練馬区におけるマイナンバー導入に対する反対討論
一カ月半におよんだ練馬区議会第三回定例会も今日が最終日。
最終日の議決を前に、本議会で一番の議論となった練馬区でのマイナンバー制度導入について、反対の立場から討論を行いました。
討論の持ち時間は5分、時間を過ぎると「もう終わりだぞ!」いろんなところから野次が飛んできます。こんな時はなぜか皆さん時間に正確…だからこそ、限られた時間の中でしっかりと説得力のある論を練る必要があります。
そんな中、マイナンバーの論点として以下の三点を取り上げました。
<問題点1.個人情報に対する国の管理や監視が強まる>
政府は当初、マイナンバーで扱う範囲を、社会保障、税金、災害対策の三分野に限定するとしていました。しかし、9月の改正によって銀行口座や、特定健康診査等の履歴の管理にも個人番号が利用されることになりました。今後も次々と国民の個人情報がひも付けされるということも考えられる中、政府による一元的な管理が広がる恐れが高まっています。
<問題点2.情報漏えいの危険性が高まる>
個人情報の管理はシステムにおいても運用においても大きなリスクを負っています。一例として、先日には練馬区の職員による個人情報の不正利用も起こりました。どんなに立派なシステムを作ってもヒューマンエラーや悪意ある情報漏えいを防ぐことはできません。しかもシステム自体が、関係する事業者の中で整っているとはいえない状態です。
マイナンバー制度で先行している海外の事例を見ても成功している国はほとんどありません。アメリカやカナダでも、最も多い犯罪の一つは個人の番号を悪用した詐欺となっています。また、英国では共通番号導入に向けた準備が進められましたが、世論の反対や、制度廃止を唱える政権の誕生により二年余りで廃止されました。フランスでも番号は一部分野に限定しており、マイナンバーのような共通番号は導入していないのが実情です。
海外においても情報がしっかりと守られていない中で、日本で情報漏えいのリスクがないとはいえません。
<問題点3.国民にとっては利便性よりも負担が大きい>
マイナンバーの導入には個人や企業、自治体にも多大な負担を強いることになります。例えば、申請時の負担として、これまでは自治体の窓口において、免許証などの各種証明書で本人確認をおこなっていました。しかし、今後はマイナンバーの提示が基本となります。12桁の番号を覚えることそれ自体が負担であるだけでなく、カードを失くさないよう管理しなければならないという二重の負担となります。
障がいを持った方や高齢者の方が使えるのか、という問題もあります。視覚障害の方のための点字記載や外国語での対応もできないとも言われており、コミュニケーションに負担のある方にとってはさらに大きな負担となります。
企業でもマイナンバーを取り扱うために新たなシステムの導入を含め多大な費用と手間が必要となります。とりわけ中小企業にとっては、セキュリティ対策も含め、非常に大きな負担となります。行政においてもマイナンバーの導入のため、システム改修などに充てなければならない区の一般財源は本年度だけでも、合計で3億3000万円にも達します。
このようにマイナンバーを導入することで国民、企業、自治体における負担は間違いなく増加します。
本条例はこうしたマイナンバー制度を練馬区において運用するためのものです。マイナンバー制度は、個人情報に対する国の管理、監視が強まるとともに、情報漏えいの危険性が高まるということ、さらに国民にとっては利便性よりも負担が多いことなど、多くの問題を抱えていることから、私たちは本条例に反対します。
最終的には与党によって可決されてしまいましたが、実際の運用に際して、しっかりと監視してきたいと思っています。
地域の子ども食堂に参加 石神井ゆうやけ子ども食堂
先日、「石神井子ども食堂」に参加。
不登校の子どもの支援を行っている「フリースペースなゆたふらっと」と日本基督教団の「野の花伝道所」が共同で月に二回実施している。
名前は「子ども食堂」ではあるが、子どもだけではなく、毎回、地域に住むたくさんの方が自然に集まる、そんなコミュニティの核としても機能している。
今回の参加者、下は8歳の男の子から、上は70代の方まで。一緒に食事の準備をして、栄養たっぷりの食事を食べながら様々な話をする。私にとっては、参加するたびに新しい出会いがあり、そして、年も経験も全く違う方からたくさんのことを学ばせていただける貴重な機会、楽しみにしている。
今回は19歳の受験生から話を聞く。彼女とは、先日の国会前のデモでもたまたま遭遇したこともある。聞くと、石神井だけでなく、八王子の子ども食堂のお手伝いもしているほか、「子どもの貧困支援センターあすのば」でも活動しているとのこと。
話を聞きながら、自分が19歳のころ、何を考えていたか、改めて思い出す。
恥ずかしながら、自分のことばかり考えていた…浪人中で毎日予備校に通いながら、受験のこと、将来のことに悶々と悩む、そこで他者のことを思いやる余裕は全くなかった。
そんな中、自分も受験を控えながら、地に足をつけて、人の痛みにしっかりと向き合おうとする、その姿勢に刺激を受けた。そして、練馬区で不登校の子どもが増えていることに関連して、区の調査では、原因が「無気力」や「情緒的不安定」など、子ども自身のせいにされている、という話をしたら、「なぜ子どもが無気力になるのか、区は全くわかっていない。大人だって無気力になってしまうのには、何か理由があるからでしょ。」とはっきり答えた。この意見、ぜひ区に聞かせたい。
こんな会話を通じて、なぜ区議になりたいと思ったのか、4年間で何を実現したいのか、改めて考えさせられる、とてもいい勉強になる。
興味がある方は石神井ゆうやけ子ども食堂、ぜひお越しください!
