文教児童青少年委員会報告① 練馬区教育・子育て大綱(案)について

先日から議会がはじまりました。 本日は文教児童青少年委員が行われました。今回の委員会では報告事項だけでも合計で16件もあり、祝日の昨日も息子が「あうあー(訳:パパ、何してんだよ、遊ぼうよ)!」とおねだりする声に後ろ髪をひかれながら案件の勉強をしていました。 今回の委員会、主な案件は、 1) 練馬区教育・子育て大綱(案) 2) 幼保小連携推進方針(案)、そして 3) 小中一貫教育の推進方針(案)、に関する報告でした。 今日は「練馬区教育・子育て大綱(案)」についてご報告します。 この大綱、国の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正(平成27年)に基づき、教育に関する目標や施策の根本的な方針について5年程度を範囲として、区でも策定されることになったものです。 昨年の委員会で大綱の素案が報告された後、パブリックコメントを受けて本日の委員会で修正案が報告されました。委員会での主な議論は以下の通りでした。 (詳細は後日公表される議事録をご確認ください) <大綱の位置づけ> 今回、法改正によって、新たに大綱が作られることになりましたが、特徴の一つに、「区長」が教育委員会と協議して作成することになった点にあります。 練馬区にはすでに同様の「練馬区教育振興基本計画」が存在します。この計画、教育の政治的中立性、独立性を担保するために、教育委員会が作成していました。来年度にこの基本計画の見直しを行うことになっていますが、それは大綱に基づいて作成することになっています。これによって中立性、独立性が失われてしまうのではないか、と委員会でも指摘されました。 これに対して、区の答弁は、区が教育委員会と協働することで、「より迅速かつ効果的な対応ができるようになる」、また、教育の独立性についても十分に配慮する、というものでした。 私自身の考えとしては、まず、大綱については教育に関する政治的中立性や独立性が担保されるべきだと思います。そもそも、昨年の条例改正の結果、教育委員会の長である教育長を区長が選任することとなった(以前は教育委員会による選挙の結果選ばれていたが)こと自体が深刻な問題だと考えています。そんななかでいくら独立性に配慮すると言っても、実際には区長の意見がかなり色濃く反映されることになることは間違いないでしょう。だからこそ、これまで通り教育委員会が担うこと、または外部の有識者委員会などによって編成されるべきだと考えます。 <インクルーシブ教育について> 続いて、寄せられたパブリックコメントの中に、区民の方からインクルーシブ教育の視点から学ぶ環境を整えるべきことを加えるべき、という指摘がありました。インクルーシブ教育は、同じ教室や環境で勉強することを通じて障がいがない子も持つ子どもわけへだてなくともに学べるようにするという考え方です。それに対して、区の回答は「取り組みの視点の中に子どもたちが生まれ育つ環境や障がいの有無にかかわらず、等しく公平に質の高い教育が受けられる教育が受けられる環境を整えることが大切」と記述しているというものでした。 しかし、「等しく公平に質の高い教育が受けられるように」というこの回答は、障がいを持つ子どもや外国籍の子どもたちを区別・排除せず、ともに学ぶという考えが抜け落ちており、コメントに対応するものではありません。だからこそ、私はこうした考えをしっかりと含めるべきだと訴えました。 これに対して、区は今後検討するとの回答でした。 後日ほかのテーマについてもご報告いたします。 (写真は今回の委員会の資料です。。。)

