一般質問のご報告② 地域施設で政治に関わる活動を制限しようとする動きは撤回を!

先日行った一般質問、テーマの一つが地区区民館などの地域公共施設での政治に関わる活動を制限する動きについてでした。このテーマは以前から池尻さんが何度も議会で訴えてきたもので、改めて一般質問として取り上げました。内容は、区が誤りを認め撤回したという意味で大きいものでした。以下、少し長くなってしまいますが、概要をご報告します。 ・はじめに 先日、西大泉地区区民館の館長名で利用者に出された文書を入手しました。 文書では「部屋の貸し出しにあたり、政治・宗教活動でないことや営利活動ではないことなどを確認しています。」とありました。 そもそも条例では政治や宗教に関わる活動を制限する規定は存在しません。にもかかわらず、個々の地域集会施設が、独自の判断で政治に関わる活動を禁止しようとすることは看過できません。われわれ議員にとっても、地域集会施設での政治活動を禁止されてしまえば、地域の声に耳を傾ける機会が大きく制限されてしまいます。また、文書では他にも参加者の名簿を前日までに持参し、施設の確認を受けるよう求めていますが、名簿の提出を求めることも明らかに行き過ぎです。 <主張1.区はこの文書について誤りを認め文書を撤回すべき> 政治活動の自由は区民の根源的な権利のひとつです。直ちにこの文書を撤回するよう求めます。名簿の提出についても早急な見直しを求めますが、区の見解を伺います。 <区の回答:過ちを認め撤回> 文書に記載されていた地区区民館の政治・宗教活動を理由とした利用制限、および利用にあたって利用者個人の特定を条件とする条例の規定はありません。文書内容の間違いを正し、速やかに修正しました。 <主張2.団体登録について> 地域集会施設に登録できる団体の資格については、区の要綱(基本的な事務の取り扱いについて定めたもの)で「特定の政治上の主義および宗教の教義を推進し、指示し、またはこれに反対することを主な目的としないこと」となっています。しかしこの内容は区民の地域における政治活動などを不当に制限するものです。そもそもこの規定は要綱にあるのみで条例に基づいていないことも踏まえれば、早急に見直すべきと考えますが、見解をお聞かせください。 <区の回答 特定の政治や宗教を支持、反対する場合は登録できないが、勉強会などは問題ない>  「特定の政治上の主義および宗教の教義を推進し、支持し、またはこれに反対することを主な目的」とする団体は登録できません。ただし、政治や宗教の勉強会、研究会などの活動をする団体は、現に登録団体に承認し、ご利用いただいています。不当に活動を制限するとのご指摘は当たりません。 <感想> 今回、地域集会施設を利用するにあたり、政治に関わる活動に対して制限はない、という明確な確認が取れたことは画期的なものでした。地域での自由な政治活動が封じられることのないよう、これからも会派としてしっかりと訴えていきたいと思います。

一般質問のご報告① 練馬区でも同性パートナーシップ制度の導入を!