Participamos “Kodomo Shokudou”, eso significa “comedor para ninos” en mi barrio. Este comedor trata de que los ninos quienes comen solos en sus casas pasan juntos charlando con adultos y compartiendo las comidas sanas y nutritivas.
練馬パラグアイフェスタに参加!(Paraguay festival in Tokyo)
今日は地域で行われたパラグアイフェスタに参加。
パラグアイといえば、何をイメージされるだろうか?ハープのような楽器のアルパ、日本でも有名なマテ茶、世界三大瀑布のイグアスの滝、しかし、それ以外にも、ブラジルやペルーと同様に、日系人が多く住んでいる国としても有名である。
そんな中、今日のフェスタ。今年で開催三回目。午前中の雨も止んで、大変な賑わい。そして、いたるところからスペイン語の会話が聞こえてくる。こんな感覚はほぼ一年ぶり。感覚も昔に戻ってさっそく目が合ったラテンアメリカの方達に話しかけてみる。すると、やはり皆さんノリがいい。初めて会ったばかりなのに、どんどん会話が弾む。聞いてみると、今日のフェスタを楽しみに名古屋や群馬から来た人もいるとのこと。
日本で生活する中で、外国人として息苦しさを感じることも多い。その中で、こういったフェスタでは自分が地域に受け入れられている気がする。だからわざわざ遠方から参加しているとのこと。
練馬区にも13,000人を超す外国人が生活し、その数も増え続けている。他方でヘイトスピーチに代表される差別や偏見も地域で見えている。また、地域の中でのいじめの問題、地域での孤立の問題、そして災害時の避難の問題、外国人の方を取り巻く様々な問題も山積している。そういった中で、大切な事の一つはお互いに知ることだと思う。だからこそ、こういった機会は非常に重要であり、地域のこうした活動に私ももっとかかわっていきたい。
ところで、最初にフェスタの企画・運営をされている方にご挨拶に伺ったところ、なんと、8年前にアルゼンチンで働いていた時に会議でお会いしたことがあった。なんという偶然、そしてなんというご縁!
また、フェスタでブースの一つを出していたのは、息子もお世話になっているHippofamily clubの皆さん。Hippoは7か国語を自然に(赤ちゃんのようにまねすることで)話して楽しむことをモットーに子どもから大人までたくさんの方が参加している。ブースの中でも気負わずに複数の言語が行きかっている、まさに国際交流の場。
<写真はフェスタでお友達になった日本在住のパラグアイの学生さん>
Con mi familia, participamos Fiesta Paraguay Festival in Tokyo en Nerima. Pasamos muy bien con nuevos companeros compartiendo experiencias en Latinoamerica!
