決算審議、子ども家庭費では保育園に人件費として支払われる委託費の多くが他の用途に使われている現状を指摘しました。

園の運営費である「委託費」、こちらは他の費目への弾力的な運用が認められています。しかし、委託費の8割以上が人件費として払われているにもかかわらず、実際にはその多くが他の費目に転用されている現状があります。

先日、複数の保育園を運営していた「コスモズ」の補助金の不正受給が大きな問題に。その中で、同園では委託費のうち年間1億円近くを本部経費として流用、同社役員は3300万円もの報酬を得ていた一方、保育士の人件費は年350万円程度だったことも判明。つまり人件費として払われた委託費の多くが役員報酬に消えていました。https://www.tokyo-np.co.jp/article/267710

【練馬区でも人件費率3割代の園が4園も…】

こうした中で、東京都に提出されている練馬区の100を超える私立園の最新の決算書を調査しました。令和3年度において本来8割近くであるべき人件費率が3割代の園も4か所存在、そのうち一か所は人件費率がわずか31.5%。人件費率が7割を超える園も多数ある中で、何がこれほど違うのでしょうか。最大の違いは「その他の活動による支出」の費目です。人件費率が低い園では、委託費全体の4割近くが

「その他の活動」として支出されていて、1園で年間8千万円近くにおよぶ園も。
もちろん、こうした園でも最低賃金や人員配置などの最低基準は満たすものの給与や人数も低く抑えられています。人件費として保育園に払っている費用の多くが区外へ、あるいは他の事業に流出していることになります。

【なぜ人件費率が低いの?】

保育士の配置基準では特に4歳から5歳では30人を1人の保育士が見る事になっているが、そんなことができるわけはありません。これまで何度も訴えてきましたが、全国で配置基準の変更を求める「子どもたちにもう一人保育士を」運動も拡大しています。
実際には各園が独自に保育士を加配し、それが人件費率の向上にもつながっています。人件費率が低い保育園ではもちろん法の配置基準は満たしてはいますが、他園ほど多くの保育士が配置されていない、という実態もあります。

【練馬区でも対応を!】

委託費の弾力運用は、あくまで国が通知で認めているものなので、自治体が独自に制限することは可能です。例えば世田谷区では、開設2年目以降の園で人件費比率が5割を下回ると独自の補助をせず、その結果、ほとんどの保育園が人件費比率をクリアしています。練馬区でも同様の取組をすべきだと思います。