いくつもの学校の図書館から4月になって突然、「管理員」がいなくなってしまいました。

区立の小中学校、すべての学校に図書室(学校図書館)があります。学校図書館は子ども達の豊かな学びを実現するために不可欠であり、その図書館を専門的に管理する方(学校図書館支援員、図書館管理員)の役割はとても重要です。図書館を教育に活用できるかは支援員や管理員の方にかかっていると思います。 練馬区では今年の3月の段階で、すべての小中学校に図書館支援員か管理員が配置されていました。今年度は46校で図書館管理員が、その他の学校では図書館支援員が配置されることになっていました。しかし、4月から図書館管理員の業務を委託した業者が、人の手配をできずに4月26日現在の段階で27校で図書館を管理する方がいない状況が続いています。詳しい経緯は池尻さんがブログに纏めていますのでご覧ください。https://ikejiriseiji.jp/news-10/ 本日の文教児童青少年委員会では、現在の状況について問うとともに、図書館管理員がいない状況を一日も早く解決するため、練馬区として期限を切ったうえで責任ある対応をとるよう求めました。委員会での質疑の概要を紹介しますのでご覧ください。一刻も早く解決するためにも練馬区が直接、図書館管理員を採用すべきだと思います。次回の委員会は5月22日です。ぜひ傍聴にお越しください。 <ここから> 岩瀬:学校支援モデル事業の見直しの中で、学校図書館支援員が廃止されています。4月からは業務委託による学校図書館管理員が配置されているかと思います。学校図書館管理員がうまくいっているのか、現在の状況をお答えください。 教育指導課長:今年度から教育指導課で学校図書館管理員が46校に配置の予定でありました。現段階では業者は決まっておるのですが、19校の配置に留まっています。 岩瀬:27校の図書館で誰もいない状況、非常に大きな問題ですよね。3月末の段階で全ての学校で学校図書館支援員が配置されていました。しかし4月になってこのような状況になってしまった。この状況について部長の認識はいかがでしょうか? 教育指導課長:昨年度、全校配置が叶いまして、年間で100日、一日6時間が議会の同意を頂いて実現したところです。しかし、現段階で全校配置が叶わない状況です。教育委員会としてはこの問題を大きなものとして捉えておりまして、落札した業者とやり取りを進めています。明日(27日)になりますが、改めて文書にて改善指示を行う予定になっています。一刻も早い、一日も早い全校配置を目指して取り組んでまいります。 岩瀬:一刻も早い全校配置を目指すというが、既に4月26日、非常に時間が経ってしまっている。遅くとも来月中には配置を行うべきと考えますがいかがでしょう? 教育指導課長:できるだけ早く、5月中にはというのは我々も考えているのですが、引き続き業者と折衝を進めてまいります。 岩瀬:これまでも業者と折衝を続けてきた中で、なかなか人が配置できない中で、例えばもし現在の業者が対応できないのであれば教育委員会として自ら採用し配置する責任も含めて考えるべきでは? 教育指導課長:現段階では改善指示を文書にて示して、その期限の状況を見て判断するというところまで考えています。その後についてはまたその都度判断します。 岩瀬:期限の状況をみて、とのことですが、期限はいつなのでしょうか? 教育指導課長:現段階では5月中旬を一定の区切りと考えています。 岩瀬:5月中旬を一定のめどとして考え、それができない場合は次の手を考えるということですが、今考えている他の方法とは何でしょうか? 教育指導課長:契約担当の所管とも色々やり取りをしているところです。現段階では、まずは落札をした業者に改善指示を示して期限までにどれだけの状況になるか、というところを見てから判断したいと思います。 岩瀬:業者が第一義的な責任を負うのは勿論ですが、まずは教育の質を担保するのが重要であり、一番影響を受けているのは子どもであり、先生です。ですので、教育委員会としても自ら採用することも含めて一刻も早い全校配置を実現していただきたい。 教育振興部長:大変遺憾な状況であると認識しています。落札した事業者に責任を持って対応するよう、まずは改善指導をしていきたいと思っています。直接雇用ということですが、例えば非常勤という形であれば条例改正が必要であり、あわせて予算的な措置も必要となりますので、当然ながら議会の方にご提案申し上げて、ご賛同いただかないと勝手にできるものではありません。その点についてはご理解をいただきたいと思います。そういう手続きを取れば時間もかかりますので、今年度についてはまず落札業者の方に責任を持ってやっていただく、それができない場合には次の手を考える、ということで対応してきいきたいと考えています。

