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ブログ2023-02-06T17:39:37+09:00

議会の在り方について② 50年ぶりの練馬区議会議長への不信任案提出

定例会の最終日、かしわざき強議長(自民党)への不信任決議案を5会派共同(共産党、生活者ネット、市民の声ねりま、ふくしフォーラム、オンブズマン)で提出しました。
練馬区で議長に対する不信任決議案が提出されたのは1964年、東京オリンピックの年以来となります。

なぜ、50年以上に亘って行われなかった不信任決議案を敢えて提出したか、それは今回の事件は、単に会派間の対立の問題ではなく、議会制民主主義の根幹に一つである「議会での発言の自由」が奪われてしまうかもしれない、そんな危機感があったからです。(詳細は以前の投稿をご覧ください)

共産党と公明党の議論に端を発した一連の流れの中で、議会の運営上、大きな問題がありました。1つは「事実無根の発言がある」と「全く事実」という2つの意見が出ている中で、事実関係を調べもせず、「全く事実」という一方の意見だけを取り上げ、強行に採決したことです。もう一つは、2名から動議が出されていたにもかかわらず、それを無視したことです。
なぜ採決を急ぐ必要があったのでしょうか?当該の会派を除く議員は、その場では、問題となった事案すら知りませんでした。もちろんその真偽を確認するすべも、材料もありませんでした。その段階で一方の発言の取り消しを求めるべきか、判断しようがない。判断していいはずがないと思います。

そして、それを多数決で決議し、共産党議員に対して発言の取り消しを迫った。しかも、それを議会の意思として決しようとした、大変重い行為でした。これは自由な言論と公平・公正な運営を軸とする議会としてはあってはならない行為です。

与党は、「その後の幹事長会で事実関係をていねいに検証した」と主張しています。しかし、それは採決のあとでしかありません。しかも、幹事長会で確認された事実とは、全体の一部でしかありません。こうした議会運営が認められるのであれば、真偽に関わらず、今後、どのような発言であろうと、動議によって撤回させられてしまう、そんな状況にもつながります。

そのため、野党5会派として、この間、議長に対して動議の撤回、取り消しを含む議事のやり直しを求めてきましたが、受け入れられることはなく、最終手段として不信任案を提出することになりました。

最終的には、自民、公明、民進、維新による反対多数で議長の不信任案は否決されました。
しかし、それでも、二度とこうしたことを繰り返してはならないという意思を明確にできたこと、そして今回の野党共闘を通じて議会の状況を多くの方に知っていただいたということ、大きな意味があったと思います。

議会の状況は厳しさを増しますが、これからもしっかりと向き合っていきたいと思います。

2016年6月17日|Tags: , |

文教児童青少年委員会のご報告② 練馬区非常勤職員による給食費と教材費の着服について

昨日の委員会では、区内の小中学校に勤務していた職員が教材費と給食費を着服していたことが報告されました。被害額はおよそ710万円に上るということです。
報告では、同職員は石神井南中学校(平成24年4月~平成28年3月)と関町小学校(平成28年4月~6月)の在職中に、複数回にわたって学校の口座に入金された教材費や給食費を65回にわたって着服とのこと。同様に、校長室から印鑑を無断で持ち出し学校の口座からも引き出していたとのことです。被害額は石神井南中学校で約371万円、関町小学校では345万円にのぼります。職員は「すべてパチンコに使った」と話しているそうです。
この事件、着服した職員の責任は勿論ですが、学校や練馬区が、なぜ4年以上にもわたる着服に気づけなかったのか、管理体制にも問題があります。
着服は今回が初めてではありません。平成25年にも、職員による学校の給食費(1082万円)の横領があり、それを受けてチェック体制の構築、記帳の徹底、ガイドラインの策定などの対策が取られていた中で、なぜ起きてしまったのか、委員会でも多くの質問がなされました。
区の認識は、チェック体制が実際には機能していなかったことが大きな原因の一つであるとのことでした。
本来は、金銭管理は複数の職員によって行われるべきです。しかし、練馬区内では事務職員が一人しかいない学校も31校あり、こうした学校の多くでは一人が管理を担っているのが実態です。
練馬区は対応策として、練馬区では調査委員会の設置、教職員が現金を取り扱わずに金銭の会計処理ができるシステムの構築、学校および教職員の管理監督責任の徹底をあげており、次回の議会会期中に報告するとしています。
こうした事が二度と繰り返されることのないよう、委員会の中でもしっかりと取り組んで行きたいと思います。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2799103.html

