新しい事務所(大泉学園町2-10-1)には7月から移転したのですが、今日が正式なお披露目。皆さんをお迎えするために、スタッフやサポーターの方々が一週間以上前から色々と準備をしてくださいました。 猛暑が続く中、しかも一番暑い1時から、ということでどれだけの方が来られるかわからなかったのですが、始まる前から次々と見えて、最終的には人の多さにエアコンが効かなく感じられるほど(!)多くの方にお越し頂きました。 池尻さんを何十年も前から支えて頂いた方々、運営委員の方、ママ友や仲間たち、地域の活動や駅頭で知り合った方など、様々なご縁で繋がった方々から励ましを頂けたことを有難いと感じるとともに、これだけの方々に期待して頂いている中で、何としても議会で頑張らなければ、と改めて実感しました。 新事務所は8月からは週4回(月、火、木、土)、10時から17時までオープンします。地域に根付き、地域から社会を変えていく、そんな拠点になりたいと思っていますので、ぜひ今後もお気軽にお越しください。

ベリーズを知っていますか? 10年振りの再開

皆さんはベリーズという国を知っていますか? メキシコのお隣、カリブ海に面した人口35万人くらいの小さな国です。 20代のころ、この国で青年海外協力隊として1年半にわたって生活していました。 私の活動地域は首都からバスで8時間以上離れたマヤ民族の集落、そこでマイノリティである先住民の、その中でもさらに立場が弱い女性の権利向上を目的に活動をしていました。 主な活動は女性を組織化して、彼女たちの得意とする手工芸品を作り、都市部向けにデザインを改良して販売、その収益を通じてマイクロファイナンスを行う、というものでした。 当時の集落の生活は慣れ親しんだ日本での生活とは全く異なるものでした。村に行くバスは週に1度しかなく、電気やガス、水道もほとんどありません。ですので、朝は川で一緒に体を洗い、日中はロバや馬と共に畑を耕しに行き、夜は星やホタルの光で過す、そんな生活でした。そこで得られた経験は苦労も含めて何にも代えがたいもので、「政治はマイノリティにこそ寄り添うべき」という信念もベリーズでの経験から生まれたものです。 そのベリーズに私がとても尊敬する友人のソリス麻子さんがいます。彼女は協力隊を終えた後、社会起業家として現地で観光会社を作り、10年以上にわたってベリーズの魅力を世界中に発信するとともに、現地の子どもや先住民の支援を行っています。 彼女が一時帰国をするということで、10年振りに協力隊の元隊員が集まりました。文字通り同じ釜の飯を食べた仲間たち、今は学校の先生や警察官、大学職員、研究者など、様々な分野で活動しています。でも、何年経っても当時の記憶や感覚は変わらず、すぐに打ち解けて10年前のような気持ちに。久しぶりに自分の原点の一つに戻れた気がします。 ベリーズは「アメリカ大陸でも最も美しい国」とも呼ばれています。もしご関心があれば、ぜひ麻子さんの観光会社へご連絡くださいね!http://jp.bzeconcierge.com/

南大泉 自転車で散策ツアー、行いました☺

「市民の声ねりま」の中での地域分担として、今年度から私が南大泉の1丁目から6丁目についても担当することになりました。この地域、保谷駅の南口から大泉学園まで、白子川を中心に多くの農地が残っています。今日は、この地域に精通している菅沢さんにお願いしてスタッフの方々と自転車で地域を回るツアーを行いました。 最初に、晴れた日には富士山まで見えるという保谷駅南口の自転車置き場の屋上から、田無市や武蔵野市までを臨む地域全体を確認し、自転車で多くの農園などを巡りました。このツアー、ただ通るだけではなく、「この地域はちょうど窪地になっていたから、昔は水が溜まって大変だった」とか、「この一帯は数年前までキャベツ畑だったのだけど、それがブルーベリー畑に変わった」とか、その都度菅沢さんから地域の歴史や特徴をお話しいただき非常に勉強になりました。 最後は白子川の源流で、植生や生き物を探るために一緒に川に入りました。水がわき出しているお陰でいつも水温は15度程度、とても気持ちよくて、網を使うと絶滅危惧種のホトケドジョウも見つかります。少し歩いただけでカワセミがいたり、東京23区でこれほど身近に自然と触れ合えるというのは本当に貴重です。しかし、こうした地域でも現在、大型道路の建設が計画されていて、その影響は計り知れません。強い日差しにクラクラしながらも、練馬区の貴重な財産であるこうした自然を守らなくては、と改めて思いました。

2018-08-21T09:41:25+09:002018年7月4日|Tags: , , , , |

一般質問のご報告③ 練馬区の学校の性教育を充実させるべき!