安保法制若者の抗議活動に参加
昨日、「戦争法案を許さない!ねりま青年の会」が実施している駅頭での抗議活動に参加。
この集まりでは、練馬区在住の大学生等が安保関連法制の撤廃を求める声をあげている。
抗議活動には、共産党の戸谷議員、生活者ネットの君垣議員、やない議員も参加。
党派を超えて、明らかに違憲な安保関連法制を許さない、という思いで地域の中で集まった。
そんな中で行われた今回の内閣改造。
目玉として、「一億総活躍相」が設置されたが、まずはその名前にものすごい違和感。どうしても「一億火の玉」や「一億総懺悔」などの戦時中や戦後直後の標語を想像してしまう。政権の皆さんも当然、これらの軍国主義的使われ方を知っているハズ。また、どうも上から目線が漂う。そもそも何をもって「活躍」とするのだろうか。日本経済等、国家にどれだけ役に立つかだろうか。その背景には政権が、弱い立場の人も含めた多様性を否定し全体主義を押し付けようしようとする姿勢が透けて見える気がしてコワい。
憲法は国民を守るために、そして、間違いを犯しやすい権力を縛るためにこそある。私は世界の様々な国を見てきて、どんなに立憲主義というのが重要かを肌で感じてきた。
日本には法治国家であってほしいし、民主主義の国であってほしい。だからこそ、この法制を何としても廃止なければならない。
安保関連法に対する違憲訴訟が準備されているが、訴訟は時間がかかるし、難しいことは先日も書いた。落選運動も必要だが、識者によれば、「安保関連法廃止法案」の国会提出も有効だという。『大衆の忘却力は大きい』とヒットラーが言ったというが、そうはいかない。来年まで、そして今後何年も、この暴挙をみんなで覚えておかなければならない。そのために、国会内外でこの法律が「違憲である」という認識を維持しなければならないのだ。
そういったとりくみを地域からも粘り強く、諦めずに、支えて盛り上げていきたいと思う。
(写真は左から生活者ネットの君垣議員、やない議員、右端が共産党の戸谷議員)
外国籍住民との共生について
先日の一般質問、二つ目のテーマは、地域に住む外国籍住民との共生でした。
東京オリンピックを控えて、観光客の受入れを訴える議員の方はいますが、既に地域で暮らしている外国籍住民との共生については、議会で議論される機会は中々ありませんでした。
日本に入国する外国人数は長期的な増加傾向にあります。区内の外国人も2001年から1.5倍に増加し、区民全体に占める割合も人口の約2%、国籍も100ヶ国を超えています。しかし、区内施設内で外国人に対する差別的な落書きがみつかったほか、ネット上でも区民による外国人を誹謗中傷する差別的な表現が見られます。行政サービスにおいても区内の外国籍の方の人権が十分に守られているとはいえません。
…
こういった状況を踏まえて、今回は地域に住む外国籍の方の人権保障の観点から、練馬区のヘイトスピーチに対する取組み、外国人との共生政策、そして、防災時の対応について質問しました。
以下、質問と答弁の要旨です。
1.ヘイトスピーチに対する練馬区の姿勢を明確にしめすべき。
昨年、練馬区でもあるまちづくりに関する連絡体の公募委員の一人がヘイトスピーチを理由に解任されたと聞いています。こうした事実も踏まえて、練馬区自身もヘイトスピーチを許さない毅然とした意志を明確にするとともに、独自にヘイトスピーチをなくすための方針、あるいは基準を早急に策定すべきと訴えました
答弁(要旨)
ヘイトスピーチに対する区独自の方針や基準は策定する考えはありませんが、区はあらゆる場において差別発言や差別を助長する行為を見逃さず、迅速に対していきます。
2.多文化共生実現のために、外国人市民会議の設置を行うべき。
区は2012年に「練馬区国際交流・多文化共生基本方針」を策定しました。同方針では、区民や区内の団体を構成員とする「連絡会」を設置し、国際交流および多文化共生事業推進をはかるとされていますが、「連絡会」は三年以上経った現在でも全く設けられていません。一刻も早く、外国人も含めた連絡会を設置し、まちづくり全般に関わることを求めました。
答弁(要旨)
今後「連絡会」の設置を含めて検討します。
3.防災計画に外国人をしっかりと含めるべき。
「練馬区地域防災計画」では被災外国人への対応として、東京都の防災語学ボランティアの派遣しか言及していません。練馬区にも、独自に外国語通訳ボランティア制度を実施していますが、防災計画には全く組み込まれていないのが実情です。「地域防災計画」でしっかりと外国人のことも組み込むとともに、情報拠点の整備などに外国人の意見をしっかりと踏まえるべきと訴えました。
答弁(要旨)
通訳ボランティアについては、災害ボランティアセンターに関するマニュアルの中で整理をし、円滑に活用するよう努めます。また、避難拠点について、外国人の視点を拠点運営に活かすため、他の自治体の取組も参考に、一層の充実に努めます。
今回の一般質問、区としてヘイトスピーチにしっかりと向き合う姿勢を明らかにしたこと、そして、これまで止まっていた多文化共生政策を進めることを述べたことに大きな意味がありました。区からの答弁をもとに、国籍に関係なく、外国籍住民との共生が地域内で進むよう、これからも全力を尽くします!