2018-08-21T09:41:59+09:002016年2月11日|Tags: , |

文教児童青少年委員会② 地域の中学校を分断する道路建設計画について

昨日の文教児童青少年委員会、報告の一つが大泉第二中学校を分断する道路の建設計画についてでした。 昨年12月、東京都が10年ごとに見直す「都市計画道路の整備方針(案)」が発表されました。これにより、大泉第二中学校の校庭を十文字に貫く補助232号線、135号線が、今後10年以内に工事を開始する「優先整備路線」に新たに選ばれました。 道路が中学校の校庭を分断することについて、練馬区は平成25年、135号線によって校庭を東西に、縦の分断を想定した素案を公表しました。この素案では、道路の上に蓋をかぶせるようにして、人口地盤や渡り廊下をつくることになっていました。 しかし、今回の計画ではさらに232号線によって南北へも分断されることになります。道路が学校を東西南北、十字に分割する計画が現実味を帯びる中、練馬区では、新たにこの問題を検討する有識者委員会を設置することになりました。 道路に関する問題は「環境・まちづくり委員会」が主として担当しますが、文教児童青少年委員会では、参考資料として、有識者委員会を設置するということ、そしてそのための住民説明会を開催するということが報告されました。 本委員会では、道路建設よりも子どもたちの教育環境を守ることが大切である、という視点で、共産党、市民の声、そしてオンブズマン練馬が質問や意見表明を行いました。それに対する区による主な説明は以下の通りです。 「<有識者委員会の構成、内容について> 大学の教授、特に都市計画、教育、建築の専門家を中心に現在メンバーを選考している。委員会の構成は合計で7-8名を想定している。分野ごとの人数配分は未定である。 <今後のあり方> 有識者委員会からの助言を受けた「取り組み方針」を策定する予定だが、その時期は未定である。「取り組み方針」に基づいて住民の方と意見交換を行う。 <説明会の内容について> 有識者委員会設置に関わる説明会は2月12日、13日に勤労福祉会館で行う。同説明会には、土木部を中心に教育委員会や関係機関も参加する。 <教育委員会の考え> 前提として、道路は必要だと認識する。しかし、同時に子どもたちの教育環境にも十分に配慮する必要がある。だからこそ、道路と教育環境の確保を両立することを検討する有識者委員会からの助言に期待している。」 そもそも、大型道路が校庭を4分割する計画において、子どもたちの教育環境を守るということ自体が不可能だと思います。 大泉第二中学校は練馬区で最も歴史のある中学校の一つで、創立してから約60年が経っています。中学校の特色として大きなグラウンド、そこを活用した部活動があります。学校選択制度がとられる中、こうした特色を希望して大泉第二中を選ぶ児童もいます。各学校の特色、個性を伸ばすことの重要性を練馬区が訴え続けてきた中、校庭を4分割してしまう大型道路を建設するということは、これまでの主張そのものを否定するものです。だからこそ、道路建設は全面的な見直しを行うべきであり、そのために今後も住民の方とともに議会の中でしっかりと活動を続けていきたいと思います。 *写真は平成25年に練馬区が作成した素案の一部です。こちらは135号線のみを想定しています。今回の計画では、さらに補助232号線が東西に通ることになります。 出典:http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/machi/kokyokotsu/kunai_doro/ooizumi_hojyo135/index.files/michimachi6.pdf