年に1度だけの一般質問、今回は任期(4年)で最後ということで、今まで力を入れてきた性的マイノリティの権利向上に関連して、同性パートナーシップ制度の導入を訴えました。原稿の作成にあたっては、当事者の方々からたくさんお話しを聞かせて頂き、その思いも訴えさせていただきました。また、池尻さんからも連日深夜までたくさんのアドバイスを頂きました。 私たちが訴えた内容と区の回答を簡単にご報告します。全文は公開される議事録をご確認ください。 <はじめに> 性的マイノリティの権利保障に関連して伺います。 自治体の取組みの一つとして、同性パートナーシップの公的認証制度があります。東京23区では3区(渋谷、世田谷、中野)、全国では8つの自治体がこの制度を導入しています。 練馬区では同性パートナーシップについてこれまで「現実的な施策の効果が不明であること」および「現行法との整合性に課題」があることを理由に「条例を制定する予定はありません」としてきました。 <岩瀬の主張 1) パートナーシップ制度の効果を認めるべき!> 練馬区の姿勢を当事者の友人に話したところ「パートナーシップで差別的な制度が解消することも大切ですが、私たちにとっては、制度が誕生すること自体に大きな意味があります。制度は自分の暮らす自治体が性的指向に対して寛容であることを示すもので、当事者にとって大きな支えになります。」と訴えていました。このようにパートナーシップ制度は啓発的な意義も強いものです。 そこで伺います。当事者の方が感じている啓発的な意義について区はどのように考えますか。また練馬区はパートナーシップ制度について「現実的な効果が不明」としていますが、他の自治体では、区営住宅における同性カップルの入居や緊急時の病院での面会など様々な取組を行い一定の効果も上がっています。他の自治体のこうした取り組みや効果についてどのように考えているのかお答えください。 <区の回答:一定の効果は認めるものの、効果が不明との認識は変わらず。>  制度を導入した自治体では、当事者の方が公的に認められたことで生活していく上でも支援を実感できるようになった。区民が同性パートナーについて考える機会となったなどの声があると聞いています。しかし、制度を導入したものの利用する方が少ない。対応する事業が少ない。パートナーを解消した場合の対応などの課題も多く、「施策の効果が不明である」という認識は変わっていません。 <岩瀬の訴え 2) パートナーシップ制度は法律上も問題はないことを確認すべき!> パートナーシップ制度を導入した札幌市は「自分達の存在を公に認めてほしいとする当事者の気持ちを受けとめるものです。条例や要綱により定める制度であり、法的な権利の発生や義務の付与を伴うものではなく、現行法に反するものではありません。」としています。他の自治体での取り組みは、あくまで法律の枠内で性的マイノリティに対する差別の是正や社会的な周知啓発を図ることを主旨としています。同性パートナーシップの公的認証制度が、具体的にどの法律のどの規定との整合性に問題があると考えているのか、お答えください。 <区の回答: 制度には現行法との整合性など検証すべき課題はある。> 同性パートナーの権利保障については、国でなければ解決できない遺産相続や税金の控除など、現行法との整合性など検証すべき課題があると考えます。 <岩瀬の訴え 3) 同性パートナーシップ導入に向けて検討を始めるべき!> 本定例会では同性パートナーシップの公的認証制度の導入を求める陳情が出され、多くの署名も集まっています。区として当事者の方の思いに応えるためにも制度導入に向けた検討を行うべきです。考えをお聞かせください。 <区の回答: 明確な回答は無し、ただし状況調査は開始> 区では、今年度実施する「人権・男女共同参画に関する実態調査と労働実態調査」で性的マイノリティに関する項目を設け、状況を把握する予定です。また、講演会の講師や参加者アンケート、支援団体などからも意見を伺っているところです。国や東京都の動向を注視し、当事者のニーズに即した支援策などについて、来年度策定する次期練馬区男女共同参画計画で検討します。 <岩瀬の主張 4) 性的マイノリティの権利保障のための条例や要綱などを作るべき!> 東京都は先日、性的マイノリティへの理解やヘイトスピーチ規制などを盛り込んだ条例の制定を目指すことを明らかにしました。練馬区においても同性パートナーシップの公的認証制度も含めて、性の多様性を尊重し、性的指向や性自認に基づく差別のない地域を作っていくためにも条例や要綱、計画の制定など踏み込んだ対応が必要だと考えます。区の見解をお答えください。 <区の回答:条例の制定はしないが、都の動向を注視する> 現在東京都は、本年9月の都議会に性的少数者への差別やヘイトスピーチの解消を目指して、条例の提出を予定しており都民の意見募集を行っています。その動向を注視して対応してまいりますが、区として条例を制定する考えはありません。 <岩瀬の感想> 区の回答、実態調査で性的マイノリティの状況を把握するとともに、支援団体などから意見を聞いて当事者のニーズに即した支援策などについて、次期「練馬区男女共同参画計画」で検討するということで、今後に期待の持てる内容でした。一方で、同性パートナーシップの公的認証について否定はしないものの「現実的な効果が不明」「現行法との整合性に課題」との見解は変わっていませんでした。今回の訴えと区の回答をきっかけとして、今後も地域の中で差別や偏見に苦しむ性的マイノリティの方の権利向上のために取り組んでいきたいと思います。

練馬区の保育園の待機児童数について 待機児童の数え方、あまりにおかしいです!