安倍首相の国連での難民支援のスピーチについて思うこと
国連で安倍首相はシリア難民支援のために8億1000万ドルを拠出すると発言。一方で、日本での難民の受入れに関する言及はなかった。しかし、その後の記者会見では次のように述べている。
「今回の難民に対する対応の問題であります。これはまさに国際社会で連携して取り組まなければならない課題であろうと思います。人口問題として申し上げれば、我々は移民を受け入れる前に、女性の活躍であり、高齢者の活躍であり、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります。同時に、この難民の問題においては、日本は日本としての責任を果たしていきたいと考えております。それはまさに難民を生み出す土壌そのものを変えていくために、日本としては貢献をしていきたいと考えております。」
…いろんな意味で、驚いた。
まず難民の受け入れは人権・人道の問題、というか、日本が締結している難民条約という国際条約上の義務である。
日本には昨年も5,000人もの難民申請があったにも関わらず、認定されたのは11人(そのほか30人の人道配慮による滞在許可あり)。シリア人に限っていえば、日本でも国内に500人近くのシリア人が暮らし、そのうち約60人が難民申請をすでにしている。結果がすでに出たのが38人で、その中で日本政府が難民として認定したのは3人。つまり認定率は4%に過ぎない。残りは人道配慮による在留特別許可がなされた。
2011年4月~2015年7月末までに欧州各国に入ったシリア人は、ドイツ9万8千人、スウェーデン6万4千人、オーストリア1万8千人、イギリス7千人に達している。入国後の処遇を見ると例えば2014年ではドイツは87%以上(補完的保護による滞在許可を含めると100%)、イギリスは91%以上を難民条約上の難民として認定している(2015年6月18日現在、UNHCRの統計)。
フェアな見方をすれば、とりあえず日本で申請したシリア人は全員、広い意味での「保護」はされていることは、認識すべきだろう。しかし、この広い意味での保護、「難民条約上の難民」と比べると処遇・権利がかなり劣るという。なぜ、シリア難民の多くを認定しないのか。理由として、要するに(厳密な言い回しではないが)「戦争が起こっており、多くの人が攻撃を逃れてきているから条約上の難民ではない」というような説明がなされているようだが、この戦争の背景にはまさに宗教的・政治的な対立があるのだから、少なくとも大半は、条約上の難民に認定該当しうるはずなのだ。ここがまさに、「難民条約の解釈が狭い」ということで、認定率が低い大きな原因である。
自力でたどり着くシリア人に加えて、難民キャンプなどから直接受け入れる「第三国定住」による受け入れも、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどが名乗りをあげた。28か国が計10万人以上の受け入れを表明している。
確かに、難民が流出する根本原因に対処することは大切だ。しかし、まずは国内に既にいる難民の受入れをしっかりしないといけないのでは。
また、後半の人口問題のくだり。そもそも難民の受け入れを人口問題としてとらえてしまうこと自体問題なのだが、仮に人口問題の文脈で外国人一般の受け入れを語るのであれば、「女性と高齢者の活躍(それ自体の実現にいろいろ課題がある)」だけではもはや、日本の少子化は対応できないのは明らかではないか。また、グローバル化の流れのなかでどの国でも外国人は増える一方であり、何十年も前から一生懸命日本で生活し働き納税し、それこそ「日本経済に貢献」してきた人々も含め、外国人との共生は不可避だ。日本は一刻も早く移民政策を策定して移民の受け入れを正面からすべきなのに、この期に及んで、まだ本気で言っているのだろうか、という気がしてしまう。
これは国の問題だけではない。私が住む練馬区にも難民の方、申請中の方、移住労働者も住んでいる。彼等を含む外国人の方が地域の中で差別や偏見に苦しむことなく、また単に労働力としてみなされるのではなく、地域を豊かにしてくれる仲間として共生できるような仕組みを作ることこそが草の根の国際協力だと信じる。
【難民支援協会】 特集 シリア難民はいま
400万人を超えたシリア難民。
欧米諸国、日本の受け入れ状況は?
