LGBT自治体議員連盟 レインボーパレード2018「すべての愛に平等を」

5月5日から2日間、LGBT自治体議員連盟の研修会が開催されました。二日目の今日は、金沢大学准教授の谷口洋幸さんから全国の自治体の取り組みについて伺いました。2016年の段階で、性的マイノリティの人権について条例で言及している自治体は3.3%、条例よりも下位にあたる行政計画等でも23.2%とまだまだ少数とのこと。練馬区では私も議会で訴えた中で、男女共同参画計画で性的マイノリティの人権について触れられているので、その意味では他の自治体に比べて進んでいるとも言えます。一方で、パートナーシップ認証については、全国の札幌市や福岡市などの政令指定都市を含む7自治体で制度が開始している中で、練馬区では進んでいません。また、他の自治体の取り組みとして、男女共同参画計画だけでなく、子ども、若者、防災などの様々な計画の中で、性的マイノリティについて触れているといった話を伺う中で、練馬区でも取り組みを加速する必要があると改めて感じました。また、不要な性別欄の廃止、アファーマティブアクションとしてマイノリティの方を審議会などに含める など、実現に向けて検討すべき点も多いと感じました。他の自治体の議員の方と情報を共有でき、またアドバイスなどもいただける、とても有意義な研修でした。 午後からはレインボーパレードに参加しました☺参加するのは今年で3回目、毎年参加者の人数や沿道からの声援が大きくなっている気がします。特に今年は、渋谷の街全体がレインボーフェスタに参加している印象を受けました。渋谷の大通りを思い思いの衣装やプラカードを持った参加者と、歩道やビルの中から手を振る方々、たくさんのお店もパレードのためにレインボー色に装飾していて驚きました。これまで多くのデモやパレードに参加しましたが、これほど楽しくて、フレンドリーな雰囲気は初めて。それだけ、社会の関心や理解も深まっているということを改めて感じました。パレードのあとにはフェスタに参加し、たくさんの仲間や知り合いにも会えました。今年のレインボーフェスタのメッセージは「すべての愛に平等を」。留学していたカナダでは首相が「私たちは全員、愛される価値がある。自分が何者か発見するのが6歳だろうと16歳だろうと60歳だろうと、全員に価値がある」と訴えています。今日のパレードのように、性のあり方によって差別されることが制度の上でも、現実の生活の中でもない、そんな社会になるよう、地域からしっかりと訴えを続けていきたいと思います。

「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」勉強会に参加して…国籍・民族・LGBT差別の禁止とともに苦情処理委員会を設置した日本初の条例

先日、多文化共生・自治体政策研究会の学習会に参加しました。こちらの研究会、多文化共生の研究者や自治体の議員から構成されていて情報交換のほか、視察や講演、勉強会などを行っています。一昨年は埼玉県蕨市のクルド人が多く住む通称「ワラビスタン」と中国の方が多く住む「川口芝園団地」を視察し、昨年は渋谷にあるモスク「東京ジャーミイ」を訪問しました。今年は、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を勉強するため、世田谷区役所を訪問し、担当課長と上川あや区議からお話を伺いました。 この条例、基本理念は全ての人が「多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きる」ことができるよう定めるもので、一番の特徴は、国籍や民族、LGBTに対する差別を禁止する内容を含むことにあります。 また、この条例ではLGBTや人種差別に特化して区民からの相談を受け付ける区長の諮問機関「苦情処理委員会」を設けています。苦情処理委員会は区長の諮問機関で、有識者ら3人で構成。関係者から意見聴取などをして区長に意見を言い、区長は「必要に応じて適切な措置を講ずる」と定めています。差別の取り組みだけでなく、苦情処理にも踏み込むのは全国でも初といわれています。 条例について、性的少数者の権利擁護に取り組む中川重徳弁護士は「実質的な差別禁止規定であり、罰則がなくても社会の基本ルールを明示することに意味がある。性的指向や性自認による偏見や固定観念が根強く残る状況で、啓発の意味は非常に大きい」としています。(ハフィントンポストの記事より)https://www.huffingtonpost.jp/taichiro-yoshino/setagaya-jourei_a_23374146/ 勉強会では、条例制定の経緯とともに今後の課題を確認しました。 世田谷区は平成25年に策定された区の最上位計画(実施計画)で、「外国人、性的マイノリティを理由に差別されることなく、多様性を認め合い、人権への理解を深めるため、人権意識の啓発や理解の促進をします」と定め、同性パートナーシップを認める要綱を含め様々な施策を実施してきました。しかし、固定的な性別役割分担意識の解消が進まない、また、外国人の地域社会の構成員としての社会参画に課題があるといったことから、理念を共有するために条例策定に至ったとのことでした。 この条例の課題は、罰則規定がないこと、苦情処理委員会の審査の対象となるのは、区の施策に関わることのみで、民間同士のトラブル(例えば国籍によるアパートの入居拒否)は受け付けない、といったことがあります。しかし、今後の運用の中で、差別的な落書きや、動画による名誉毀損、入居拒否や就職差別など、区の業務以外の苦情も、専門調査員が調査して改善要請するなどの対応を検討するとのことです。 練馬区でも、昨年一年間で新たに区民となった方のうち、約4割が外国籍だった中で、国籍、民族による差別行為は年々増加しています。例えば、公共施設における差別的な落書きの件数はこの5年間で大きく増加しており、外国人であることを理由にマンションへの入居を断られたという相談も多くいただいています。また、性的マイノリティに対する差別、偏見、無理解も依然として存在しており、学校の教員やクラスメイトによる無理解によって学校に行くのがつらいといった相談もいただいています。こうした中で、練馬区においても国籍、民族、性的指向による差別を許さないという明確な姿勢を条例という形でしっかりと示すべきだと改めて思いました。 (写真は世田谷区議会です。ちょうど世界自閉症啓発デーだったのでロビーでは写真展などが行われていました、こうした取組も素晴らしいと思います。)