今日の文教児童青少年委員会で、2018年4月時点の保育所等の待機児童数の質疑を行いました。練馬区は今年4月の保育所の待機児童数を79名と発表しました。みなさんはこの数字、どう思いますか?「意外と少ないな」と思う方も多いと思います。 でもこの数字、実態を反映したものではありません。 どんな方が練馬区の考える「待機児童」なのでしょうか? そもそも、認可保育所等に落ちてしまった方の合計は978名。ここから様々な理由で待機児童から引かれていき最終的に79名に。しかし、どんな方を除くのか、その方法に問題があります。 例えば現在は、認可保育所等に入れなくても、自宅から2キロ以内に「利用可能な保育所」がある場合、待機児童とは数えられません。しかし、「利用可能な保育所」は、認可保育所等だけでなく、認可外の認証保育所、1年保育、幼稚園預かり保育(ねりまこども園)も含んでいます。しかしこの数え方、あまりに乱暴です。 わかりやすいのが経済的な側面です。認可保育所では所得によって毎月の保育料が決まっていて、所得が少ない方は無料ですし、数千円の方もいます。一方、認証保育所では金額は基本保育だけでも、月々6万円以上かかることも...。もちろん保育料の軽減はありますがそれでも月々の金額は、4万円以上かかることもあります。経済的な事情で、認証保育所を申し込めない方も多いのです。 しかし、そうした方も申し込みをしていない、ということで練馬区の「待機児童」から除かれます。他にも幼稚園預かり保育(ねりまこども園)では延長保育や給食もないので申し込むことができない、そんな方も区の「待機児童」にはなりません。池尻さんが資料請求をしたところ、100名以上の方が、「認可外の利用可能な施設」が近くにあるのに申し込みをしていない、という理由で待機児童から外されていました。 他にも問題があります。求職中の方も、保育所等に落ちた際、「現在は求職活動を休止していますが、内定した場合は再開し、就労先を決定します。」と答えると待機児童から外されます。でも保育所が見つからない場合、多くの方は、子育てのために求職活動を一時的にあきらめなくてはいけない筈です。しかし、こうして待機機児童から外された方は80名、あまりに乱暴です。 育児休業についても同様です。今年から復職の意思のある方は待機児童と数えることになりましたが、区に対して「申込時は入園できたら復職するつもりでしたが、育児休業延長により現在は復職を希望しません」と答えると待機児童からは除かれます。 保育所等が見つからなかった段階で、多くの方が会社に育児休暇の延長を申請せざるを得ず、その際には期間も含めて申請します。にもかかわらず、すぐに復職しなければ「あなたは復職の意思はない」として130名近い方が練馬区の待機児童から外されてしまっているのです。 その他にも、あくまでもセーフティネットの1年だけの保育に入った方、87名も待機児童から除かれています。 練馬区は待機児童が89名と発表しましたが、何倍もの方が認可保育所等に入れず苦しんでいるのです。練馬区はこうした計算を改めるとともに実態に沿った対応を行うべきです。