先日行った一般質問、テーマの一つに学校における性教育のあり方を取り上げました。 私は議員になるまで、多くの国や地域で子どもや女性、先住民の方など、マイノリティの方の生活改善や権利向上のために活動してきました。その中で数多く直面したのが若者、特に10代の望まない妊娠や中絶でした。そして、その背景の一つに若者の性に関わる科学的で実践的な知識が不足していることを実感しました。 日本においても子どもたちがインターネットなどを通じて、性的な情報に触れる機会が増えています。価値観の多様化などによって、性体験の低年齢化も進むなか、子ども達の性感染症や望まない妊娠のリスクも高まっています。そうした中、練馬区においても性教育のあり方を改善すべきだと訴えました。以下、私たちの訴えと区の回答の概要をご報告します。(詳細は議事録をご確認ください。) <主張1.性教育では性感染症や望まない妊娠から身を守るための科学的、実践的な知識も教えるべき> 学校で行われる性教育について、中学校の保健体育の学習指導要領では、エイズやコンドームについて教えることになっています。その一方で「妊娠の経緯については扱わない」とあります。そのため、実際の授業の内容は「性的接触で感染する性感染症にHIVというのがあって、それを防ぐにはコンドームが有効です」といった私たちが聞いてもわからないようなものになっています。先日、足立区のある中学校で、3年生に対して避妊の方法、中高生の人工妊娠中絶の実態について授業で教えました。それに対して、都の教育委員会は中学校で教える範囲を超えていること、また、保護者の意向を把握しないまま授業を実施したことについて、「課題がある」としました。 性教育では、子ども自身が命や体の大切さを認識することとともに、特に心身の発達が著しい中学生においてはただ性に関わる事を否定するのではなく、性感染症や望まない妊娠からどのように身を守るかという科学的で実践的な知識を学ぶことも大切です。 練馬区の教育委員会として、特に中学生に対して、望まない妊娠や性感染症を防ぐためにどのような教育を行うべきと考えるか、見解をお聞かせください。 <区の回答:学習指導要領に基づき適切に実施している> 性に関する教育は、学習指導要領に基づく正しい知識を学ぶことが重要であり、そのうえで、発達段階や一人ひとりの状況にあわせて、個別の指導を行うべきと考えます。 <主張2 教員への研修および保護者向けの講座の実施を!> 学校で性教育を行う教員も生徒たちにどのように教えていいのかを悩み、試行錯誤しています。こうした状況を改善するために教員を対象に性教育の指導のあり方について、研修の機会を保障することが大切です。 同時に、性に関する知識には個人差が大きいことから性教育は学校だけでなく、家庭においても必要です。しかし、多くの保護者は、自身も性教育を受けてこなかったために、子ども達に対してどのように教えたらいいのかわからないといった不安や戸惑いも抱えています。 そのため、保護者が子どもに対して性についてどのように教えるべきか、そのための講座などを区として行うべきです。 <区の回答:既に適切に実施している> 性に関する教育は区立学校において適切に行われていると認識しており、現時点では教育研修や保護者向けの講座を改めて実施する予定はありません。 <感想> 区の回答は性教育について「既に適切に実施している」とのことでしたが、その内容は学習指導要領で示されているもので、どうやったら妊娠するか、といったことすら含まれていません。お互いの心や体を思いやり、子ども達自身の健全な成長を育むためにも、性に関する教育を充実させるべきです。これからも議会で訴え続けたいと思います。

一般質問のご報告② 地域施設で政治に関わる活動を制限しようとする動きは撤回を!

先日行った一般質問、テーマの一つが地区区民館などの地域公共施設での政治に関わる活動を制限する動きについてでした。このテーマは以前から池尻さんが何度も議会で訴えてきたもので、改めて一般質問として取り上げました。内容は、区が誤りを認め撤回したという意味で大きいものでした。以下、少し長くなってしまいますが、概要をご報告します。 ・はじめに 先日、西大泉地区区民館の館長名で利用者に出された文書を入手しました。 文書では「部屋の貸し出しにあたり、政治・宗教活動でないことや営利活動ではないことなどを確認しています。」とありました。 そもそも条例では政治や宗教に関わる活動を制限する規定は存在しません。にもかかわらず、個々の地域集会施設が、独自の判断で政治に関わる活動を禁止しようとすることは看過できません。われわれ議員にとっても、地域集会施設での政治活動を禁止されてしまえば、地域の声に耳を傾ける機会が大きく制限されてしまいます。また、文書では他にも参加者の名簿を前日までに持参し、施設の確認を受けるよう求めていますが、名簿の提出を求めることも明らかに行き過ぎです。 <主張1.区はこの文書について誤りを認め文書を撤回すべき> 政治活動の自由は区民の根源的な権利のひとつです。直ちにこの文書を撤回するよう求めます。名簿の提出についても早急な見直しを求めますが、区の見解を伺います。 <区の回答:過ちを認め撤回> 文書に記載されていた地区区民館の政治・宗教活動を理由とした利用制限、および利用にあたって利用者個人の特定を条件とする条例の規定はありません。文書内容の間違いを正し、速やかに修正しました。 <主張2.団体登録について> 地域集会施設に登録できる団体の資格については、区の要綱(基本的な事務の取り扱いについて定めたもの)で「特定の政治上の主義および宗教の教義を推進し、指示し、またはこれに反対することを主な目的としないこと」となっています。しかしこの内容は区民の地域における政治活動などを不当に制限するものです。そもそもこの規定は要綱にあるのみで条例に基づいていないことも踏まえれば、早急に見直すべきと考えますが、見解をお聞かせください。 <区の回答 特定の政治や宗教を支持、反対する場合は登録できないが、勉強会などは問題ない>  「特定の政治上の主義および宗教の教義を推進し、支持し、またはこれに反対することを主な目的」とする団体は登録できません。ただし、政治や宗教の勉強会、研究会などの活動をする団体は、現に登録団体に承認し、ご利用いただいています。不当に活動を制限するとのご指摘は当たりません。 <感想> 今回、地域集会施設を利用するにあたり、政治に関わる活動に対して制限はない、という明確な確認が取れたことは画期的なものでした。地域での自由な政治活動が封じられることのないよう、これからも会派としてしっかりと訴えていきたいと思います。

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