一般質問のご報告③ 待機児童対策について

先日の一般質問、三番目のテーマとして、練馬区の保育園の待機児童への取組について取り上げました。

練馬区は昨年の段階で今年4月までに新しい基準(新基準)での待機児童をゼロにすることを目標としていたのですが、実際には166名もの方が待機となってしまいました。このことを受け、待機児童となってしまった方への対策や、来年度へ向けた取組について質問しました。
練馬区の回答は待機児童が発生したことについては、自らの責任や原因を認めることなく、国に押し付けるものもあり、不十分なものでした。また、待機児童の範囲についても、費用負担が厳しいことを理由に認証保育所に預けられない方を待機児童から外すなど、決して一人ひとりの事情に寄り添ったものとは言えません。一方で、今後の緊急対策や来年度への取組については、事実上の緊急対策も含んでおり、ある程度前向きな回答だったと思います。
以下が質疑の要旨となります。(正式なものではありませんので、誤りがある可能性もあることをご了解ください。)

<質問1>
練馬区は今年の4月までに新基準の待機児童をゼロにすると表明していました。それが実現しなかった原因、責任を明らかにすべきです。

<回答>
これまでの三年で、定員枠を都内最大となる二千六百人以上増やしました。加えて、独自の幼保一元化施設である「練馬こども園」を開設し、九百人以上の枠を設定しました。
本来、待機児童対策をはじめとする子育ての支援は、自治体の保育行政だけでなく、育児休業などの労働政策や児童手当などの所得政策などを含めた総合的な政策として国が取り組むべきものです。何故、国を批判するのではなく、微力ながらこれだけ頑張っている練馬区を責められるのか、全く理解出来ません。本末転倒ではないかと思います。

<質問2>
新基準での待機児童は、育休を延長した方、また自宅から2kmの範囲内に認証等の認可外の保育施設に空きがある方を除いたものです。
育児休業を望まない、あるいは取得が困難なために保育所を申し込んだけれど空きがなく、やむを得ず育児休業を取得した方、あるいは、近くに認証保育所は空いているけれど費用負担が大変だから預けられない方も、待機児童として数えられなくなっています。
新基準だけではなく、やむを得ず育児休業を延長した方や費用負担など切迫した理由で認可外施設を選べなかったケースを含め、待機児童解消の取組を進めるべきです。

<回答>
練馬区は待機児童を国の新基準に基づいて算定しています。そもそも待機児童の捉え方について、大都市特有の多様な保育ニーズに応える認可保育所以外の保育施設を、国が認めてこなかったことこそが問題であり、国の新基準は、ようやく実態に追い付いてきたことを示すものと考えます。

<質問3>
練馬区は新基準で待機児童となった166名について、本当に困っているのはフルタイムの方を中心に全体の3分の1程度であるかのように説明しています。しかし、フルタイムでなくても、生活保護を受給中の方、また住民税や所得税が控除されている方、ひとり親の家庭、現在求職中の方もいます。こうした方々は、保育のニーズが低いとは決していえません。だからこそ、一人ひとりのケースを把握して、こうした方々へ保育を提供することは行政の責務です。
練馬区として、緊急対策をさらに実施すべきです。区の見解をお聞かせください。

<回答3>
7月から、小規模保育5ヵ所を皮切りに先行して受け入れを開始しますが、その他の取り組みも環境が整い次第順次実施していきます。

<質問4>
練馬区は「待機児童ゼロ作戦」で初めて、1歳児1年保育を導入し、これにより100名の定員を増やすとしています。この事業は東京都の定期預かり保育を活用するとのことですが、その本来の主旨は、パートタイム勤務や短時間勤務等利用者のために複数月を対象に「一定程度継続的」に対応するというものです。この制度では幼稚園の空き教室も活用するとのことですが、しっかりと質を守ってサービスを提供できるのか、非常に重要です。事業の実施形態、学校施設転用の見通しをお聞かせください。

<回答4>
現在の区立幼稚園の学級編成により未使用の保育室を活用して行うもので、設備・面積や職員配置等の要件を満たし、東京都に届け出した上で実施します。

2016年6月15日|Tags: , , , |

議会運営の在り方について (練馬区議会 議長への申し入れ)