いくつもの学校の図書館から4月になって突然、「管理員」がいなくなってしまいました。

区立の小中学校、すべての学校に図書室(学校図書館)があります。学校図書館は子ども達の豊かな学びを実現するために不可欠であり、その図書館を専門的に管理する方(学校図書館支援員、図書館管理員)の役割はとても重要です。図書館を教育に活用できるかは支援員や管理員の方にかかっていると思います。 練馬区では今年の3月の段階で、すべての小中学校に図書館支援員か管理員が配置されていました。今年度は46校で図書館管理員が、その他の学校では図書館支援員が配置されることになっていました。しかし、4月から図書館管理員の業務を委託した業者が、人の手配をできずに4月26日現在の段階で27校で図書館を管理する方がいない状況が続いています。詳しい経緯は池尻さんがブログに纏めていますのでご覧ください。https://ikejiriseiji.jp/news-10/ 本日の文教児童青少年委員会では、現在の状況について問うとともに、図書館管理員がいない状況を一日も早く解決するため、練馬区として期限を切ったうえで責任ある対応をとるよう求めました。委員会での質疑の概要を紹介しますのでご覧ください。一刻も早く解決するためにも練馬区が直接、図書館管理員を採用すべきだと思います。次回の委員会は5月22日です。ぜひ傍聴にお越しください。 <ここから> 岩瀬:学校支援モデル事業の見直しの中で、学校図書館支援員が廃止されています。4月からは業務委託による学校図書館管理員が配置されているかと思います。学校図書館管理員がうまくいっているのか、現在の状況をお答えください。 教育指導課長:今年度から教育指導課で学校図書館管理員が46校に配置の予定でありました。現段階では業者は決まっておるのですが、19校の配置に留まっています。 岩瀬:27校の図書館で誰もいない状況、非常に大きな問題ですよね。3月末の段階で全ての学校で学校図書館支援員が配置されていました。しかし4月になってこのような状況になってしまった。この状況について部長の認識はいかがでしょうか? 教育指導課長:昨年度、全校配置が叶いまして、年間で100日、一日6時間が議会の同意を頂いて実現したところです。しかし、現段階で全校配置が叶わない状況です。教育委員会としてはこの問題を大きなものとして捉えておりまして、落札した業者とやり取りを進めています。明日(27日)になりますが、改めて文書にて改善指示を行う予定になっています。一刻も早い、一日も早い全校配置を目指して取り組んでまいります。 岩瀬:一刻も早い全校配置を目指すというが、既に4月26日、非常に時間が経ってしまっている。遅くとも来月中には配置を行うべきと考えますがいかがでしょう? 教育指導課長:できるだけ早く、5月中にはというのは我々も考えているのですが、引き続き業者と折衝を進めてまいります。 岩瀬:これまでも業者と折衝を続けてきた中で、なかなか人が配置できない中で、例えばもし現在の業者が対応できないのであれば教育委員会として自ら採用し配置する責任も含めて考えるべきでは? 教育指導課長:現段階では改善指示を文書にて示して、その期限の状況を見て判断するというところまで考えています。その後についてはまたその都度判断します。 岩瀬:期限の状況をみて、とのことですが、期限はいつなのでしょうか? 教育指導課長:現段階では5月中旬を一定の区切りと考えています。 岩瀬:5月中旬を一定のめどとして考え、それができない場合は次の手を考えるということですが、今考えている他の方法とは何でしょうか? 教育指導課長:契約担当の所管とも色々やり取りをしているところです。現段階では、まずは落札をした業者に改善指示を示して期限までにどれだけの状況になるか、というところを見てから判断したいと思います。 岩瀬:業者が第一義的な責任を負うのは勿論ですが、まずは教育の質を担保するのが重要であり、一番影響を受けているのは子どもであり、先生です。ですので、教育委員会としても自ら採用することも含めて一刻も早い全校配置を実現していただきたい。 教育振興部長:大変遺憾な状況であると認識しています。落札した事業者に責任を持って対応するよう、まずは改善指導をしていきたいと思っています。直接雇用ということですが、例えば非常勤という形であれば条例改正が必要であり、あわせて予算的な措置も必要となりますので、当然ながら議会の方にご提案申し上げて、ご賛同いただかないと勝手にできるものではありません。その点についてはご理解をいただきたいと思います。そういう手続きを取れば時間もかかりますので、今年度についてはまず落札業者の方に責任を持ってやっていただく、それができない場合には次の手を考える、ということで対応してきいきたいと考えています。