NPO法人ふらじゃいるの活動
先日「NPO法人 ふらじゃいる」が行ったカフェに参加。
ふらじゃいるは精神障がいなどを抱えた仲間が中心となり、練馬区を活動拠点としてはじまった団体。一番の特徴は、専門家の知識や技術よりも当事者の経験にこそ病気や苦労を解明する知恵が眠っている、という考えから、こころの病気をもつ当事者の方々によって設立されたこと。だからこそ、モットーも非常にユニークで「病気を出す居場所作り」「世界一弱くて明日にでも潰れそうなNPO」となっている。
今回は、当事者の方々が、抱える悩みや課題を共有し、解決策をみんなで考える「当事者研究」という取り組みにも参加させていただいた。参加者だった若い男性の悩みで、信頼していた方に陰口を言われて傷ついたとのこと。
当事者研究では、皆さんが自分にも似たような経験があったか、そして、そんな時にどう感じたか、など自由に話をした。そして、その現象のみにとどまらず、問題の根幹がどこにあるのか、そして、今後どうやって対応したらいいか、話し合った。
解決策だけを検討するのではなく、話し合いのプロセスの中で、それぞれが共感し、参加する。参加者が一体感をもって解決に取り組む姿に感銘を受けた。
地域の中でのこうした取り組み、今後もぜひ参加していきたい。
(決算質問)練馬区の不登校児への支援
本日の決算質問、練馬区の不登校児への支援を取り上げた。
練馬区における児童の数は年々減少している一方、不登校児の数は、過去5年間で20%以上も増えている。また、練馬区における過去10年の児童の自殺数を見ても、全5件の内、4件が4月と9月に起こっており、学校が子ども達にとって負担になっていることが理由であると推察される。自殺と報告されていない数も含めると実態はもっと多いと思われる。
そうした中、「平成26年度 練馬区立小中学校におけるいじめ・不登校の状況について」によると、不登校となった直接のきっかけとして最も多いのが「不安など情緒的混乱」と「無気力」であり、併せて全体の60%、どちらも調査では「本人の問題」と区分されている。
他方で「いじめ」を直接のきっかけとして答えたのはたったの二人(0.3%)だった。
しかし、「情緒的混乱」と「無気力」、どちらもいじめや家庭の事情など別の原因による結果でしかなく、決して「本人の問題」ではない。現象だけをとらえることなく、根本的な原因を分析し対策を取る必要がある。
もちろん、不登校の子ども達が学校に行きたいと思えるように、いじめの防止等、学校での環境を改善する取組を続けることは必要だ。しかし、何十年も前からの取組と裏腹に、問題は依然として無くならないのが実情である。
そんな中、現在は、不登校対策として中心的な役割をはたしている事業に、適応指導教室等があるが、ウェブサイトを見ると「学校への復帰」を主たる目的としている。
不登校になった子どもは、学校に戻るということに大きな不安を感じ、パニック障害などを起こす子どももいる。だからこそ復帰のみを目的とせず、子ども達が安心して過ごせる、そんな居場所が必要だといえる。
実際、適応指導教室に入室した児童は不登校児全体の3割、定期的に通っている児童は14%にとどまっている。
適応指導教室への出席率が低い中、かなりの児童が家庭での学習やいわゆるフリースクール等によって救われている。また、どこにも行き場所がない児童も多く存在しているのも実情である。
私も家族が不登校だったが、フリースクールに行ったことで自分のペースで得意分野を伸ばすことができ、その結果大学院へ行き、世界を舞台に活躍している。一方で練馬区は区内にいくつフリースクールがあるか、それすらも知らない状況である。
そこで私が行った提案。家庭での学習やフリースクールが現実として不登校の児童にとって一つの居場所として機能しているのは間違いない事実である一方、フリースクールの存在を知らない方も多く存在している。だからこそ、まずは不登校児童や親に対する区や学校の相談業務において、居場所の一つとしてフリースクールがあるという事実を紹介すべき、ということ、そして、区内で少なくとも26名がフリースクールに通っており、区内や周辺のフリースクールについて実情や内容、課題などを把握するとともに情報交換などの連携をすべき、と主張した。