今定例会の中で、「議会って何だろう?」と考えさせられる事がありました。

先日もご報告しましたが、改めて経緯をお伝えすると、発端は、一般質問初日(6月2日)に公明党議員が共産党を名指して、事実関係が不明な問題を取り上げ、非難を行ったことでした。
そして翌日(3日)、共産党議員が批判に対して、同じく一般質問の場を通じて、反論を行うとともに、公明党議員の発言を「事実無根のものも含まれている」として否定しました。すると、直後に公明党から、「全くの事実である」と共産党議員の発言の取り消しを求める動議が出されました。
問題はこの後です。

池尻議員などが議事進行(議事の進め方について異論や要望、確認する点がある際に議長に対して発せられる)の動議を求めたにも関わらず、議長はそれを受けずに多数決を強行し、動議は賛成多数で可決されてしまいました。

今回の一連の流れの中で、議会運営上、大きな問題があります。1つは「事実無根の発言がある」と「全く事実」という2つの意見が出ている中で、その事実関係を調べもせず、「全く事実」という一方の意見だけを取り上げ、強行に採決したことです。もう一つは、2名から動議が出されていたにもかかわらず、それを無視したことです。

議会における議員の発言、それは最大限、尊重されるべきもので、発言の取り消しを求めるには最大限の配慮と、適切な手続きに則って行うべきです。
双方が異なる見解を述べている中で、議会として事実を確認せず、また、優先すべき議事進行の動議すら受けない中で、議会として片方の議員の発言の取り消しを求めることを多数決で決定してしまいました。

これは単に一部の会派間の問題ではありません。こうした議会運営が認められるのであれば、真偽に関わらず、今後、どのような発言であろうと、動議によって撤回させられてしまう、そんな状況にもつながります。

こうした状況を受け、日本共産党練馬区議団、生活者ネットワーク、市民の声ねりま、オンブズマン練馬、市民ふくしフォーラムの5会派(合計13名)は自体の重大性を鑑み、議長に動議の撤回、取り消しを含む議事のやり直しをもとめるとともに、共同の記者会見を行い、5会派13名が一堂に会して、それぞれの思いを訴えました。

この問題に対してこの会期の中で、会派としても、しっかりと向き合っていきたいと思います。

2016年6月14日|Tags: , |

ねりまVOTE FESTAへの参加

日曜日、練馬区のつつじ公園で行われたVote Festa(ボートフェスタ)に参加。

このフェスタ、7月の参議院選挙を前に、今の社会を変えるためにも、新有権者を含めて皆さんに政治に関心を持ってほしい、多くの方に選挙に行ってほしいという思いで地域の方々が企画したもの。私の友人もブースを出すということで楽しみにしていました。

当日、天候にも恵まれて会場には子ども連れを含むたくさんの方々が。各ブースでは、無農薬の食材を使ったお弁当や無添加のジュースや、福島からの避難者の方々が作った手工芸品が売られてたり、また、八ッ場ダムの現状について、写真を用いて説明をしていたり。市民の皆さんが思い思いのスタイルで、フェスタを楽しみながら、社会的な問題について訴える姿が印象的でした。

そして私は、友人のちあさんの出張鍼灸も体験。議会の真っ最中で疲れも少しあったのですが、屋外で風をうけながらとてもリラックス。そして、そのあとは音楽療法士の方のドラムサークルに参加。皆さんとドラムをたたきながら、「あれ?この感覚は海外協力隊の時に、赴任していたベリーズで叩いていたのと同じだな、あの時もリズム感が無くて現地の子どもに笑われたんだった。。。」と楽しみながら、悲しいこと(笑)も思い出したり。

一日で500人以上が参加したとのこと、選挙や政治のことを楽しみながら勉強できる、本当にありがたい機会だと思います。次回はぜひ家族と一緒に参加したいな、と思いながら、たくさんの炊き込みご飯をお土産に買って家路につきました。

2016年6月13日|Tags: , , |

一般質問のご報告② 外国籍住民の人権保障について

先日行った一般質問、二つ目のテーマとして、外国籍住民の権利保障と多文化共生についてとりあげました。こちらのテーマについても、性的マイノリティと同様、議会で取り上げられる機会は少なく、特に地域に住む外国籍住民の権利保障について議論するのは、昨年の私の質問がほぼ初めてでした。今回は先日制定された通称ヘイトスピーチ対策法を受けての区の政策、そして、練馬区の多文化共生事業への取組について質問しました。