2018-08-21T09:41:26+09:002018年4月26日|Tags: , , , |

いわせてカフェ 地域から貧困を考える。「あきらめること」に慣れてしまうということ

週末、「いわせてカフェ」を行いました。特定のテーマについてゲストをお招きして皆さんと一緒に考えるもので、これまで性的マイノリティや障害、街づくりなどを取り上げてきました。今回は「貧困」をテーマに財団法人「子どもの貧困支援センター」(あすのば)で活動する大学生、工藤鞠子さんをお招きしました。初めてお会いしたのは地域の子ども食堂で、受験で一番大変な時期でも、毎週のようにボランティアをしていて、大学に入学後も「あすのば」で活動している姿にずっと話を伺いたいと思っていました。 彼女が子どもと向き合う中で感じたことの一つが「あきらめること」に慣れてしまう子どもが多かったということでした。自分だけ欲しい物を買ってもらえない、自分だけ習い事に行けない、そういった経験が小さいころから繰り返される中で、自然に多くのことをあきらめてしまう、例えば大学への進学についても最初から発想に入らない、将来の展望や目標もどうせ叶わない、ということで無意識に持とうとしない子どもが多いとのことでした。そして、「エネルギーがない」子どもも多いとのことでした。あきらめることや挫折に慣れてしまっているために、何かを自分の力でやりたい、そういう気持ちになるのが難しいと感じているとのことでした。そんな中、「あすのば」でアンケートを行った中、自由記述欄に、欄一杯に大きな字で「たすけてと言いたいときもある」と書かれていたそうです。友達にも家族にも助けを求められない、そんな子どもがたくさんいること、そのために周囲がしっかりと対応すべきとのことでした。 参加者の方からもたくさんのご発言がありました。ご自身も生活保護を受給しながらお子さんを育てた方から、「エネルギーがないのではなくて、エネルギーを出すことができない、隠れなくては生きていけないのです。生活保護を受けているということだけでいじめの対象になってしまう、だからなるべく目立ってはいけない。例えば修学旅行のとき、保険証のコピーを持ってくるよう言われるが、生活保護世帯ではそれがない、その時どんな気持ちになるか?また、授業参観や運動会、三者面談にも絶対に来ないでくれと言われてきた、なぜなら、生活保護を受けているから。そんな気持ちが分かりますか?」そんな切実な話を伺いました。また、すべての人間が「当事者」としてできることをやっていかなくてはいけないという意見もありました。 現在、練馬区では約13,000世帯が生活保護を受給していて、準要保護世帯(生活保護世帯の収入の1.2倍)も含めると、小中学生のいる世帯では25%にあたります。その中、私が議会で訴えてきたことの一つが制服に関わるものです。就学援助として支給される入学準備費、練馬区の中学校では26,860円ですが、現在、公立の中学校では入学に際して、制服代などで10万以上かかるといわれています。新宿区では4万円以上支給されている中で、実態にあわせて修正することが必要です。 皆さんと意見を共有し、理解を深めていくこと、そしてそこから地域や社会を変えていくこと、こうした事を何とか実現していきたいと思います。いわせてカフェ、次は5月に行います。ぜひご参加ください。

予算特別委員会のご報告③ 練馬区のブラック校則について 中学校でなぜ下着の色や柄まで決められてしまうの?