2018-08-21T09:41:59+09:002016年1月27日|Tags: , |

文教児童青少年委員会① 学校用務業務の委託について

本日、文教児童青少年委員会が行われました。この委員会、扱う分野は子育てから教育まで多岐に及んでいて、毎回非常に多くの報告がなされています。今回も合計で12件の報告事項がありました。 主なものは以下の通りです。 1. 学校用務業務委託候補事業者の選定について(学校用務の委託) 2. 大泉第二中学校の教育環境保全と都市計画道路の整備に関する有識者委員会の設置について(大泉第二中の校庭を分断する道路計画) 3. 学校支援事業の充実について(生活保護世帯、準保護世帯の中学3年生に対する学習支援) 今回は第一の「学校用務業務委託候補事業者の選定」についてご報告します。 これは、小中学校に配置する用務員の業務をアウトソーシング、外部委託しようとするものです。練馬区には合計で99の学校がありますが、すでに50の学校で委託が行われており、4月から更に6校で開始しようとしています。 学校用務の委託、第一にはコストの削減を目的としています。 「平成27年度練馬区人事行政の運営等の状況」によると、年収ベースでは用務員が公務員の場合、給与は民間の2.26倍という結果になっています。 数字だけを見ると、委託にしてよかったという話になりますが、実態を見ると、用務員に求められる業務は変わっていない一方で、給与のみが下げられている、つまり働く方が犠牲になってコストの削減がなされている状況です。 もう一つ、大きな問題として、契約に関わるものがあります。民間との契約では、行政と民間企業が仕様書を作成し、請負委託契約を結ぶことになっています。その際、本来は労働者、つまり用務員の方は会社からしか指導、命令を受けてはいけないのですが、業務が学校の中で多岐にわたるなかで、実態としては、派遣された学校から指示を受けて働く、いわゆる偽装請負が全国の自治体で問題となっています。 こうした観点を踏まえ、以下のような質問を行いました。(すべて概要です。正確には今後公表される議事録をご確認ください) 「<質問 岩瀬> 業務委託によって仕事は同じであるにもかかわらず、働く方の労働条件が大きく悪化することが懸念される。そこで、まず確認したい。現在、業務委託をされた民間企業で働く方のうち、正規職員と非正規(パート)等の比率は? <回答> 各学校で正規職員一名と非正規職員一名の二名体制で行っている。 <質問 岩瀬> 以前、学校公開で訪問した学校において、用務員の方が教員から日常的に指示を受けているのでは、という印象を受けた。そのようなことが発生しているのか? <回答> いわゆる「偽装請負」が起こらないよう、学校側には十分に指導している。基本的には学校から用務員に指示を行うことはない。ただし、電球を変えるなどの突発的な業務についてはこの限りではない。 <質問 岩瀬> 内閣府が作成した「地方公共団体の適正な請負(委託)事業推進のための手引き」(平成26年改訂)には、学校用務員の業務については、業務責任者を配置し、彼等が毎週学校を訪問し、学校と打ち合わせを実施する。そして打ち合わせを通じて、調整を行う」とされている。練馬区ではこのような取り組みを行っているのか? <回答> 業務責任者を配置し、定期的に学校と打ち合わせを実施する中で調整を行っている。 <意見 岩瀬> そもそも学校用務員に求める業務は非常に多岐にわたり、それは現場である学校との協議や指示を受けることを前提としている。コストを削減するために、外部に委託し、その結果として、名目上は学校からの指示を受けることもできない、というのは制度としても矛盾している。だからこそ、用務員制度の委託の是非そのものについて検討してほしい。」 私自身の考えは、コストの削減は大切ですが、それよりも大切なのは、行政が果たすべきサービスの質を維持することであり、同時に、そこで働く方々の労働条件をしっかりと守ることだと思います。だからこそ、今回の用務員の問題にしても、現場で働く方に犠牲を押し付けて、コスト削減を行うというあり方そのものを問い直すべきだと思います。

2018-08-21T09:42:00+09:002016年1月26日|Tags: , |

練馬区図書館での指定管理業者の導入について

今回の議会、文教児童青少年委員会では、平和台図書館について指定管理業者の選定が議論となりました。6月の議会で指定管理業者を導入すること自体は決定したのですが、それを受けて、今回の議会で指定管理業者を決定する、という流れです。 まず、私の考えは、図書館の目的は、国民が文化的な生活を送るためのインフラを提供することであり、指定管理業者による運営には馴染まない、ということです。 一般的に、指定管理業者に運営を任せることによるメリットとして、業務の効率化とコストの削減があげられています。 業務の効率化について、そのモデルとも言われている佐賀県の武雄市にある通称ツタヤ図書館を視察しましたが、そこで見られたのは、図書館が本来果たすべき役割よりも、目に見える成果である来場者数を増やすことに重点が置かれている、そんな姿でした。 コストの削減についても、大半は従業員の賃金を抑えることによって実現されています。指定管理業者が運営する図書館は、働く職員の方についても非正規の契約が多く、給料も抑えられています。2013年には足立区の図書館では職員の方が実質、時給180円で働かされていたという事件も起きています。(AERA「代替時給180円 図書館で行われた低賃金労働」 ) そんな中、今回は平和台図書館の指定管理業者の決定が行われました。応募団体5社の中から1社が選ばれたのですが、今回、受注した企業の能力にも疑問を感じています。 同社はこれまで、当該の図書館で窓口業務を担当してきたのですが、一方で、同社が単独で指定管理業者として図書館の運営を行った実績はほとんどありません。指定管理業者になると、施設の維持管理も行うのですが、これまでは共同事業体として維持管理は他社に任せる、という形をとってきました。唯一の例外が区民センター内の図書室、しかし、これは文字通り一つの部屋であり、図書館とは大きく異なります。 こうした状況を受け、私たちの会派では今回の議案に反対しました。しかし、委員会では与党による賛成多数となりました。 しかし、大切なのはこれからです。実際に平和台図書館が、指定管理業者によって、利用する方にとっても、そこで働く方々にとっても、望ましい形で運営されるように、しっかりと見守っていきたいと思います。(写真は視察した武雄市図書館)