全体的には、私の提案について、特にヘイトスピーチに対する区の対応について前向きな回答を引き出せたと感じています。

他方、多文化共生については不満の残るものでした。私は、多文化共生を進めるためには、長期的な視点を持ち、外国人外国籍の方のニーズを的確に把握するとともに、外国人外国籍の方が一部分野だけでなく、区政や地域の町づくり全般に積極的に参画することが必要だと考えています。しかし区は、多文化共生を「2020年のオリンピック・パラリンピックの開催にあたって大切な課題」という一面的な見方でとらえており、回答も満足できるものではありませんでした。以下は私が一部まとめたものです。(正式な議事録ではありませんので、間違いがある可能性もあることをご了承ください。)

<質問1>
国会では先日、通称「ヘイトスピーチ対策法」が成立しました。この方は、差別的言動は許されないことを宣言する」もので、いわゆるヘイトスピーチを規制する初めての法律として大きな意義を有するものです。そこで、ヘイトスピーチ対策法の成立を受け、練馬区としても相談体制拡充、教育、啓発のためにさらに積極的な対応をすべきです。区の考えをお聞かせください。

<回答>
今回の法律の成立を機に、差別的言動の解消に向けた効果的な区民への啓発や相談支援の有り方、職員研修など、人権尊重に係る事業の充実に努めてまいります。

<質問2>
この法は、保護の対象者を「本邦に適法に居住するもの」と規定しており、その結果、日本にルーツを持つアイヌ民族などの少数者や、難民申請者を含む在留資格を持たない外国人が保護の対象とされていないかのような印象を与えるおそれもあります。

しかし、練馬区が今後ヘイトスピーチに関わる施策を進めるにあたっては、付帯決議にも記載されているように、保護対象者を法律に規定されているような「本邦に適法に居住するもの」に限定すべきではないと考えます。区の見解をお聞かせください。

<回答>
国籍・民族等を理由として地域社会から排除することを扇動するヘイトスピーチは、不当な差別的言動であり許されるものではないと認識しています。そのため、同法の立法主旨と附帯決議を踏まえ、対象となる方の範囲についても十分配慮して事業を実施してまいります。

<質問3>
ヘイトスピーチによる人権侵害をなくすためには、現に起こっているヘイトスピーチを禁止する、あるいは拡散させないための対策に乗り出すべきです。区の見解をお聞かせください。

<回答>
 法律では、ヘイトスピーチなどの差別的な言動や行動について罰則規定が設けられていないため、区としての直接的な禁止対策は現時点では考えておりません。
 法に定められた相談体制の整備、教育の充実、啓発活動の推進等の対策について、検討を進め不当な差別的言動の解消に努めてまいります。

<質問4>
練馬区では、かつて存在した国際交流課や文化国際課が担っていた多文化共生への取組は、地域振興課へ移管されました。しかし、地域振興課の中に多文化共生事業を専門に行う「係」はおろか、専任で担当する職員すらいません。区における多文化共生事業は縮小の一途をたどっていると言わざるを得ません。練馬区でも多文化共生施策を専管する「係」以上の組織を置き、併せて全庁的に取り組みを推進する体制を取るべきと考えます。区の見解をお聞かせください。

<回答>
事業が縮小の一途を辿っているとの指摘は当たりません。多文化共生事業については、係の事務分掌として明確に位置付け、取り組んでいます。

<質問5>
区民や区内の団体、外国人を構成員とする連絡会を設置することが掲げられていました。しかし、3年以上にわたって連絡会が設けられていません。早急な設置を行うべきであるとともに、設置に向けた具体的なスケジュールをお答えください。

<回答>
多文化共生は、オリンピック・パラリンピックの開催にあたって大切な課題です。連絡会の設立を含め、すでに検討を進めています。

中村哲医師の話を聞いて

昨日、「市民の声ねりま」主催で「中村哲医師講演会 アフガニスタンからのメッセージ、命を支え平和を紡ぐ」を開催しました。

中村先生は医師として、当初は医療支援を目的にアフガニスタンに赴任しましたが、そこに住む人々が抱える問題には医療だけでは不十分であると考え、30年以上にわたり、灌漑事業などに力を注いできました。

