エクアドルでの生活
エクアドルでの活動、最初の頃はホテル住まいでしたが、やはり落ち着かないということで家具付きのアパートを街中捜索。とはいえ、そんな快適なアパートがあるはずもなく、幾つもの物件を巡ってはがっかりする日が続いていました。
そんな中、最後に見つけたのが今住むアパート。ネットも繋がるし、キッチンも大きいし、ここしかない!!と、思ったのですが一つだけ特徴が…
なぜか、壁を含めた部屋全体がパッションピンクに統一されているのです!
最初はそれを理由に断ろうかと思ったのですが、考えているうちに、別にピンクに塗っていけないという規則もないし、誰に迷惑をかけている訳でもない。それをピンクという理由だけに頭ごなしに否定するというのはあまりにも偏狭ではないか、と思うに至り、最終的にこちらにお世話になることにしました。
違う文化の中で生活することで、私の中に知らずに芽生えていた偏見や偏狭な価値観に気づかされるとともに、より客観的に自分自身を見られる気がします。
とはいえ、この環境のせいか、なぜか女子力がアップした気がする今日このごろです。
ワークショップ
今日は他県での実地研修を企画。同僚20人と共に車三台を仕立てて朝7時に出発します。途中、標高4,700mの山道、アルパカの牧場や野生のビクーニャを横目に見ながら目的地へと向かいます。
研修先は地域発展のモデル集落。1970年代にイタリア人の神父がこの集落を布教に訪れた際、貧しさに心を痛め、収入源創出のためにチーズ生産を指導しました。その後、信者の人々が知恵を出し合って事業は拡大を続け、現在では乳製品をアメリカ、ヨーロッパに輸出するまでに至っています。我々が支援する集落はイタリア人神父が70年代に訪れた状況と同じでまだ始まったばかり。これを短い期間で何とか成長させたい、スタッフも少しでも知恵を得ようと、真剣な眼差しで研修に向かいます。
我々のプロジェクトは始まったばかりですが、いつかは今日訪問した集落のように、エクアドルのモデルとなりたい、そんなことを実感した一日でした。
集落への道のり
毎週月曜日は集落でのワークショップ、アンデスの山道を車で一時間以上かけて目的地へと向かいます。
途中では、羊飼いならぬアルパカ飼いの女の子や薪を運ぶお婆さんなどに出会います。
道すがら、少しでも知っている顔に会うと必ず挨拶。世間話をしながら、日々の生活の様子や農産物の生育状況など、彼等の抱える課題をさりげなく把握します。こちらに来て学んだ事、それは地域の課題を知るためには、人々に何が課題であるかを聞いて回るのではなく、日常生活について話を聞く中で、彼等が無意識に感じている問題意識を感じ取ることが必要である、ということです。例えば、「今、どんな問題があるの?」と聞いても、皆さん「特に問題ないよ。」と答えられて終わりですが、日常生活について雑談をする中で、お子さんが予防接種を受けられないで困っている、とか、馬鈴薯が害虫にやられている、等のプロジェクトとして必要な情報が入手できます。
こういうとき、やっぱり頼りになるのはおばさまたち、独自の情報網を持っていて、どこの家で子どもが生まれたとか、どこの家で羊が盗まれたとか、何でも話してくれます。
ひょっとして、僕のことも何でも知ってるんじゃないかと時々怖くなりますが…
日曜日
日曜に入ってようやく水道も復旧、なんとか日常生活に戻ったか…
と安心したら、今度はインターネットがダウン。
どうやら、町全体のネットがダウンしたらしく復旧は月曜以降とのこと。
ネットがないと仕事もできませんが、何かが起こるのが途上国の常、ということで気分転換にマーケットで食材を調達して料理に挑戦。
今週は野菜の浅漬けと親子丼を作りました。
とはいえ、日本と同じ食材が手に入るはずはなく、似たような食材を探します。
きゅうりの代わりはズッキーニ、ナスはエッグプラント、大根はラディッシュ、白菜は名前の分からない何か(笑)、そして、漬物石の代わりには鍋とポットを代用!とってもワイルドですが、出来上がりを試食してみると、まさに日本の味が!
ネットのない中、日本に思いを馳せる一日でした。
水不足
金曜の仕事を終えて家路につく。
「今週も随分働いた、さて、今夜は何を作ろうか?うむ、この疲れた体を癒すには野菜スープでも作ろうか」とつぶやきながら優雅に蛇口をひねる…。
「…。」水が出ない…
「あれ?おかしいな?」まだ余裕を失わずに、再度蛇口をひねる。
「…。」
「も、もしかして。。。」淡い期待を抱きながら、もう一度蛇口をひねる。
「…。」
「えーー!!!まさか水でないの!!!」
この時点で余裕はゼロ、慌てて大家さんに電話をかける。
「おうタケシ、元気か?」「元気じゃないよ!ぜんぜんお水が出ないんだけど!!」「気づいたか、いやー、水不足でさ、今日はこの地域、断水なんだよね、一日ぐらい我慢できるだろ、ワハハハハ!」「ワハハじゃないよ!!お水がないと困るんだけど!!」「わかった、わかった。特別にタンクを一つ送ってやろう、これで明日までしのぐんだ、よい週末を!」ガチャン…
そして、届けられたのがこのタンク。エクアドルでの優雅な土曜日、これ一つで料理もお風呂もトイレもしのぐ事になりました…
宇宙に一番近い山
今日は久しぶりの晴天!
ということで、街からはエクアドルの最高峰、チンボラソ山(標高6,310m)がとても綺麗に見えました。
こちらの人に「世界で一番高い山は?」と聞くと、エベレストではなく、「チンボラソ山!」と返ってきます。「なぜ??」と聞くと「地球は球形ではなく、楕円形であり、赤道に近いところにあるチンボラソ山こそが、地球の中心から一番離れた所にある、つまり、宇宙に一番近いところにあるんだ!」と鼻を膨らませて答えてくれます。。いくらなんでもそんな計算の仕方はないんじゃないか。。と思ったりもするのですが、彼等の郷土愛の深さを目にすると、とてもそんなことは言えず、「なるほど!!」と感心したふりをしている日本人の私でした。。
とはいえ、こんな素敵な景色を見ていると、それだけで幸せな気持ちになれます。