予算特別委員会、「教育費」では、練馬区の公立中学校の校則について取り上げました。以下、抜粋して内容をご紹介します。(詳細は公開される議事録をご確認ください) <岩瀬の主張> 私は、児童や生徒が集団生活を送る上で、一定の「ルール」は必要だと思いますが、自由を制約するものであるため、その範囲は子どもたちの理解と合意を前提に、最小限にとどめるべきだと考えます。 先日、ある保護者からお話がありました。「娘が中学生になったのだけど、校則で下着の色まで決められていてショックだった」とのこと。そんな校則があることが信じられず、各校の生徒手帳を取り寄せました。すると、区が選んだ8校のうち、4校で下着やアンダーシャツの色を白に指定、うち1校では無地を心がけるようにと柄まで指定されていました。 校則については、ある学校で生徒の髪を黒に染めさせたという事件が発生して以来、テレビや新聞で多く取り上げられています。特に「一般社会から見れば明らかにおかしな校則」は「ブラック校則」と呼ばれています。報道で取り上げられている「ブラック校則」として、象徴的なものの一つが下着の色を指定するもので、児童、生徒の人権を侵害するものとして、全国で見直しが求められています。 区内の中学校の校則を調べる中で、他にも靴下の色は白のみ、防寒具としてセーターはいいけれどカーディガンはダメ、女子はいいけれど男子の整髪料はダメ、髪留めの色は黒、といったどのような目的があるのか、理解に苦しむ校則も多く存在していました。また、ある学校ではトイレの使い方まで校則で規定していました。他方で、区内のある中学校は校則で「本校の通学服は学校の諸活動に適した服装」としており標準服自体がありません。そのうえで生徒各自が服装に責任を持とう、と呼び掛け、生徒の自主性を促しています。 区内にもさまざまな価値観や背景を持った方が増えています。昨年1年間で新たに区民になった方のうち、約4割が外国人でした。学校の中でも多様性が認められ、尊重されるべきです。例えば、中学校ではピアスやネックレスなどが無条件で禁止されていますが、私が暮らしていた中南米では、ほとんどの女性は、小学生になる前にピアスをつけていました。南米に限らず、多くの国ではピアスのほか、ネックレスなどもきわめて一般的なものです。一律に服装を規定するということが、児童生徒にとって、多様な価値観を理解しようとする姿勢をも阻害しているのではないでしょうか。 文部科学省も、校則の内容・運用は、児童生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情、時代の進展などを踏まえたものとなるよう、積極的に見直しを行うことが大切としています。校則は、子ども自らが主体的に考えて行動していくことを阻害する恐れもあり、子供の理解や合意、適切な根拠もとづかないで行われる厳しい制約は見直されるべきです。 <区の回答> ・校則は生活指導上、必要な最低限の決まりである。 ・校則の制定には一定の決まりや手続きはないが、一般的には教員が中心となって、生徒会、保護者等から意見を聞きながら制定している。 ・下着の色を指定することについて、白のワイシャツやブラウスを着用することが多い中で、中のものに色がついていると服装として好ましくない状況にある。肌着には一般的には白が用いられることが多いので、教育委員会としては問題があるとは捉えていない。 ・教育委員会としてすべての中学校の校則は把握していない。校則には、実態、伝統、歴史、校風などが反映される。学校の独自性の発揮、それから自治的運営の面からも、教育委員会が積極的に係ることは考えていない。また、外国の方への対応については、個別に対応している。 ・校則の見直しについては、各学校の判断で行っている。教育委員会としては、必要な状況が生じたら見直しも含めて検討する。 <岩瀬の意見> 校則は「生活指導上、必要な最低限の決まり」とのことですが、指導する側である学校が、児童や生徒に課しているもので、子どもたち自身が理解し同意する、という考えとは基本的に異なるものです。 下着の色を決める理由として区は、透けるから、中学生らしいから、という説明をしていますが、社会一般の感覚とは随分ずれていますし、そもそも「最低限」の決まりからは逸脱しています。また、ある中学校では下着が透けることはないであろう冬服のルールにおいても白と明記していました…。 校則の改訂について、各学校の判断で行っているとのことでしたが、いつ、どの学校で改訂をしたかは把握していないとのことでした。建て前としては、生徒、教員、保護者の話し合いで決められるとしていますが、実態は、昔からある校則に生徒がそのまま従わざるを得ない状況です。 教育委員会は、必要な時期が来たら見直すとのことでしたがまさに今が、その必要な時期です。教育委員会として各校の校則を把握し、不適切なものについては是正をもとめるべきです。

予算特別委員会のご報告② 練馬区でも5,900万かけて始まったシェアサイクル、ほとんど使われていないのはなぜ?そして駅前にはもっと自転車駐車場を!