2016年の練馬区の中学校の選択制度の抽選状況について

先日の文教児童青少年委員会では、来年4月に向けた、区内の中学校選択制度の募集状況についても説明があった。 中学校選択制度、これは生徒が自分の好きな中学校を選択できる制度で練馬区では10年ほど前から導入。この制度、生徒が学校を選択することを通じて学校ごとの特色を出すことを目標の一つにしていた。 しかし、10年が経つ中で様々な問題も発生している。その代表的なものが人気校と不人気校の格差で、人気校では、域外から数百人が入学を希望する一方、不人気校では、域内の生徒が外部の学校を希望するため、生徒数が減少している。例えば今年は、最も人気がある学校では学区外から94人が入学した一方、人気のない学校では、大半が外の学校を希望し、その結果、学区内の生徒180人のうち、わずか30%しか学区内の学校には入学しなかった。各校の予算は生徒数によって配分されるため、生徒数の偏りにより、学校間で多くの格差が発生するという問題もある。 こういった状況を改善するために、練馬区では今年度から学校選択制度にかかわる新しい仕組みを導入した。これまでは、各学校の受入人数枠の二倍まで生徒の受入を行ってきたが、今後は、枠の2割を上限として、それ以上の場合は抽選とした。例えば、これまで受入人数枠が40名の場合は80名までを受け入れてきたが、これからは48名までとなり、それを超える分については抽選となる。 委員会では、10月末時点での選択希望状況の報告があったが、昨年は抽選が行われた学校が2校だったのに対して、今年はなんと12校、練馬区には34の中学校があるので35%もの学校で抽選が行われることになる。 確かに、学校間の格差を埋めることは重要である。 しかし、その一方で、短期的には希望する学校に通えない生徒が増えることになる。 そこで、委員会では、希望する学校へ行けなくなる児童へのケアについて質問、要望を行った。また、いじめなどにより、指定校以外の学校に通いたい児童への対応を充実させるためにも、すでに存在する「指定校以外を希望する際の申請制度(8条申請)」を周知することの重要性も同時に訴えた。 これに対して、練馬区では、今後、教師やスクールカウンセラーを通じて、児童の心のケアをより一層充実させるということ、また、「指定校変更の申請(8条申請)」については、より周知を進めるために、今年度から学校案内に記載したほか、今後も学校説明会などの場での積極的な周知を行うとのことだった。 制度を変えることによって、一番影響を受けるのは児童やその家族である。だからこそ、当事者の方々が翻弄され、苦しんでしまうことのないよう、今後もしっかりと委員会や議会の場で発言をするとともに、みなさんと情報を共有していきたい。

2018-08-21T09:42:04+09:002015年11月26日|Tags: , |

練馬区のいじめの状況文教児童青少年委員会

昨日の文教児童青少年委員会、2014年度の練馬区立小中学校でのいじめの状況の調査結果について報告があった。 この調査、毎年実施され、6月に公開されている。しかし、今年7月に岩手県の学校でいじめによる自殺が起こったことから、再度調査結果を精査することになった。今回の再調査、実際に子どもへの聞き取りを行うのではなく、前回の調査結果を再度見直し、いじめとは認識されていなかった行為についても広くいじめと認識することにしたとのこと。 報告では、小学校でのいじめの認知件数は197件、7月の調査に比べて12件増加し、中学校では185件だったのが194件へと増加した。つまり、7月時の発表に比べて把握件数は小中学校で5%増えたことになる。 いじめの範囲を広げたことで認知件数が増えたこと自体は前進である。しかし、この調査ですべてのいじめが把握できているかについては疑問を感じる。 例えば、中学校でのいじめの発見のきっかけを見ると、教職員等による発見が最も多く、全体の84%を占めている。一方で本人からの訴えはわずか8%である。 つまり、いじめを受けていた児童の90%以上は自分からではなく、教職員や周囲が気づいて初めて認識されている。逆に言えば、周囲が気づいていないだけで、現在も多くの児童がいじめで苦しんでいる可能性も非常に高い。 いじめとは、周囲ではなく、被害者の児童がどう感じるかが重要な判断基準である。 周囲にとってはただの冗談だったり、何気ない一言であったとしても、当人にとっていじめと感じることがあれば、それだけでいじめになる。 だからこそ、委員会では、いじめの早期の把握のためにも、周囲が気づくことだけでなく、教師が日常的に児童からの相談にのるなど、学校等で、本人が相談しやすい環境を作ることを要望した。この要望に対して、区として今後検討を行うとのこと。 いじめで苦しむ児童がいなくなるよう、行政でしっかりと対応する必要がある。今後も議会での活動を通じて、いじめ問題に対してしっかりと声をあげていきたい。