それに対して、区の回答は、現在、練馬区は不登校児にむけて様々な支援を行っており、まずは行政の力で対応するということ、そして、フリースクールは定義もはっきりせず、現時点で行政が紹介するのは難しいということだった。他方で、既に通っている生徒については、
親の意向も考慮しつつ、必要に応じて情報の収集を行うということ。また、現在通称「多様な学び支援法案」の審議が進められている中で、今後の動きを見ながら対応を行うとのことだった。
フリースクールの定義が無いという懸念はよく聞かれるし、確かにフリースクールを名乗って悪質な教育内容を提供する団体もあるので、注意は必要だ。しかし、本当に素晴らしい活動を何十年も続けている団体も多数あり、実際にそこで救われている子ども達が大勢いるのはまぎれもない事実なのだ。実際こういった懸念に対応するために、行政としての調査もなされている。どのフリースクールを紹介するかは、個別のフリースクールの中身を検討して判断すればよいことで、本当に不登校の子ども達を救いたいと思うのなら、独自の調査も厭わないくらいの姿勢が必要だろう。また、もし個別のフリースクールの紹介が難しいとしても、フリースクールというものが存在するという事実を教えるのと教えないのとはずいぶん違う。
少なくとも今回の意義は、区が行っている不登校対策の問題点を指摘するとともに、不登校の子ども達の居場所として実際に機能しているフリースクールについて、しっかりと区の認識と連携を求めたこと自体にあるといえるだろう。実際に、回答では、今後の法案の成立を判断しながら検討すると言っているので、今回の質疑を初めとして、これからも不登校の子どもの支援についてしっかりと向き合っていきたい。
練馬区の震災シンポジウムに参加して
本日、練馬区社会福祉協議会が実施した災害シンポジウム「災害にどう備える!?」に参加。
基調講演は特定非営利法人「にいがた災害ボランティアネットワーク理事」の李仁鉄さんのお話。
最初に、日本は世界の400分の1の面積しかないにも関わらず、世界の10分の1の活火山が集中していること。そして、地震に至っては、世界で起きるマグニチュード6以上の地震の内、20%以上が日本で起こっていること、そんな衝撃の事実を教えていただいた。
統計的に見ても、地域で大きな地震が起きる確率は0.1%、裁判員制度の裁判員に選ばれる可能性よりもかなり高い、そんな中で私たちは暮らしているとのこと。
李さんのお話で非常に印象に残ったのは、震災後、支援が必要なのは、震災直後の復旧期と思われているが、実際にはその後、生活を日常に戻すための生活支援期、復興期なども大切な役割を果たすとのこと。特に、被災者の心理的なサポートを行うための傾聴ボランティアなどは非常に重要な役割を果たすとのこと。
私自身、東日本大震災の後、ボランティアとして石巻に行ったことがある。東京から同行したのは、横田基地で働く海兵隊の方々。現地では、被災者の方の話を聞きながら物凄いパワーで瓦礫や土砂を取り除いていた。しかし、一日が終わって被災者の方に言われたのは、「一番うれしかったのは、私たちの話を聞いてくれたこと」とのことだった。
既に震災が発生してから数か月が経っていた中、話を聞く方が少なかった。その中で、外国人を含めたくさんの方が石巻で活動し、自分たちの話を聞いてくれたのがすごくうれしかったと言われたことをはっきりと覚えている。
また、震災が起きた際の障がいを持つ方や外国人等への支援についても勉強になった。
例えば、東日本大震災の時には、津波に対して「高台に逃げてください」と放送が流れたものの、「高台」の意味が分からず多くの外国人が犠牲になったということ。先日の豪雨で鬼怒川が決壊した際にも外国人の方に情報が渡らず取り残されてしまったということ、などのお話を聞いた。
一般質問でも取り上げたように、練馬区にも14,000人、人口の2%が外国人である中で、防災においても、外国人をしっかりと計画に含めて活動する必要がある。今日の李さんの話を伺いながら、災害を身近に感じるとともに、何よりも災害が起きる前にしっかりと準備を整えていかなければいけないと感じた。特に、支援を必要とする方、障がいを持つ方や外国人の方などについて行政としてしっかりと対応できるよう、全力を尽くしていきたい。









