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一般質問のご報告① 練馬区でも同性パートナーシップ制度の導入を!

年に1度だけの一般質問、今回は任期(4年)で最後ということで、今まで力を入れてきた性的マイノリティの権利向上に関連して、同性パートナーシップ制度の導入を訴えました。原稿の作成にあたっては、当事者の方々からたくさんお話しを聞かせて頂き、その思いも訴えさせていただきました。また、池尻さんからも連日深夜までたくさんのアドバイスを頂きました。 私たちが訴えた内容と区の回答を簡単にご報告します。全文は公開される議事録をご確認ください。 <はじめに> 性的マイノリティの権利保障に関連して伺います。 自治体の取組みの一つとして、同性パートナーシップの公的認証制度があります。東京23区では3区(渋谷、世田谷、中野)、全国では8つの自治体がこの制度を導入しています。 練馬区では同性パートナーシップについてこれまで「現実的な施策の効果が不明であること」および「現行法との整合性に課題」があることを理由に「条例を制定する予定はありません」としてきました。 <岩瀬の主張 1) パートナーシップ制度の効果を認めるべき!> 練馬区の姿勢を当事者の友人に話したところ「パートナーシップで差別的な制度が解消することも大切ですが、私たちにとっては、制度が誕生すること自体に大きな意味があります。制度は自分の暮らす自治体が性的指向に対して寛容であることを示すもので、当事者にとって大きな支えになります。」と訴えていました。このようにパートナーシップ制度は啓発的な意義も強いものです。 そこで伺います。当事者の方が感じている啓発的な意義について区はどのように考えますか。また練馬区はパートナーシップ制度について「現実的な効果が不明」としていますが、他の自治体では、区営住宅における同性カップルの入居や緊急時の病院での面会など様々な取組を行い一定の効果も上がっています。他の自治体のこうした取り組みや効果についてどのように考えているのかお答えください。 <区の回答:一定の効果は認めるものの、効果が不明との認識は変わらず。>  制度を導入した自治体では、当事者の方が公的に認められたことで生活していく上でも支援を実感できるようになった。区民が同性パートナーについて考える機会となったなどの声があると聞いています。しかし、制度を導入したものの利用する方が少ない。対応する事業が少ない。パートナーを解消した場合の対応などの課題も多く、「施策の効果が不明である」という認識は変わっていません。 <岩瀬の訴え 2) パートナーシップ制度は法律上も問題はないことを確認すべき!> パートナーシップ制度を導入した札幌市は「自分達の存在を公に認めてほしいとする当事者の気持ちを受けとめるものです。条例や要綱により定める制度であり、法的な権利の発生や義務の付与を伴うものではなく、現行法に反するものではありません。」としています。他の自治体での取り組みは、あくまで法律の枠内で性的マイノリティに対する差別の是正や社会的な周知啓発を図ることを主旨としています。同性パートナーシップの公的認証制度が、具体的にどの法律のどの規定との整合性に問題があると考えているのか、お答えください。 <区の回答: 制度には現行法との整合性など検証すべき課題はある。> 同性パートナーの権利保障については、国でなければ解決できない遺産相続や税金の控除など、現行法との整合性など検証すべき課題があると考えます。 <岩瀬の訴え 3) 同性パートナーシップ導入に向けて検討を始めるべき!> 本定例会では同性パートナーシップの公的認証制度の導入を求める陳情が出され、多くの署名も集まっています。区として当事者の方の思いに応えるためにも制度導入に向けた検討を行うべきです。考えをお聞かせください。 <区の回答: 明確な回答は無し、ただし状況調査は開始> 区では、今年度実施する「人権・男女共同参画に関する実態調査と労働実態調査」で性的マイノリティに関する項目を設け、状況を把握する予定です。また、講演会の講師や参加者アンケート、支援団体などからも意見を伺っているところです。国や東京都の動向を注視し、当事者のニーズに即した支援策などについて、来年度策定する次期練馬区男女共同参画計画で検討します。 <岩瀬の主張 4) 性的マイノリティの権利保障のための条例や要綱などを作るべき!> 東京都は先日、性的マイノリティへの理解やヘイトスピーチ規制などを盛り込んだ条例の制定を目指すことを明らかにしました。練馬区においても同性パートナーシップの公的認証制度も含めて、性の多様性を尊重し、性的指向や性自認に基づく差別のない地域を作っていくためにも条例や要綱、計画の制定など踏み込んだ対応が必要だと考えます。区の見解をお答えください。 <区の回答:条例の制定はしないが、都の動向を注視する> 現在東京都は、本年9月の都議会に性的少数者への差別やヘイトスピーチの解消を目指して、条例の提出を予定しており都民の意見募集を行っています。その動向を注視して対応してまいりますが、区として条例を制定する考えはありません。 <岩瀬の感想> 区の回答、実態調査で性的マイノリティの状況を把握するとともに、支援団体などから意見を聞いて当事者のニーズに即した支援策などについて、次期「練馬区男女共同参画計画」で検討するということで、今後に期待の持てる内容でした。一方で、同性パートナーシップの公的認証について否定はしないものの「現実的な効果が不明」「現行法との整合性に課題」との見解は変わっていませんでした。今回の訴えと区の回答をきっかけとして、今後も地域の中で差別や偏見に苦しむ性的マイノリティの方の権利向上のために取り組んでいきたいと思います。