2018-08-21T09:42:04+09:002015年11月25日|Tags: , |

子どもの虐待に対する福岡市の取組~虐待は家族だけの問題ではない~

視察最終日、福岡市のこども総合相談センターを訪問。 同センターは子どもの虐待に関わるすべての問題に総合的、一元的に対応していて、弁護士も常駐しています。虐待の相談から子どもの一時保護、さらにその後のケアまで総合的に一か所で担っている機関は少なく、全国の自治体が視察に来ています。 最初に子どもへの虐待の現状について伺いました。センターへの虐待相談数は増加傾向にあり、平成26年度は過去最高の718件となっています。内訳は1)放置的虐待(ネグレクト)(39%)2) 身体的虐待(33%)、3) 心理的虐待(27%)、4) 性的虐待(2%)です。 加害者は、実母が最も多く66%、次いで実父が22%となっています。継父は5%程度ですが、重篤な虐待を行うのは継父が最も多い状況です。 こうした状況を踏まえ、センターが抱える課題、対応について話を伺いました。 1. 赤ちゃんの泣き声による通報について 近年、最も多い通報が赤ちゃんの泣き声によるもの、いわゆる「泣き声通告」です。センターでは通報を受けた場合、すべての家庭を48時間以内に訪問し、虐待の実態を把握することになっています。ただ、泣き声通告の場合、そのほとんどはまず問題ないもので、児童相談所からの訪問はかえって親の育児不安を高めてしまうこともあります。 例えば、訪問したことで、周囲の住民から虐待していると思われたとショックを受けてしまい、子どもが泣き出したら口に布を入れてしまうとか、外にでるのを怖がるようになる、といったケースもありました。 そのため、センターでは保護者への支援的アプローチを強めるために、民間NPOへの委託による「子育て見守り訪問員」を派遣することにしました。これによって、児童相談所職員の訪問より、受け入れる保護者への負担が軽減されると共に、児童相談所職員がより重篤なケースに集中することができるようになったとのことです。 2. 虐待を受けた児童の保護について 虐待の恐れが高い児童に対する強制保護、平成26年度は約80件に達しています。欧米では強制保護は裁判所の決定ですが、日本では行政処分として行っています。強制保護、本人も親も虐待を否定する場合は非常に難しいとのことです。 一例として、性的虐待を受けている中学生の女の子のケース。本人も親も虐待を否定。しかし、虐待の可能性が非常に高いと判断し、強制保護を実施。最初の数か月、本人は家に帰りたい、と話していましたが、9カ月後、ようやく親からの虐待があったことを認めたそうです。 市ではこうした事態に対処すべく、法医学専門家との連携と弁護士の採用を開始しました。 法医学専門家は、虐待の恐れのある子どもを実際に診察しています。例えば、子どもの体にあざがあった場合、それが友達同士で行われたものか、大人によってつけられたものか判断し、また、赤ちゃんの揺さぶりについても専門的に判断を行っています。同様に、子どもの利益を守る法的枠組みをしっかりと提示し、職員にアドバイスするために弁護士を採用しました。 3. 虐待をなくすために必要な事 虐待が増加した背景は1.貧困、2.ひとり親の増加、3.親の心身疾患、4.地域の繋がりの希薄化があるとのこと。特に、強制保護の内訳は7割が片親家庭とのことでした。 こうした中、虐待をなくすために必要な事は、親と子だけの問題として捉えるのではなく、地域としてどうやって支えていくか、ということでした。 私も以前は、子どもに虐待をする親の気持ちなど想像もできませんでした。しかし、実際に子どもができ、毎晩夜泣きをし、ご飯も食べずに一生懸命つくった離乳食はぶちまけられ、睡眠不足でオムツを代えたと思ったらまたうんち・・・という日々を重ねるにつけ、虐待をしてしまう親御さんの気持ちもなんとなくわかるようになり、彼らを一方的に責められない、そう思うようになりました。私の場合は家族がいて、近所には付き合いが深くなんでも相談できるパパ友・ママ友たちもいる。しかし、子ども(たち)と親一人で逃げ場の無い生活していたり、貧困から抜け出せなかったりでどうしても追いつめられてしまう、そんな状況もわかります。 だからこそ、虐待の問題については、家族だけの問題ではなく地域全体で取り組むことの重要性を認識しつつ、区政の中で、根本的な解決策をしっかりと考えていきたいと思います。

