「ねりま9区みんなで選挙(ねり9)」主催のイベントに参加。立教大学の準教授で一般社団法人つくり東京ファンド代表理事の稲葉剛さんのお話のあと、立憲民主党の山岸一生さん、弁護士の野口景子さんも加わったパネルトークが行われました。皆さんの意見、とても勉強になりました。 1. “見えない“ ホームレスが増えてる? 稲葉さんのお話では、近年、年末年始になるとホームレスが急に増加するとのこと。普段はネットカフェなどで暮らす方が仕事が切れてしまい路上生活になってしまうからだそうです。現在、都内の路上生活者の方は1,100人程ですが、いわゆる「ネットカフェ難民」と呼ばれる方は4,000人以上(2017年)に達し、そのうち20~30代が5割を占めるそうです。 2. 家がないってどういうこと? 家(住所)がないことの一番の問題は、履歴書が書けないこと。求職活動をしても住所がないことで仕事に就けないことが多いそうです。また、本来あってはならないのですが、住所がないことで生活保護などの公的サービスから排除されることも多くあるとのこと。本人にとっての精神的なダメージも大きく、親や友人との人間関係も壊れてしまうことが多いとのことでした。ホームレスに至らなくても、低所得層の方の8割近くは親と同居せざるを得ず、孤立して引きこもりになってしまう方も多いとのことでした。 3. 何が問題なの? 稲葉さんによると、行政による支援の大きな問題の一つは、住まいの確保が福祉の観点からかけていることだそうです。福祉政策は厚生労働省が、住宅政策は国土交通省が担っていますが、両者の連携が薄いこともあり、社会保険や生活保護中心の支援となっており、住宅政策は基本的には中間層の持ち家取得支援に資源が集中しています。2017年には空家を利用した空家活用型住居セーフティネットが導入されましたが、2017年に開始したものの現時点でも登録は東京都でもわずか1575件ととても活用されているとはいえません。 結論:ハウジングファースト(まずは住まいを!)! ヨーロッパでは「福祉は住居に始まり、住居に終わる」と言われており、福祉政策の中心に住宅の確保があるとのこと。日本でも行政の縦割りを超えて、公営住宅の拡充や民間賃貸住宅入居者への家賃補助制度の導入などが必要とのことでした。 また、山岸さんのお話では社会全体で住まいがかつては「持ち家」中心だったのに対して、現在は「賃貸」が中心になろうとしているにもかかわらず、いまだに政府の支援は「持ち家」中心の考えから抜け出していない。政府として住宅に関する考え方を変えて、賃貸でも老後でも安心して暮らせるようなモデルを作るべきとのことでした。 野口さんも弁護士として活動する中で、「政治が家族に頼りすぎている」ということと「住まいは個人の甲斐性で!」という考え方が強すぎるということを感じているとのことでした。 欧米では「ハウジングファースト(まずは住まいを!)」の考え方で、最初から人権やプライバシーに配慮した形での支援が行われます。他方で、日本ではまずは施設に入ることが求められ、相部屋で劣悪な環境を強いられることも多数見られています。持ち家から賃貸へとライフスタイルが変わる中で、国も賃貸を前提とした支援を行うべきですし、地域にあっても区営住宅などの入居要件の緩和や空家等による対策が必要だと改めて思いました。