LGBT自治体議員連盟 レインボーパレード2018「すべての愛に平等を」

5月5日から2日間、LGBT自治体議員連盟の研修会が開催されました。二日目の今日は、金沢大学准教授の谷口洋幸さんから全国の自治体の取り組みについて伺いました。2016年の段階で、性的マイノリティの人権について条例で言及している自治体は3.3%、条例よりも下位にあたる行政計画等でも23.2%とまだまだ少数とのこと。練馬区では私も議会で訴えた中で、男女共同参画計画で性的マイノリティの人権について触れられているので、その意味では他の自治体に比べて進んでいるとも言えます。一方で、パートナーシップ認証については、全国の札幌市や福岡市などの政令指定都市を含む7自治体で制度が開始している中で、練馬区では進んでいません。また、他の自治体の取り組みとして、男女共同参画計画だけでなく、子ども、若者、防災などの様々な計画の中で、性的マイノリティについて触れているといった話を伺う中で、練馬区でも取り組みを加速する必要があると改めて感じました。また、不要な性別欄の廃止、アファーマティブアクションとしてマイノリティの方を審議会などに含める など、実現に向けて検討すべき点も多いと感じました。他の自治体の議員の方と情報を共有でき、またアドバイスなどもいただける、とても有意義な研修でした。 午後からはレインボーパレードに参加しました☺参加するのは今年で3回目、毎年参加者の人数や沿道からの声援が大きくなっている気がします。特に今年は、渋谷の街全体がレインボーフェスタに参加している印象を受けました。渋谷の大通りを思い思いの衣装やプラカードを持った参加者と、歩道やビルの中から手を振る方々、たくさんのお店もパレードのためにレインボー色に装飾していて驚きました。これまで多くのデモやパレードに参加しましたが、これほど楽しくて、フレンドリーな雰囲気は初めて。それだけ、社会の関心や理解も深まっているということを改めて感じました。パレードのあとにはフェスタに参加し、たくさんの仲間や知り合いにも会えました。今年のレインボーフェスタのメッセージは「すべての愛に平等を」。留学していたカナダでは首相が「私たちは全員、愛される価値がある。自分が何者か発見するのが6歳だろうと16歳だろうと60歳だろうと、全員に価値がある」と訴えています。今日のパレードのように、性のあり方によって差別されることが制度の上でも、現実の生活の中でもない、そんな社会になるよう、地域からしっかりと訴えを続けていきたいと思います。

「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」勉強会に参加して…国籍・民族・LGBT差別の禁止とともに苦情処理委員会を設置した日本初の条例