練馬文化センターの大ホール、1500名もの方にお越し頂けるか、心配していたのですが、皆さまのご尽力のおかげで、前売り券だけでほぼ完売するなど、たくさんの方にお越し頂くことができました。

私自身も区議になる前、国際協力に携わるものとして、隣国のパキスタンなどのアジア、アフリカ、中南米諸国で10年以上にわたり地域開発を行ってきました。その中で実感したのが、本当に大切なこと、というのは、海外の私たちが援助を施す、ということではなく、現地に暮らす人々自身が主体となって前に進むことの手助けをする、ということでした。

その中で、中村先生の活動というのは、現地の人々とともに生き、仕事を行い、ともに前に進むということを、地道に、ぶれずに実現されてきたもので、心から尊敬するとともに、お話を伺う事を楽しみにしていました。

今回の先生のお話、特に印象に残ったのは、「集団的自衛権」に関するものでした。「武器を持つこと、見せびらかせることで解決できることは少ない。むしろ、武器をもつことが問題を産むことの方が多い」ということ、そして、先生自身の活動での思いとして「私は誰の心にも良心があると信じている。そして、その一人ひとりの良心に働きかけて活動をしている。」という言葉でした。静かで、朴訥にも感じられる話し方の中に感じられる先生の強さに圧倒されるとともに、私自身も勇気をいただける、そんな素晴らしい経験でした。(写真は前回の講演会の際のものです。)

文教児童青少年委員会のご報告① 図書館での指定管理の導入について

先日、所属する常任委員会の文教児童青少年委員会が行われました。

主な議案(議会で賛成、反対の意思を決定するもの)は大きく3件、1つが関町にある図書館の運営に指定管理業者を導入するもの、残り2つは、練馬区の5小学校の学童クラブをねりっこクラブという新しい制度に変更するものでした。

まずは、関町図書館での指定管理業者(民間企業等)の導入について、ご報告します。
練馬区には合計で12の図書館がありますが、平成21年から指定管理業者の導入が始まり、これまでに8館での導入が進みました。区の説明では、指定管理業者の導入の大きな目的は、「経費の削減」と「サービスの向上」としています。

図書館の運営を民間企業等が担う、というと、「コストも下がるのだし、別に問題ないのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。しかし、大きな問題の一つは、指定管理業者を導入することでなぜコストが下がるのか、ということです。

指定管理に委託した際に削られる費用、その大半は人件費です。現在、全国の図書館で指定管理の導入が進んでいますが、そこで働く方々の労働条件は、非常に厳しく、他の自治体では、司書資格を持っていても時給は最低賃金、ダブルワークをせざるを得ないという方もいます。

そんな問題意識から、最初に練馬区の指定管理の図書館の現状を確認したところ、ある館では53名の職員の内で、非常勤の方が45名に達しているとのことでした。これでは、働く方々の労働条件を見ても、継続性や安定性、また事業の安定性を確保できているとはいえません。加えて、指定管理の図書館で働く方々の賃金、そして3年以上継続して働いている方の比率を問うと、「指定管理業者に委ねているので区として数値を把握していない」とのことでした。

練馬区は、指定管理業者を導入したことで、サービスが向上した、としていますが、その大きな理由は開館時間が拡大したこと、利用者アンケートの満足度が8割を超えている、というものでした。しかし、開館時間の拡大は、指定管理でなければできない訳ではありません。利用者アンケートも、指定管理の満足度がそうでない館に比べて高い、という事実はなく、方法も、窓口で渡すだけで性別、年齢、属性なども不明、調査数も登録者数21万人に対して、わずか2%、さらに調査項目もあいまいで、統計として用いることができるのかも不明です。

そもそも、サービスが向上すれば、そこで働く職員の労働条件は悪くてもいい、ということはありません。

こうした状況の中で、結論ありきで指定管理の導入に前のめりになるのではなく、まずは現在の館の状況について、労働条件がどのようになっているのかなどを精査すべきだと訴えました。

(写真は昨年の視察で訪問した佐賀県の武雄図書館です。)