予算特別委員会では日々、費目(項目)ごとの審議が続いています。「都市整備費」では、シェアサイクルと自転車駐輪場を取り上げました。以下、要約をご紹介します。(詳細は議事録をご確認ください) <岩瀬の主張> 先日、こんな相談をいただきました。「シェアサイクル、使ってみようと思ったら30分で150円もしてびっくり。しかも4時間100円で借りられたタウンサイクルも無くなって困った」。シェアサイクル、「価格が高い」とか「使いにくい」といった声が多く寄せられています。 昨年10月、練馬区でもシェアサイクル事業の社会実験が始まりました。ドコモと協力して、大泉学園、石神井公園、光が丘、上石神井のエリアに200台の自転車と35カ所のポート(ラック)を設置、区内での散策や通勤での利用を促すというものです。開始する時、区は自転車の購入やポートの設置費用として5,900万円を使っています。確認すると一台あたり約17万円がかかっているとのことでした。 しかし、昨年12月の一か月の利用状況を見ると、一回利用として使ったのは398名、一台あたり0.37回/日しか使われていないことになります。利用が伸びていない背景には、使いにくさと値段があると思います。 まず利便性について、シェアサイクルを使うには事前登録が必要です。登録には原則としてクレジットカード情報の入力が必要で、カードの名義人は登録者と同じ必要があります。つまり、自分の名前でクレジットカードを持たない方、例えばほとんどの学生は利用できません。登録せずに使う場合は1,500円の一日パスを買うしかありません。 価格も問題です。区はシェアサイクルの導入に合わせて、これまで提供していたタウンサイクルの当日利用を休止しています。タウンサイクルは一回の利用では4時間まで100円、24時間まで200円でした。シェアサイクルの場合、30分で150円、その後30分ごとに100円で4時間借りると850円、1日では1,500円とこれまでの7倍から8倍になります。使いやすさや価格について改善すべきです。 自転車に関連すると、駐車場にも課題があります。私は、2016年に大泉学園駅北口地下駐車場の定期利用のための申請をしたのですが、順番まであと1年以上かかりそうです。多くの方が定期利用の空きを待っているという現状を見ても、駐車場確保のための努力が必要だと思います。 <区の回答> ・シェアサイクルの利用状況は低いと考えています。その理由として、自転車とポートの整備に時間がかかったことやスマホやパソコンでの登録に抵抗があることなどが影響していると思います。 ・登録方法については、一時パスをコンビニで買えるようにしたとか、対面販売の実施も開始しており、今後は親御さんのクレジットカードでも複数許可登録ができるように様々な点で利用促進を事業者と進めます。価格については、事業者側での採算の話とか、運営可能なのかというところも含めて検討しておりますので、そういった中での金額とご理解いただければと思います。 ・駐輪場の新規整備については、通勤・通学による放置自転車がほぼ少なくなっている状況ですので新たには必要ないと考えています。 <岩瀬の意見> シェアサイクルについて、区として課題を認識したこと、そして、使い方の改善を行うとしたことは前進だと思います。一方、値段については難しいとのことでしたが、区のサービスとして実施している以上、検討すべきだと思います。 また、新しい自転車駐車場は必要ないとの回答でしたが、1月31日現在でも、大泉学園駅南口地下駐輪場は304名、北口は262名の方が予約待ちの状況です。2016年12月には自転車利用促進法も制定されています。基礎インフラである自転車について、区として環境を整えることが必要で、そのためにもシェアサイクルの利便性の向上や駐車場のさらなる整備を進めるべきです。

予算特別委員会のご報告① 地域の集会所、身近な存在になるように見直しを!