2018-08-21T09:41:26+09:002018年4月26日|Tags: , , , |

「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」勉強会に参加して…国籍・民族・LGBT差別の禁止とともに苦情処理委員会を設置した日本初の条例

先日、多文化共生・自治体政策研究会の学習会に参加しました。こちらの研究会、多文化共生の研究者や自治体の議員から構成されていて情報交換のほか、視察や講演、勉強会などを行っています。一昨年は埼玉県蕨市のクルド人が多く住む通称「ワラビスタン」と中国の方が多く住む「川口芝園団地」を視察し、昨年は渋谷にあるモスク「東京ジャーミイ」を訪問しました。今年は、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を勉強するため、世田谷区役所を訪問し、担当課長と上川あや区議からお話を伺いました。 この条例、基本理念は全ての人が「多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きる」ことができるよう定めるもので、一番の特徴は、国籍や民族、LGBTに対する差別を禁止する内容を含むことにあります。 また、この条例ではLGBTや人種差別に特化して区民からの相談を受け付ける区長の諮問機関「苦情処理委員会」を設けています。苦情処理委員会は区長の諮問機関で、有識者ら3人で構成。関係者から意見聴取などをして区長に意見を言い、区長は「必要に応じて適切な措置を講ずる」と定めています。差別の取り組みだけでなく、苦情処理にも踏み込むのは全国でも初といわれています。 条例について、性的少数者の権利擁護に取り組む中川重徳弁護士は「実質的な差別禁止規定であり、罰則がなくても社会の基本ルールを明示することに意味がある。性的指向や性自認による偏見や固定観念が根強く残る状況で、啓発の意味は非常に大きい」としています。(ハフィントンポストの記事より)https://www.huffingtonpost.jp/taichiro-yoshino/setagaya-jourei_a_23374146/ 勉強会では、条例制定の経緯とともに今後の課題を確認しました。 世田谷区は平成25年に策定された区の最上位計画(実施計画)で、「外国人、性的マイノリティを理由に差別されることなく、多様性を認め合い、人権への理解を深めるため、人権意識の啓発や理解の促進をします」と定め、同性パートナーシップを認める要綱を含め様々な施策を実施してきました。しかし、固定的な性別役割分担意識の解消が進まない、また、外国人の地域社会の構成員としての社会参画に課題があるといったことから、理念を共有するために条例策定に至ったとのことでした。 この条例の課題は、罰則規定がないこと、苦情処理委員会の審査の対象となるのは、区の施策に関わることのみで、民間同士のトラブル(例えば国籍によるアパートの入居拒否)は受け付けない、といったことがあります。しかし、今後の運用の中で、差別的な落書きや、動画による名誉毀損、入居拒否や就職差別など、区の業務以外の苦情も、専門調査員が調査して改善要請するなどの対応を検討するとのことです。 練馬区でも、昨年一年間で新たに区民となった方のうち、約4割が外国籍だった中で、国籍、民族による差別行為は年々増加しています。例えば、公共施設における差別的な落書きの件数はこの5年間で大きく増加しており、外国人であることを理由にマンションへの入居を断られたという相談も多くいただいています。また、性的マイノリティに対する差別、偏見、無理解も依然として存在しており、学校の教員やクラスメイトによる無理解によって学校に行くのがつらいといった相談もいただいています。こうした中で、練馬区においても国籍、民族、性的指向による差別を許さないという明確な姿勢を条例という形でしっかりと示すべきだと改めて思いました。 (写真は世田谷区議会です。ちょうど世界自閉症啓発デーだったのでロビーでは写真展などが行われていました、こうした取組も素晴らしいと思います。)