一般質問の報告① 性的マイノリティの人権保障について

先日の一般質問、主題は「マイノリティの権利保障」でした。

質問では1. 性的マイノリティの権利保障について、2. 外国籍住民の権利保障および多文化共生社会の実現について、3. 待機児童対策について、4. まちづくり(大江戸線延伸)を取り上げました。
本日は、その中で、性的マイノリティの権利保障について抜粋をご報告します。待機児童問題については、区長のひどい答弁もありましたが、性的マイノリティの問題については、具体性の乏しい部分もあるにせよ、全体的にはある程度、前向きな答弁だったと感じています。
特に、教職員向けの性的マイノリティに関する研修プログラムの実施については、学校として組織的に取り組むことを言っており、前進だと思います。また、情報コーナーの設置や交流会についても、前向きな回答でした。

(正式な議事録ではないので一部誤りがある可能性もあることをご了承ください。)

<質問1>
各学校には、(カミングアウトが前提とされる)性的マイノリティの児童生徒が在籍していることが明らかな場合にのみ、対応を求めるのではなく、こうした児童生徒が存在することを前提として対応を求めるべきだと考えますが区の認識をお聞かせください。

<区の答弁>
児童生徒が様々な人権課題について学び、人権尊重の精神を生活の中で生かしていくことができるよう、教育活動全体を通して組織的・計画的に人権教育を推進しており、性的マイノリティについても、人権教育の一環として行っています。

<質問2>
学校では「違い」を「個性」と捉え、認め合うべき事を授業等の中で積極的に発信することが必要です。また、図書室や保健室等に、性的マイノリティに関する書籍を置く、ポスターを貼るといったことを通じて、学校として当事者への理解を表明すべきです。この提案に対する区の認識を聞かせてください。

<区の答弁>
学校における啓発の取組やその方法につきましては、各校が自校の実情を踏まえ、児童生徒の発達段階に応じて工夫していきます。

<質問3>
練馬区として、文部科学省が教職員向けに対して発行した性的マイノリティの児童・生徒への配慮を示した手引きに従い、教員研修プログラムを早急に策定すべきだと考えますがプログラム策定に向けた区の考えを聞かせてください。

<答弁>
教育委員会として、この資料を踏まえて、教員研修の計画を立案し、副校長対象の研修会や希望する教員を対象とした人権教育研修会を実施していきます。研修を通して、性的マイノリティに関する理解啓発を促進するとともに、各校における研修の中心的役割を果たす人材を育成し、各校が人権教育担当者や生活指導担当者、養護教諭等を中心に組織的に取り組めるよう、指導してまいります。

<質問4>
相談窓口は、性的マイノリティの方を対象とすることを改めて周知するとともに相談員を対象とした基礎研修の実施、そして、他自治体や支援団体等の相談事例を収集し、相談対応向上のための情報共有を図るべきです。区の所見をお聞かせください。

<答弁>
男女共同参画センターを含めた相談窓口を充実するため、適切な支援に繋ぐ専門機関等との連携や職員の専門研修の受講、他自治体や支援団体等の相談事例の収集など準備を進めています。

<質問5>
小・中学生を対象に、学校でこの相談窓口を含め、親や学校を通じずに相談できる場を紹介すべきです。この提案について区の所見を聞かせてください。

<答弁> 
小中学校では、性的マイノリティを含めたさまざまな相談に関して、リーフレットや案内カードの配布、校内でのポスター掲示などを用いて、区の教育相談室、東京都教育センター、文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」等を紹介しています。今後も児童生徒への相談窓口の周知を図ってまいります。

<質問6>
練馬区は区立施設を活用し、情報コーナーを設置し、役立つ情報を取りまとめ発信すべきです。情報コーナーでは、性的マイノリティ関連図書、資料等をそろえるとともに、区や支援団体の取組を紹介し、性的マイノリティ関連のイベントを開催すべきです。同時に、横浜市が実施しているような当事者や支援者の交流の機会を設けるべきです。

<答弁>
区立図書館や男女共同参画センターの図書・資料室では、性的マイノリティに関連する書籍の購入、貸出しを行っています。引き続き、人権パネル展や男女共同参画センターを活用した情報コーナーの設置など、さまざまな事業や機会を捉えて効果的な情報発信方法を工夫してまいります。当事者や支援者が交流する機会として、男女共同参画センターにおいてワークショップを開催いたします。今年度の人権セミナーにおいて、当事者による講演会なども予定しております。

(写真は先日参加した東京レインボープライドの様子です。)

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