予算特別委員会では日々、費目(項目)ごとの審議が続いています。最初に私が担当したのは「区民費、地域文化費」で、地域集会所のあり方を取り上げました。以下、抜粋して内容をご紹介します。(詳細は公開される議事録をご確認ください) <岩瀬の主張> 先日、保育園のママ友から相談がありました。友人同士で定期的に集まりたいのだけど、近所には気楽に集える場所が見つからなくて、毎回ファミリーレストランやカフェを使っているとのことでした。一方で、練馬区には半径800メートルごとに27カ所の地域集会所があります。目的は、「地域住民の相互交流および自主的活動の場を提供し、もって区民生活の向上に寄与すること」です。しかし実際には、使い方もわからない方も多くいます。私も会社員だった頃はその場所も知りませんでした。そこで、過去3年の利用の状況について調査をしたところ、その結果に驚きました。 平成28年度について、区内の地域集会所の利用率(稼働率)は43%。最も低い旭町では15%、大泉学園町では27%、北町では30%でした。特に夜間は低くて全体で30%、大泉学園では7%、大泉町も8%でした。同時に、地域集会所は地域登録団体の利用が中心になっていますが、集会所によっては数少ない団体が利用のほとんどを占めている状況です。 今年度実施された区民への意識意向調査によると、地域活動に興味がある区民は多いものの参加率は1割台なかばでした。参加しない理由は時間がないから、ということと情報が不足しているから、とのことでした。 こうした中、地域集会所の今後のあり方として、単なる「場所」の提供だけではなく、地域集会所から積極的に発信を行い、地域での市民の活動を生み出し、支え、育てていく、そうした能動的な役割を果たしていくべきではないでしょうか。一例として、集会所から住民に対して、共通の関心を持ってもらうためのイベントなどの情報を発信すること、そこに集まった市民を繋げるためのファシリテーションを行うこと、そこから活動を広げるためのハード、ソフトでの支援を行うといったことを行うことで、地域での市民活動が高まるのではないでしょうか? <区の回答> ・地域集会所も時間帯ごとに利用率はだいぶ異なっています。一番低い15%のところでも、例えば午前中などは22%です。夜間については、住宅地についてはそこに引きずられているのかと思います。地域でチラシやホームページでの周知もやっていますが、夜間の利用、一部の時間帯の利用が低いということで低くなっているところがあります。 ・区としては、協働推進課の設置から始まって地域おこしプロジェクトや地域活動フェスティバル新たな事業を展開しています。 ・地域集会所といった場所にとらわれるのではなく、区で展開しているアウトリーチのように、必要なときに必要な場所に赴くといったやり方で柔軟に対応していく方が、具体的に何かを新たにはじめたいということに対する効果的な支援になると考えます。 ・現在、児童館、敬老館、地区区民館、地域集会所といった様々な地域施設が存在していますが、今後の計画の中で新たな地域施設の機能ということであらゆる世代を超えて、幅広いご相談であるとか、これまで地域集会所が担ってきた自主活動、支援、交流の場として複合化をして機能を高めたいと考えます。 (岩瀬の意見) 利用率について区は、時間帯によって異なる、としていますが、実際には27館のうち、13館以上で3割程度にとどまっています。また、市民による自治や住民参加を実現するには、それぞれの活動を地域で支える積極的な働きかけが必要だと思います。 練馬区は区民協同事業の充実などを盛り込んでいますがその内容は町会などの既存の地縁組織と既存の市民団体を繋ぎ、区と一緒に地域の課題解決に取り組むというものです。もちろん既にある団体を繋ぐということも必要ですが、同時に、地域で市民自らが活動を始め、拡大するための支援も必要です。そのためにも地域集会所の役割も含めて変えていくべきだと思います。

3月31日(土)「地域から貧困を考える」いわせてカフェのご案内

毎月、特定のテーマについてクッキーや紅茶を楽しみながら皆さんとお話するいわせてカフェ、これまでLGBTや障害、まちづくりなどをテーマに取り上げてきました。 今回のカフェでは、地域の子ども食堂やこどもの貧困センター「あすのば」で活動している大学生の工藤鞠子さんをお招きして、皆さんと一緒に地域の貧困問題について考えたいと思います。 日本で暮らす18歳未満の子どものうち、7人に1人が相対的貧困の状態にあり、これは先進国でも4番目の高さになっています。なぜこうした状況がおこるのでしょうか?子どもは子どもだけで生きているわけでもなく、一生子どものままでもありません。子どもの貧困問題の解決には、その先に繋がる「大人の貧困」についても一緒に考える必要があります。お誘いあわせの上、ぜひお気軽にお越しください! 3月31日(土)14時~16時 東大泉中央地域集会所(資料代200円、事前予約制)

文教児童青少年委員会のご報告① 練馬区のすべての小中学校、体育館にもエアコンが

昨日の委員会では、平成31年度から約10年で全ての小中学校の体育館に空調設備(エアコン)を設置するとの報告がありました。平成20年度から普通教室、平成26年度から特別教室にエアコンが設置されましたが、これを体育館にも拡大するというものです。区としての大変大きな決断です。 一方で、そのための費用は莫大です。区の試算では、設計と工事で一校あたり7,000万円かかるとしており、概算では50億円以上になります。また、ランニングコスト(電気代)も、体育館だけで1校あたり年間190万円、合計で約2億円とのこと。また、機械は10年~15年での取り換えが必要とのことです。 具体的な設計、契約はこれからですので、コストをどう抑えるか、どのように効率的に運営するかが今後の議論となります。 なお、平成30年度、設計が予定されているのは小学校5校(豊玉、春日、石神井東、石神井西、大泉南)、中学校4校(中村、北町、光が丘第三、大泉)です。また、すべての小中学校に平成30年度中に大型扇風機を3台ずつ配備することになります。詳細など明らかになったらまたご報告します。

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