2018-08-21T09:42:04+09:002015年10月23日|Tags: , |

武雄図書館の感想図書館ではなく、お洒落な本屋カフェ

本日は佐賀県の武雄市立図書館を視察。この図書館、TSUTAYAを経営するカルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)が指定管理業者になって運営を行っています。この図書館、2013年の開館以来、様々な問題が噴出しています。その中でも特に大きな論点は以下の通りです。 1)図書館のあり方 そもそも図書館は何のためにあるのでしょうか? 図書館法では、図書館の役割は必要な資料を収集し、整理し、保存して、人々の教養、調査研究等に資することとあります。しかし、TSUTAYA図書館ではここに謳われた本来の役割ではなく、集客や利便性、経済効果のみに重点が置かれていて図書館機能が十分に果たされていません。 2)選書について 武雄市がCCCに委託した際、1900万円が新たな図書購入のために計上されました。その際の選書はCCCが行い、調達もCCCの子会社から行いました。 図書館機能の核である選書を指定管理業者が行ったこと自体大きな問題です。さらに、購入された書籍には2001年の公認会計士試験や北海道の美味しいラーメン2002年など、古すぎて役に立たないものやそもそも図書館には不適切なものが大量に含まれていました。この件については、2015年9月にCCCも正式に謝罪をしています。 3)分類について 全国の図書館では十進分類法を使っていますが、TSUTAYA図書館では独自の分類を行っています。その分類が非常にわかりにくく、さらに間違っています。例えば、武雄市同様にCCCに委託された海老名市立図書館では、「出エジプト記」が旅行コーナー、吉本ばななの「とかげ」が昆虫コーナーにあるなど冗談のような間違いが指摘されています。 4)情報管理 TSUTAYA図書館では、図書の貸し出しにTSUTAYAカードも用いています。その際、貸出履歴を含めた個人情報がすべて漏れてしまうのではないかといった不安の声があがっています。 5)行政による民業圧迫 借りる際にTSUTAYAカードを用いると、1日あたり現金にして3円分のポイントが付与されます。行政が行う図書館のサービスで特定企業の便益を提供することは大きな問題です。また、館内では大量の雑誌や新刊本の販売も行なっていて、そのことが地元の書店などに対する圧迫となっています。 そんな中、本日の視察が行われました。 他の自治体と共同での視察で時間が非常に限られていたので、私からは特に、武雄市が考える図書館のあり方について質問を行いました。 そして、話を聞く中で強く感じたのは、「これは図書館ではない」ということ。 説明では、前市長が武雄市図書館の目標としたのが「代官山の蔦屋書店」、間接照明があたるおしゃれな空間でカフェを飲みながら本を読む姿、とのことでした。さらに、TSUTAYA導入の目的は「本を読まない方、図書館に来ない方に来てもらうこと」とのこと。 また、人口が5万人の市で、来館者数が委託前の2011年度は25万人だったのが、2014年度は80万人に達していること、県外からの来客も増え、経済効果は20億円に達していること、また、図書館の近くの地価も上がっていることなど、次々と説明がありました。 しかし、これは図書館が目指すべきことではありません。町おこしや経済効果の向上など、その他の事業でやればいいこと。それによって本来の図書館機能がおざなりになっては本末転倒です。 実際、2011年度との比較で来客数は3倍以上になったにも関わらず、貸し出し数の伸びはわずか15%。決して成功しているとは言えません。また、来客数そのものも、オープン初年の一昨年の92万人に比べて12万人も減少しています。 図書館の中を歩いても、「これは図書館ではなく、カフェがついたおしゃれな本屋」という印象を受けました。 まず、入った瞬間に大量の本が平積みされていましたが、それを手に取ると、すべて販売のもの。そして、館内の図書検索機をチェックすると、最初の画面で、「本の検索」と「本の購入」が同じサイズで案内されていて、さりげなく本の購入を進められている気が…さらに、販売コーナーと貸出コーナーの境が非常にわかり難い。こうしたことすべてが本を購入させることを目的としている気がします。 そして、問題の本の陳列。迷宮のようになっていて、どこに何があるのかわかりにくい。特に上の書架、「飾り棚」と呼ばれていますが、あまりに上にあって手が届かないばかりか、書名すらも読めません。さらにこの「飾り棚」、名前の通り、本を埋めることを目的としていて、分野と内容が全くあっていない。例えば「ロビンソンクルーソー」などの児童書が、なぜか「生活・実務」のコーナーで置かれていました。 視察の感想、武雄市図書館は「図書館」ではなく「カフェのついたおしゃれな本屋」であり、これが図書館のモデルとは決していえません。そもそも、図書館の目的は、国民が文化的な生活を送るためのインフラを提供することであり、指定管理業者への委託には馴染まない、ということでした。 練馬区でも指定管理業者の導入が進んでいますが、そもそも図書館の目的は何か、ということを鑑みると、利潤を追求する民間企業の運営には馴染まないと実感しました。