「LGBTってなに?」いわせてカフェ

区政に関わる様々な課題について、紅茶やクッキーを楽しみながら地域の皆さんとお話する「いわせてカフェ」、今回はこれまで力を入れてきたテーマの一つ「性的マイノリティ」を取り上げました。今回のカフェでは特に、友人の当事者の方々からお話を伺えるということで、私も楽しみにしていました。 まず私からLGBTとは何か?ということで、日本における状況を簡単に説明しました。最近、10年振りに改訂された広辞苑でLGBTが加わったものの、なんとその意味にTを示す性自認のことは触れられていなかったことや、昨年ゲイを笑いものにしたテレビのお笑い番組が話題になったことなどについて触れながら、まだまだ社会の中でLGBTへの認識が不足しているだけでなく、地域でも学校での取り組みなどが遅れていることについて指摘をしました。 その後の二人のお話、印象的でした。一人はトランスジェンダーと自認していて、特に学生の時、セーラー服を着ることがとても辛かったという事、今でも男性と女性のどちらのトイレを使うか、いつも悩んでいるとのことでした。もう一人、バイセクシュアルの方のお話では、例えば知り合いに対して、一人の友人として「好き」といっただけでも、違う意味に捉えられてしまうといった悩みなどを共有いただくとともに、性というのは二つに分かれるものではなく、グラデーションのように人の数だけ存在するものなのだから、それを受け入れられる社会になって欲しいという思いを吐露されました。 フリーディスカッションでも、小学生のお子さんを持つ当事者の方や、ご自身も当事者である保育園の先生などからお話を伺いました。小学生のお子さんを持つ方は、自身の性的指向に気づいたのが最近で、そのことをお子さんに正直に話したとのこと。どんな反応をされるか心配していたら、子どもはむしろ素直に受け入れてくれたとのことでした。だからこそ、抵抗のない子どものころからしっかりと教えてあげることはとても重要だとのことでした。 カフェで特に印象的だったのが参加者同士の対話でした。LGBTについてほとんど知識を持っていなかった方やご年配の方々も参加されていた中で、結婚観や子どもを持ちたいかといった、「素朴(しかしともするとセンシティブ)」な質問もされました。それに対して、当事者の方がとてもわかりやすい例をつかって一つずつ辛抱強く、しかし率直に説明してくださり、最後は何人もの参加者が認識不足だったことがわかった、目からウロコだったとおっしゃっていました。こんなプロセスがカフェを通じて行えたのがとても嬉しかったです。私も以前はそうでしたが、全体的にリベラルな人でも必ずしもきちんと理解しているとは限らないなかで、こうした取組をもっともっと広げていきたいと思います。

2018-08-21T09:41:27+09:002018年1月21日|Tags: , , |
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