先日、多文化共生・自治体政策研究会の学習会に参加しました。こちらの研究会、多文化共生の研究者や自治体の議員から構成されていて情報交換のほか、視察や講演、勉強会などを行っています。一昨年は埼玉県蕨市のクルド人が多く住む通称「ワラビスタン」と中国の方が多く住む「川口芝園団地」を視察し、昨年は渋谷にあるモスク「東京ジャーミイ」を訪問しました。今年は、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を勉強するため、世田谷区役所を訪問し、担当課長と上川あや区議からお話を伺いました。 この条例、基本理念は全ての人が「多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きる」ことができるよう定めるもので、一番の特徴は、国籍や民族、LGBTに対する差別を禁止する内容を含むことにあります。 また、この条例ではLGBTや人種差別に特化して区民からの相談を受け付ける区長の諮問機関「苦情処理委員会」を設けています。苦情処理委員会は区長の諮問機関で、有識者ら3人で構成。関係者から意見聴取などをして区長に意見を言い、区長は「必要に応じて適切な措置を講ずる」と定めています。差別の取り組みだけでなく、苦情処理にも踏み込むのは全国でも初といわれています。 条例について、性的少数者の権利擁護に取り組む中川重徳弁護士は「実質的な差別禁止規定であり、罰則がなくても社会の基本ルールを明示することに意味がある。性的指向や性自認による偏見や固定観念が根強く残る状況で、啓発の意味は非常に大きい」としています。(ハフィントンポストの記事より)https://www.huffingtonpost.jp/taichiro-yoshino/setagaya-jourei_a_23374146/ 勉強会では、条例制定の経緯とともに今後の課題を確認しました。 世田谷区は平成25年に策定された区の最上位計画(実施計画)で、「外国人、性的マイノリティを理由に差別されることなく、多様性を認め合い、人権への理解を深めるため、人権意識の啓発や理解の促進をします」と定め、同性パートナーシップを認める要綱を含め様々な施策を実施してきました。しかし、固定的な性別役割分担意識の解消が進まない、また、外国人の地域社会の構成員としての社会参画に課題があるといったことから、理念を共有するために条例策定に至ったとのことでした。 この条例の課題は、罰則規定がないこと、苦情処理委員会の審査の対象となるのは、区の施策に関わることのみで、民間同士のトラブル(例えば国籍によるアパートの入居拒否)は受け付けない、といったことがあります。しかし、今後の運用の中で、差別的な落書きや、動画による名誉毀損、入居拒否や就職差別など、区の業務以外の苦情も、専門調査員が調査して改善要請するなどの対応を検討するとのことです。 練馬区でも、昨年一年間で新たに区民となった方のうち、約4割が外国籍だった中で、国籍、民族による差別行為は年々増加しています。例えば、公共施設における差別的な落書きの件数はこの5年間で大きく増加しており、外国人であることを理由にマンションへの入居を断られたという相談も多くいただいています。また、性的マイノリティに対する差別、偏見、無理解も依然として存在しており、学校の教員やクラスメイトによる無理解によって学校に行くのがつらいといった相談もいただいています。こうした中で、練馬区においても国籍、民族、性的指向による差別を許さないという明確な姿勢を条例という形でしっかりと示すべきだと改めて思いました。 (写真は世田谷区議会です。ちょうど世界自閉症啓発デーだったのでロビーでは写真展などが行われていました、こうした取組も素晴らしいと思います。)

「LGBTってなに?」いわせてカフェ

区政に関わる様々な課題について、紅茶やクッキーを楽しみながら地域の皆さんとお話する「いわせてカフェ」、今回はこれまで力を入れてきたテーマの一つ「性的マイノリティ」を取り上げました。今回のカフェでは特に、友人の当事者の方々からお話を伺えるということで、私も楽しみにしていました。 まず私からLGBTとは何か?ということで、日本における状況を簡単に説明しました。最近、10年振りに改訂された広辞苑でLGBTが加わったものの、なんとその意味にTを示す性自認のことは触れられていなかったことや、昨年ゲイを笑いものにしたテレビのお笑い番組が話題になったことなどについて触れながら、まだまだ社会の中でLGBTへの認識が不足しているだけでなく、地域でも学校での取り組みなどが遅れていることについて指摘をしました。 その後の二人のお話、印象的でした。一人はトランスジェンダーと自認していて、特に学生の時、セーラー服を着ることがとても辛かったという事、今でも男性と女性のどちらのトイレを使うか、いつも悩んでいるとのことでした。もう一人、バイセクシュアルの方のお話では、例えば知り合いに対して、一人の友人として「好き」といっただけでも、違う意味に捉えられてしまうといった悩みなどを共有いただくとともに、性というのは二つに分かれるものではなく、グラデーションのように人の数だけ存在するものなのだから、それを受け入れられる社会になって欲しいという思いを吐露されました。 フリーディスカッションでも、小学生のお子さんを持つ当事者の方や、ご自身も当事者である保育園の先生などからお話を伺いました。小学生のお子さんを持つ方は、自身の性的指向に気づいたのが最近で、そのことをお子さんに正直に話したとのこと。どんな反応をされるか心配していたら、子どもはむしろ素直に受け入れてくれたとのことでした。だからこそ、抵抗のない子どものころからしっかりと教えてあげることはとても重要だとのことでした。 カフェで特に印象的だったのが参加者同士の対話でした。LGBTについてほとんど知識を持っていなかった方やご年配の方々も参加されていた中で、結婚観や子どもを持ちたいかといった、「素朴(しかしともするとセンシティブ)」な質問もされました。それに対して、当事者の方がとてもわかりやすい例をつかって一つずつ辛抱強く、しかし率直に説明してくださり、最後は何人もの参加者が認識不足だったことがわかった、目からウロコだったとおっしゃっていました。こんなプロセスがカフェを通じて行えたのがとても嬉しかったです。私も以前はそうでしたが、全体的にリベラルな人でも必ずしもきちんと理解しているとは限らないなかで、こうした取組をもっともっと広げていきたいと思います。

2018-08-21T09:41:27+09:002018年1月21日|Tags: , , |
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