2018-08-21T09:42:04+09:002015年10月22日|Tags: , |

練馬区文教児童青少年委員会視察長崎県佐世保市の保幼小連携の取組

今日から所属する文教児童青少年委員会の視察。二泊三日で長崎県佐世保市、佐賀県武雄市を訪問します。内容としては、佐世保市では保幼小(保育園、幼稚園、小学校)連携の取組、武雄市では図書館の民営化(ツタヤ図書館)と学校のICT化の状況を調査することになっています。 一日目の今日は佐世保市。 まず、朝の7時半に羽田空港に集合ということで5時40分の電車に乗るところから始まります。しかも早朝なのでバスもない、ということで家を出るのは5時20分、そしてそこから逆算すると起きるのは5時前。朝の駅頭挨拶で早起きには慣れているつもりでしたが、さすがにやばい…と、思い前日から3つの目覚まし時計を用意。すると逆に4時半には目が覚めてしまう。。。なんと損な性格だろう、と思いながら眠い目をこすりながら駅に向かう私。 そして、佐世保市。私自身、小学校から中学校にかけて合計6年間を九州で育ったので、初めてだけどなんだか懐かしい気が… 訪問したのは、佐世保市の幼児教育センター。佐世保市は保幼小の連携のモデル都市と言われていて、全国の自治体が視察に来ているとのこと。 そもそも保幼小連携に必要性は、保育園・幼稚園から小学校に上がる際の子どものケアや、保育園、幼稚園から学校への情報伝達がうまくいっていないという問題意識の中で唱えられたものです。 例えば、幼稚園や保育園から小学校に対して就学前の子ども達の情報がきちんと伝えられていないということ、児童から見た時に、就学前に将来入学する小学校の児童とのつながりが少ないということ、また、保護者の立場として、入学までにすべきことがわからず不安、といったような問題があります。 そうした中、佐世保市では市を挙げて三者間連携のシステム化に取り組みました。その中で、まず、横断的な保幼小連携推進協議会を作成し、そのなかで各機関が定期的に意見交換できる機会を設けました。そして、その協議会が中心となって、連携を進めるための指針となる保幼小連携接続カリキュラムを作成しました。また、園児にたいしては、カリキュラムに基づき、小学校に入学する前後それぞれ6カ月を「接続期」として、この期間に「生活する力」、「かかわる力」、「学ぶ力」を伸ばすための取組を開始しました。また、小学校や他園との交流を定期的に行うことで子ども達の不安を取り除くための取組を組織的に行っています。 練馬区でも保幼小連携の必要性は長く訴えられていますが、システム化するには至っておらず、連携は各校長の独自性にゆだねられているのが実態です。そうした中、市を挙げて保幼小の連携を深めるべく、委員会を設置し、さらにカリキュラムも作成している、ということは非常に勉強になりました。 実際に施設を見る中でも、ちょうど小学校を使った就学前健診が行われていたのですが、子ども達が楽しそうに小学生と遊んでいる姿を見て感銘を受けました。今日の視察を参考に、練馬区でも委員会の活動の中で努力していきたいと思います。

2018-08-21T09:42:04+09:002015年10月21日|Tags: , |
Go to Top