いわせてカフェ 地域から貧困を考える。「あきらめること」に慣れてしまうということ

週末、「いわせてカフェ」を行いました。特定のテーマについてゲストをお招きして皆さんと一緒に考えるもので、これまで性的マイノリティや障害、街づくりなどを取り上げてきました。今回は「貧困」をテーマに財団法人「子どもの貧困支援センター」(あすのば)で活動する大学生、工藤鞠子さんをお招きしました。初めてお会いしたのは地域の子ども食堂で、受験で一番大変な時期でも、毎週のようにボランティアをしていて、大学に入学後も「あすのば」で活動している姿にずっと話を伺いたいと思っていました。 彼女が子どもと向き合う中で感じたことの一つが「あきらめること」に慣れてしまう子どもが多かったということでした。自分だけ欲しい物を買ってもらえない、自分だけ習い事に行けない、そういった経験が小さいころから繰り返される中で、自然に多くのことをあきらめてしまう、例えば大学への進学についても最初から発想に入らない、将来の展望や目標もどうせ叶わない、ということで無意識に持とうとしない子どもが多いとのことでした。そして、「エネルギーがない」子どもも多いとのことでした。あきらめることや挫折に慣れてしまっているために、何かを自分の力でやりたい、そういう気持ちになるのが難しいと感じているとのことでした。そんな中、「あすのば」でアンケートを行った中、自由記述欄に、欄一杯に大きな字で「たすけてと言いたいときもある」と書かれていたそうです。友達にも家族にも助けを求められない、そんな子どもがたくさんいること、そのために周囲がしっかりと対応すべきとのことでした。 参加者の方からもたくさんのご発言がありました。ご自身も生活保護を受給しながらお子さんを育てた方から、「エネルギーがないのではなくて、エネルギーを出すことができない、隠れなくては生きていけないのです。生活保護を受けているということだけでいじめの対象になってしまう、だからなるべく目立ってはいけない。例えば修学旅行のとき、保険証のコピーを持ってくるよう言われるが、生活保護世帯ではそれがない、その時どんな気持ちになるか?また、授業参観や運動会、三者面談にも絶対に来ないでくれと言われてきた、なぜなら、生活保護を受けているから。そんな気持ちが分かりますか?」そんな切実な話を伺いました。また、すべての人間が「当事者」としてできることをやっていかなくてはいけないという意見もありました。 現在、練馬区では約13,000世帯が生活保護を受給していて、準要保護世帯(生活保護世帯の収入の1.2倍)も含めると、小中学生のいる世帯では25%にあたります。その中、私が議会で訴えてきたことの一つが制服に関わるものです。就学援助として支給される入学準備費、練馬区の中学校では26,860円ですが、現在、公立の中学校では入学に際して、制服代などで10万以上かかるといわれています。新宿区では4万円以上支給されている中で、実態にあわせて修正することが必要です。 皆さんと意見を共有し、理解を深めていくこと、そしてそこから地域や社会を変えていくこと、こうした事を何とか実現していきたいと思います。いわせてカフェ、次は5月に行います。ぜひご参加ください。

いわせてカフェ 「地域から貧困を考える」のご案内(3月31日)

今週末、いわせてカフェ「地域から貧困を考える」を行います。 ゲストはこどもの貧困対策センター「あすのば」で活動する大学生の工藤鞠子さんです。 ニュースでも近年、「こどもの貧困」が多く取り上げられています。最新のデータでは7人に一人の子どもが相対的な貧困の状況にあるとも言われています。しかし、その実態が外部から中々見えづらいことも事実です。工藤さんからは「あすのば」での活動を通じて、日々向き合っている中で見える課題や必要な取組などをお話頂きます。 また、子どもは子どもだけで生きているわけではなく、一生子どものままでもありません。子どもの貧困の解決にはその先に繋がる大人の貧困についても考える必要があります。私からは練馬区の貧困の状況などについてお話させていただきたいと思います。皆さんとのお話を通じて、地域における貧困問題を一緒に考えたいと思います。キッズスペースもご用意していますので、お子様連れの方もぜひお気軽にご参加ください☺ 工藤さんのカタログハウスのインタビュー記事です。なぜかスマホでは読めないので、パソコンでご覧ください。(https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/160119/)

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